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4.18.病気


 小さい子供たちに魔法を見せてあげてから、五日が経った。

 ベンツのお陰で子供たちは魔法を使おうと一生懸命手を動かしている。


『てやあああああ』

『むぅううううう』

『やああああああ』


 うん、可愛いな?

 でも俺の頭の上でやんなよ。

 まぁじで。

 まあいいけどさ。

 死ぬほど可愛いから許すけど、頼むから俺の頭の上で風刃を発生させないでくれよ……?

 流石の俺でも傷がつくぞ……。


 まぁ回復魔法あるからいいんだけどさ。

 ふふふ、でもいいねぇ。

 やっぱり魔法を初めて練習する子たちは可愛いな。


『はぁ……はぁ……』

『ん? ニア?』


 後ろで何やら話し合っている様だ。

 足を止めて、そちらの方を確認する。


『どうした?』

『オール兄ちゃん、ニアの様子がちょっと変なの』

『んん……?』


 ニアの様子を見てみると、少しふらついている。

 少し手を当てて押すと、簡単に倒れてしまった。

 踏ん張りが利いていない。

 鼻を頭に近づけてみると……耳が熱かった。


 犬は熱があると耳が熱くなると聞いたことがある。

 狼もイヌ科なので、おそらくは同じだろう。


 俺はすぐにニアを闇の糸で丁寧に持ち上げて、背中に乗せる。

 小さい子供たちも異変に気が付いたようで、魔法を使おうとするのを止めてニアに近づいて来ようとしたのだが、すぐに闇の糸で捕まえてガンマに乗せた。


『ガンマ、暫くこいつらを頼む』

『お、おう』

『ベンツ、周囲の状況確認』

『わ、分かった!』

『レイン、水を出せるか』

『う、うん! 大丈夫よ!』


 俺はすぐに土魔法を使って、二つ小屋を作る。

 一つは俺以外が入れる小屋。

 もう一つは俺も入れる程の大きな小屋。


 俺はすぐにニアを連れて、小屋の中に入る。

 中に備え付けられている暖炉に火をつけ、ニアをその前に下ろして背中から俺が温めるように丸くなる。


 今のニアは完全に病気だ。

 俺は前世で病気になっている動物を見たことがないので、とりあえず温めるという事しか思いつかない。

 だが、動物の自然治癒能力は凄いものだ。

 時間はかかってしまうだろうが、暫くはここに留まってニアの治療に専念しよう。


『回復魔法……』


 ニアの体を、薄緑色の光が覆う。

 それはすぐに消えたが、相変わらずニアは苦しそうだ。


 ……やはり、回復魔法は病気には効かなかったか。

 仕方がない。

 ここはニアの自然治癒能力を信じよう……。


『レイン、居るか?』

『い、いる!』

『お前は子供たちに水をやってくれ。俺はここでニアを見る』

『分かったわ!』

『それと、これからの指示はベンツに聞いてくれ。暫くここに留まるって伝えておいてくれるか』

『うん!』


 そう言うと、レインは走って皆の所に向かって行った。

 小さい子供たちは、レイン主軸で面倒を見てもらおう。

 後はベンツに任せておけば問題ない。

 俺も土狼で協力はするが、指示は出せないからな……。

 まぁベンツなら大丈夫だろう。


『ニア、大丈夫か?』

『スゥー……スゥー……』


 少し息が荒いが、眠ってしまっている様だ。

 疲れていたのだろう……。

 この長旅だ。

 子供たちには堪えるのも無理はない。


 気が付けなくてすまんかったな。

 小さい子供たちを見てるだけで、お前たちを見られていなかったよ。


 すると、ベンツが中に入ってきた。


『周囲は獲物がちょっといるくらいだよ。危険は無いと思う』

『そうか。お前たちは隣の小屋で寝てくれ。これが感染する病気だったらマズいからな』

『……? わ、わかった。とりあえずここには来させないようにしたらいいんだね?』

『ああ、そうしてくれ』


 感染とか言っても分かんねぇよな……。

 すまんかった。


『あと、ニアには肉をすり潰した物を持ってきてくれ』

『分かった。じゃあそれはガンマに任せるよ。兄ちゃんはご飯どうするの?』

『適当な肉を持ってきてくれたら、それを食べるよ。すまんな、任せてしまって。土狼だけは何匹か置いておこう』

『いいよいいよ。ニアをよろしくね』

『ああ』


 ベンツはすぐに去っていく。

 これで後は全てやってくれるだろう。

 今日は、ニアを温めることに専念しよう……。


 血は繋がってないけど、家族の様に接するのっていいですよね……。

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