第3話 選ばれた男
「なんで俺がゲームの世界に来たんだ? 俺は大吊橋から飛び降りてたはずだ。ありえないだろ?」
「そんなこと言われてもマスターは選ばれたんだから仕方ないのです!」
「選ばれた…? この俺が?」
「なのです!」
「さっきから、なのですなのですって俺は真面目な話をだな−−」
ついカッとなって少女に詰め寄ろうとした瞬間、目の前が真っ暗になった。
次の瞬間、俺は地面に叩きつけられていた。
関節を決められて顔は見えない、代わりに大きな翼が見えた。
「ッ……!?」
「フェアリン、本当にこいつが私たちの救世主なのか?」
「この世界にきたってことは間違いないのです!」
「ふぇあ…りん…?」
その名前を俺は聞いたことがある。
この世界に来て、少女の姿を見た時に気づくべきだった。
「フェアリンってナビキャラの…」
「やっと思い出してくれたのですね!」
少しづつ状況を理解してきた。
なんでこの世界へ来たのかは俺も彼女たちにも分からない。
だが、今俺が見ている光景が夢じゃないなら、俺は自分が遊んでいたソーシャルゲームの世界にやってきた。
「いてて…もう暴れたりしないから解放してくれ。」
「おっと、すまない。」
そういうと大きな翼を持つ女は関節技を解いた。
「うわっ!?」
「……? 何を驚いとるのです?」
「いや、だって…」
俺の眼前には、大きな翼を持ち、フェアリンと同じような部族の衣装に身をまといつつも胸元からへそまでがはだけた妖艶な女性がそこにはいた。
そしてその女性も俺は知っている。
「スレアエー…だよな?」
「あら? 私のこともご存知だったのですね。」
ご存知も何も、ソーシャルゲーム内じゃ貴重なSレアキャラだ。
持っているキャラを、次のレアリティへ引き上げるために必要な進化キャラであり、高難度のイベントで手に入るレベルの代物。
そんなキャラが今、目の前にいる。
「こんなところで話していると幻獣や魔族に襲われかねません。安全な私たちの里へ案内しますね。」
「マスターもきっと気に入ってくれると思うのです!」
襲われるなんてことを聞かされたら俺に拒否権はない。
ここはスレアエーの言うことをおとなしく聞いておこう、俺はそう思い2人についていくことにした。




