第一部 超怒級怒濤重低爆音 2
クロマチックを基調としたリフ。
歌が乗るとは思えない演奏の土台へ、猛獣のごとき咆哮が暴れ狂う。
(酷い・・・・これは音楽なんかじゃない!)
有紀は重さだけを重視したサウンドに耳を塞ぐ。
バスドラムが32分音符で蹴り込んでくる。陽子は涼しいどころかニヤニヤと笑みすら浮かべてプレイしている。感情を込めてもっと情熱的にしたり、身体を動かすこともなく、機械のようにビートを叩く。
ベースは弦のしなりがスローモーションで見えるほどに強く弾いている。あんな細い指のどこにそんな力が潜んでいるのか、Ashdown アンプからビシビシと張りのあるサウンドが響く。
ボーカルは顔を歪めることもなく下水道を流れる汚物よりも汚らわしい発声を、若きお嬢様ががなり立てる。
曲はブレイクダウンに入ると同時にギターが1弦24FからEmのスイープをポジションチェンジしながら5弦19Fまで下降、5弦14Fから上昇し、次は1弦21FからFのスイープをなぞっていく。
さらにポジションを下げながら美しくトライアドを追跡し、ピッキングは弦を正確に撫でていく。
そこからディミニッシュを左手2本と右手2本タップ、5弦から3弦、4弦から2弦、3弦から1弦のコンビネーション、32分音符で猛然と指板をダッシュしていく。ここまでいくと人力でやる必要があるのだろうか?速い、速すぎる。
どうやら酸素が薄い。頭が茫漠とした白い雲の中を歩いているような錯覚を覚える。
もう限界は超えた。ギターソロのあとは疾走感がグッと抑えられ、じれったいほど休符が多く、減5度の不穏な響きの中をドラムがトドメのようにグラヴィティブラストを叩き込む。
曲の終了とともに有紀は倒れた。
「あーあ、聴いてる方が倒れるとか」
明日香が有紀の顔をのぞきこむ。こんな刺激の強いことをしておいて良く言ったものだ。
「音が大きかったんじゃないかな?」
咲が優しく頭を抱えて膝枕をし、ハンカチで汗をぬぐってやる。ほんの3分くらいでも十二分にダメージを与えてしまったのを咲は少し後悔する。でもそれはボリュームを下げれば良かった程度の認識でここに連れ込んだことを悪びれるものではない。
陽子はドラムスローンに座ったまま手首をクルクルと回し
「準備運動でぶっ倒れるんじゃ本気の演奏じゃ死ぬね。・・・・つーか巨乳だよなぁ有紀ちゃん。今のうちにちょっと揉んでおくか・・・・おい、茜ちゃんも揉んでおくべ!・・・・・ってあれ?」
ギターをスタンドに立てかけ、振り向く。・・・・と
ガタガタと震え、涙目で狼狽える『茜』がいた。
「あうあう・・・・しししし、死んでる!死んでるぅ!」
さっきまで眼光鋭く尋常ではない指さばきを見せていた少女は、とても頼りなくダイムバックダレルモデルアンプの前でへたりこむ。
頭を抱えて床へ叩き付けたが、そこちょうどディスト―ション、クリーンブースター 、そして空間系が並ぶエフェクトボードの真上。
おでこをスイッチに強打して電源がONになった。
文字が表示されるディスプレイ。ボリュームはゼロだから聞こえはしないが、きっとリバーブやコーラスがかかっているに違いない。
「どあわあああああああ!い、いひゃい!あ゛だま゛わ゛れ゛だ!」
「お~よしよし。今のは痛い。大丈夫だよぉ、頭は割れてないから。あと有紀ちゃん死んでもいないし」
陽子が頭を撫でてやりながらなだめすかす。鼎の沸くが如し泣きっぷりは、この世の破滅のようなギターを弾いていたとは思えない。むしろ破滅を悲しんでいるような有様だ。
「泣き止んだら連れて行きましょう。朝一の新幹線で向かっているなら、きっと『社長さん』もお昼前には合流しているはずだし・・・・」
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「あんにゃろーども!許せん!」
ガシガシとバッグに書類などを押し込みながら島は職員室をバタバタと後にする。
「あの、島先生、まだ仕事が山ほど残ってるんですが・・・・・」
青山が声をかける。
「初日からサボった生徒の自宅訪問です!戻ってきたら残業しますのでどーぞおかまいなく!」
ガツンと扉を閉めて苛立った足音を見送るしか術はない。
サボった生徒は5人。
2年生の3人はまさかサボるとは思わなかった。そしてそもそも新入生が初日からサボり、しかも騒動渦中の張本人がサボったとあれば校長はじめ管理職も胃が痛い。そしてこの5人をコントロールできるのは島しかいないはずだ。
「島先生、こんにちは」
勢いよく玄関へ飛び出してきた島へがっしりとした体格で日焼けした肌の中年男性が声を掛けてきた。
「あ、これは一之宮社長・・・・」
「娘の姿が見えなかったもので、どうしたものかと今から職員室へ伺おうと思っていたところなんですよ」
「そうでしたか・・・・ちょうどその件で私も出るところでした」
彼は一之宮明日香の父親、そして『一之宮建設』の社長。1代で会社を築き上げた苦労人であり、もちろんデュアルシステムで生徒の研修受け入れ、そして就職先としても学校が世話になっているし、事あるごとに寄付や奉仕作業を惜しまない気風のいい性格だ。
「朝の話だと学校の後、部活のメンバーで杉原さんのお宅にお邪魔するって言ってたんですよ。島先生が顧問ですから何かご存じないかと」
娘を案じる親の気持ち、子供は気が付いているのだろうか?しかし若いと言うのはそういう無謀さと迷惑と勢いも孕むものだ。そして後悔を重ね人として円熟していく。
「私も何があったのかは現時点ではわかりません・・・・・今から杉原さんのお家へ伺いますので分り次第連絡をいたします」
「そうですか、お願います。私、これから会合があるもんですから・・・・頼みましたよ」
島は会釈し明日香の父親の車を見送ってから煙草に火をつけた。
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学校から徒歩15分の住宅地、道路から1本入った区画に喫茶店『S』がある。
静かな佇まい、綺麗に手入れされた草花と手の込んだ食事、そして看板猫が売りの地元の住民から愛される喫茶店だ。
入口は昔の酒屋を改装して、昭和レトロな木造とカラフルなタイルの組み合わせが懐かしくも新しい。引き戸を開けて中に入れば広い店内、一面壁だった部分にガラス窓を張り替え庭を一望できるようにリノベーション。そして昔の帳場がカウンター席になっている。
床は使いこまれた古材を使ったフローリングに、雰囲気を壊さず、元の味気ないビニール床から張り替えられている。
いつもは常連の主婦や外回り営業の休憩の人間が普段使いをするお店なのだが、もう2週間もすれば桜を見るための観光客が押し寄せる時期になる。
ガラガラと扉が開く。
「いらっしゃーい、あ、紀ちゃん、どうしたの?目つき悪いわよ」
店主はふんわりした女性。店を訪れたのは島だ。
「みのりさ~ん、そりゃ目つきも悪くなりますよ!自分のクラスの生徒が新学期初日から2人サボってんですから・・・・・」
店主はくすくすと笑う。
「あらあら・・・・きっとその『犯人』はウチのリビングにいるはずだわ。使ってしまって悪いんだけど、そのリビングへコーヒー持って行ってくれる?」
鼻腔をくすぐる香り。店主、みのりの淹れるコーヒーはクリスタルマウンテンを深焙煎した定番のモノだがいろいろな産地を組み合わせて絶妙のバランス。それがチーズケーキやクッキーによく合うのだ。
それをポットへ注ぎ、カップを9個テーブルキャリーバッグに入れる。
「はい、頼んだわよ。ちゃんと叱って、そしてちゃんと話を聞いてあげてね」
みのりの言葉に頷き煙草を携帯灰皿でもみ消すと島はポットとバッグを持って店の奥の通路へからリビングへと向かった。
廊下を歩いて右手に玄関、左手に地下に降りる階段と2階に昇る階段。そのまま突き進めば広々としたリビングダイニングキッチン。そこに見慣れた制服姿と見知らぬ来客が見える。
「おう、紀ちゃん!いらっしゃい。説教は後回しにしてくんない?まずは挨拶しよう」
その見知らぬ来客と並んで座っているのが有紀。その横隣りの列のソファに制服姿の少女達。それらを正面で出迎えているのがこの家の主である。
「昇さんが言うならとりあえず我慢します・・・・・」
『昇』と呼ばれたその男はずいぶん若く見える。正直島と変わらないくらいにしか見えない。白いシャツにジーンズで飾りっ気がなさすぎてどこにでもいる普通の人間にしか見えない。
その正面反対に有紀と並んで座る男性は50代くらい。短髪で特別染めたりせずに年相応、顔色は軽く日に焼けて健康的な印象を受ける。整えた髭と青のシャツにノーネクタイのスーツ姿が今時のビジネスマンのお手本のようである。
有紀の隣りにやはり初見の女性が座っていて、こちらは30代にそこそこだろうか?有紀と距離感も一番近い様子で戸惑っている有紀をなだめすかしている。
「紀ちゃん先生ごめんね~」
「勢いで・・・・」
陽子が軽いノリで、咲は反対にペコペコと頭を下げて申し訳なさそうに謝ってくる。明日香は目を閉じてじっとしているだけで何も喋らない。茜は3人の後ろでおどおどするだけだ。おでこには冷却シートが貼り付けてある。
有紀はとにかく事態が飲みこめておらずぽかんとしている。
はいはい、とあきれ顔であしらって島はカップを取り出しコーヒーを注ぐ。咲がすぐさま手伝う。やはり細やかな気配りは咲が一番常識的というか、できている。
「では、全員揃ったんで紹介します。こちら安田有紀さんが通う学校の先生、島先生です」
「船山高校、1年2組担任、音楽教師の島紀子と申します」
深々とお辞儀をするその姿はビシッと美しくスタイルの良さが映える。
「お初にお目にかかります。私、『エポック』の浅井と申します。ウチの有紀がさっそくご迷惑をおかけしたそうで・・・・お詫びいたします」
「っ!社長・・・・頭を上げてください、悪いのは生徒達ですから。当初の予定通り学校を終えてからこちらに来れば良かっただけなのですから」
有紀が所属する音楽会社の社長が一教師にすぎない島に謝罪をするなどまったくお門違い、それにきちんと管理できなかった自分の責任であり、ただただ恥じるばかりだ。
「社長、まぁまぁ、そちらの女性も紹介してくださいよ」
主が促して譲らない譲り合いを止める。
「私、安田のマネージャーを担当しております、梅沢です、よろしくお願いいたします」
「あらためて、今日お集まりいただきありがとうございます。ウチのコーヒー冷めないうちにどうぞ。みのりさんが淹れたコーヒーは絶品ですよ」
あははと笑いながら資料が入ったノートを広げているこの家の主へコーヒーを一口飲んでから浅井が本日の趣旨を問いかける。
「それで、本日は安田有紀の録音とプロデュース業の提携に関して・・・・ということなんですが」
「社長、いきなりビジネスの話ですか?せっかくF県までご足労願ったんですから少しゆっくりなされては?」
「いいえ、そうはいきません。
私はこの会社に移籍する前は本社で洋楽の部門の責任者をやっていました。その頃、黎明期だったメロデスシーンに現れた伝説のバンド『Majesty』のギタリスト『杉原昇』が目の前にいるんですから」
「社長・・・・どういうことですか?私はこっちにいる杉原茜さんのお父さんとしか聞かされていないんですけど・・・・」
有紀が不安げな顔で浅井を見る。
「有紀、私はね、昔は海外のヘヴィメタルも扱っていたんだよ。
あの時に契約できたバンドが今は軒並み大御所大ベテランでちょっとした自慢なのさ。
その当時、日本から単身渡欧し、衝撃的なデビューをしたギタリストがいた。
そのギタリストは誰よりも速く、誰よりも美しいスイープ、そして感情豊かなビブラートで全世界を魅了した・・・・それがこの杉原昇だ!」
「え?じゃあ杉原茜さんのお父さんはすごい人なんですか?」
「ああ、すごい。メタルが死にかけていたアメリカじゃなく、北欧へ行ったその先見の明も素晴らしい・・・・が人気絶頂のまま突然バンドを去り引退したんだ。
それから自分のスタジオを開いて経営をしているというだけで一切表舞台には出てこなかった。
そして録音作業以外はどんなオファーも誰からの頼み事も引き受けなかった。
ここでただひたすら世界から訪れるバンドの音楽プロデューサーとしてのみ活動していたんだ 」
「それはどうして?」
有紀は不思議に思う。若いからこそ気がつかない。怪我や病気でもしないかぎり、演奏をして表現をすることこそが最上の喜びであることに少しの疑問も抱いていない純粋な心では昇がこの小さな町から出ることをしなかった理由は理解できない。
煙草に火をつけて大きく天井へ煙を吐き出し昇は茜を指さした。
「茜が産まれた・・・・からだよ、そんだけさ」
コーヒーを飲み煙草を灰皿に置く。ゆっくりと立ち上る煙の向こう側で組んだ手の上に顎を乗せた昇は有紀を見つめる。その視線は鋭いわけでもなく穏やかなものだけれども、深く吸いこまれそうな不思議な強さを持っていた。
「茜の演奏、聴いただろう?自分が引っ込むことにした替わりに、茜に全てを叩き込んだよ。親としては失格だと思うね。強制はしてないけれど、家中にギターを放置しまくって、どうやったってギターに触るしかない環境にした。でも確信したんだ、「こいつは俺を超える」ってね。
それからは世界中からレコーディング仕事だけを受けた。
ありとあらゆるプレイヤーを泊まり込みで作業させたんだ。
家には四六時中、タトゥー入れまくったゴツい外国人がウロついてデカい音を出してビール飲んでる。そこで俺は頼んだのさ「おい、暇な時間は子守代わりにギターを教えてやってくれよ」って」
伝説の親からの英才教育、そして毎日、世界中のヘヴィメタルミュージシャンから直接コーチを受け続けた少女、それが杉原茜の正体。
有紀が見たあの強烈な姿はヘヴィメタルだけを叩き込まれた完全完璧、嘘偽り無しの鋼鉄の怒れる女神なのか。
「それで・・・・どうしてその・・・・私なんですか?」
昇は煙草を咥えたまま立ち上がると
「有紀ちゃん、それはこっちだ」
リビングを出て階段の前で振り返る。
「ウチの地下に君への答えがあるよ」
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昇が階段を降りていくのを違和感なく追いかける明日香達。日ごろから出入りしているのだろう。もちろん茜もおでこをさすりながらパタパタ降りてゆく。
有紀は浅井に促され階段へ歩みを進める。
コンクリート打ちっぱなしに滑り止めだけ設置してある素っ気ない階段の先にあるのは、防音扉のあるちょっとしたスペースで、壁にはたくさんの写真やサインが並んでいる。
「開けてみて」
有紀はノブを上へ回し、扉を開ける。その先にあったモノは
「ピアノだ・・・・」
コントロールルームにはPCとミキサー、AD/DAコンバーターなどが搭載されたラック、ギターは夥しい数が壁に掛けられ、さらにラックスタンドですぐ手に取れるように5本ほどがチェアの近くに置かれている。
キーボードも置いてあってここだけでも録音が完結するほどだ。
レコーディングブースも20畳はありそうな広さで、5枚のペルシア絨毯の上にそれぞれドラム、ベースアンプ、ギターアンプが並んでいる。
その隣りにもう一つのブースがあって、そこに有紀の目に飛び込んだグランドピアノが鎮座している。
「見てもいいですか?」
有紀は昇にキラキラした目で許可を求める。
「遠慮すんな、弾いていいよ」
昇はチェアに座って新しい煙草を取り出しフェーダーを上げる。
「お手並み拝見・・・・ね」
明日香が楽しそうにするのは久しぶりだ。いつもクールで冷静で、興奮とは正反対の人間かと思ったけれども、スイッチが入ればやっぱり『こっち側』だ。
タッチを確かめるように、指ならしも兼ねてクロマチックの上下降、ドレミを両手オクターブで上下降。
そこから迷いなくすっと弾き始めたのはシューマン『幻想小曲集作品12 第2曲 飛翔 』
普通のテンポよりだいぶ速い。しかし焦るような雰囲気は感じさせず、左手はくっきりと力強い。なにより実に雄弁なるタッチで語りかけてくる。
「すごいにょ・・・・」
茜が聞き惚れている。
優雅に鍵盤を飛び回る右手はまさに飛翔。有名な曲だが、難解というか、作曲の意図が読みにくく着地点が定まりにくいこの曲をこの若さでよくぞここまで弾きこなすのはさすがというべきか。
弾き終って、有紀はピアノをじっと子犬でも眺めるかのように動かなかった。どうやら気に入ったらしい。
それでもはっと我に返ってブースから戻って来た。全員が拍手でお出迎えだ。
「どうしてその曲を?」
昇がちょうど煙草を灰皿に押し付けた。
「あのピアノがグロトリアンだったから・・・・」
「なかなかサービスいいね」
「実はね、有紀。あのピアノは今回のために杉原さんが購入してくれたんだよ。
これから君はF県と東京の往復をこなさなければならない。コンサートは仕方ないとしてレコーディングは予算的にも時間的にも考えないといけない。勉強にも支障が出るしな」
「そこで、ウチのスタジオが『安田有紀の録音作業を請け負う』ことにしたのさ。今日から君は24時間いつでもこのスタジオを使用できる。これは君のお父さんと社長が話し合い、紀ちゃんが俺に持ちかけてくれた。ただし条件もこっちから出させてもらうんだけどさ・・・・」
「その条件って・・・なんですか?」
「それは・・・・」
「それは私たちのバンドに加入すること・・・・」
腕を組み椅子に背中を預けたまま明日香が昇の説明を遮った。それから立ち上がり、有紀の前に歩み寄ると
「私たちはやっと茜さんを人前に出していい許可を昇さんに貰えたの。あとはキーボード。最高のメンバーじゃなければ世界は獲れないでしょ?」
顔がくっつく寸前まで近づけて明日香は有紀の手を握る。
「私を信じれば必ずあなたは世界で一番有名なピアニストになれる・・・・私がしてみせる!」
よくわからないがすごい説得力がある。とても誠実で、実績と歴史に裏付けられた発言のように聞こえる。しかし自分の一つ上の学年、同じJKであって、別に権力者でもなんでもない。でも明日香の目と言葉は惹きつける何かを持っている。
「あ、あの・・・・しゃ社長?わたしどうしたらいいんですか?」
有紀は慌てて浅井へ助けを求める。
「バンドに入ってもらわないと困る」
あっさり。
「う、梅沢さん?ダメですよね?忙しくて両立できないですよね!?」
「スタジオの使用料と人件費がバーターなのでよろしくね有紀ちゃん」
あっさり。
メタルやるの?私が?
なんで!?
嫌だよ!さっき気絶したくらいなのに、それを演奏しろって?
「じゃー、そういうことで。・・・・それじゃ次は教師と生徒としての会話を始めますよ、あんたたち!まず正座しなさい!」
島が拳をバキバキ鳴らしながらお説教を始める・・・・。