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超テンプレ異世界ファンタジー 作者:はやを
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プロローグ

「ここはどこだ? あんたは誰だ?」

 見知らぬ風景と見知らぬ人物のセットに、当然すぎる質問をしていた。やたらめったら神秘的な衣装を纏ったおっさんは、落ち着けとでもいうように一息吐いて話し始める。

「まあ平たく言うとな。お前は死んだ。もう元の世界に戻ることはできない」
「いや質問に答えろよ。なんで状況説明してるんだ」

 わけが分からない。混迷極まる現状に頭を抱えそうになる。そりゃそうだろう。学校へ向かう最中に突然変な光に包まれ、気づけば真っ白けな空間へ放り込まれ、変なおっさんが出てきたと思ったら俺は死んだと来てる。普通にパニックだ。もし俺が偏屈者でなきゃ暴れ出してるぞ。

「分かった分かった、説明してやるよ。まず私は使いっ走りの低級神だ。で、ここはお前のいた世界と神の世界の中間点みたいなモンだ。通常なら死んだ生物の魂はそのまま神の世界へ直行するんだが、特別な事情を抱えたヤツは一旦ここへ案内することになってる」
「長いよ。一行で説明してくれ」
「お前は異世界転生することになったのさ」
「なるほど、そういうことか」

 話が見えた。要するに、俺は世間一般的にイメージされる異世界ファンタジーの展開に巻き込まれたということだろう。だったら今までの意味不明現象も説明がつく。というかそうであってほしい。こんな目に遭わされて実はドッキリでしたとか言われたら、二度と俺は人間を信用できない。

「しかし、なんで俺なんだ。まさか手違いで殺しちゃったからそのお詫びとか?」
「んなわけないだろ、こっちの管理システムナメんな。端的に言うとアレだな、馬鹿な別の神連中のお遊びってヤツだ」
「お遊び?」
「神の国って暇なんだよ。下の世界みたいになんか凄いことも起きようがないから、退屈で退屈で仕方なくて。ずっとそんなんだから一部の連中がストレス病みしちまうんだよ。で、それじゃまずいってことで定期的に適当な人間一人を別の世界線に放り込んで、その様を観賞しようって習慣ができたのさ。私のような実務員としちゃ、無駄な仕事を増やしやがってふざけんなってトコだがね」

 低級神はそう言って溜息を吐いた。つまり俺は完全に向こうの都合で死なされたということか。怒るべき場面なのだろうが、実際は呆れこそすれ理性を飛ばすような情動がこみあげてくることもない。俺が聖人君子な精神を持ってるとかじゃなく、単に神側でなにかパニックを起こされないように工夫をしたんだろう。その証拠に、俺は生きている最中になにをしてきたのか、ほとんど思いだせなくなっている。

「……ま、細かい話はどうでもいいや。で、おきまりの転生特典とかないの? 退屈した神々の遊びだ、どうせ転生先はアホみたいに物騒な世界だろ。流石にこんなモブ状態だとすぐお陀仏だぞ」

 どの道、元の世界に戻らせてくれそうにもない。俺はそう訊いて話を進める。低級神は「あることにはある」と肯定を返してきた。

「肉体面と精神面、どっちも現地基準でそれなり以上になるように計らってる。ついでにいうと向こうは衰退気味だが魔法文化があるから、こっちも平均以上のデキにしといた。ただ、流石にチートスキルで無双ってなるとシラケるから、転生して国家元首になるとかいうのは諦めた方がいい。ウチの馬鹿神様は泣いて喜ぶだろうがな」
「なにごとも程々に、か。文化の違いはどうなってる? どこに行っても異端者扱い排斥対象さんですとなったら、心が折れてダークサイドに落ちかねんのだが」
「そこらへんは、まあ、アレだ。ご都合主義ってことで適当に合わされてるから。お前が自然体で振舞っても、少し変わり種だな程度で済むようになってる。衣服とか食事は……面倒くせ。行ってみりゃ全部わかるだろ」
「ひでぇな、大事なとこだろそこ」

 低級神は、自分のせいじゃないとでもいうようにかぶりを振った。慣れ果てた感のある仕草。多分、こんなやり取りは幾度もやって空きてるんだろう。それだけこんなお遊びが繰り返されていると思うと、なんだか同情がこのおっさんに対して湧いてきた。

「……あ、そうだ。転移先とかはランダムで選択権はまったくないが、自分の得意武器はお前が決められるぞ。刃物とかそういう分類じゃなくて、両刃剣とかメイスとか具体的に答えてくれ。専用装備を用意してやるから」
「はぁ、武器ねぇ……」

 あまり想像してなかった質問に、俺は鈍い返事をした。ちょっと悩む。わざわざ武器を用意するってことは、それ即ち人間なり魔物なりと命のやり取りをするのが必然っていうことに他ならない。となると絵的な見栄えを気にする余裕はなさそうだ。格好良さを得た代わりに実用性を捨て去れば、戦さ場で無残な結果を晒す羽目になるのは目に見えてる。
 が、俺の性に合う武器なんて思いつくわけがない。武道の動きなぞまったく身に覚えがないのが実情だ。となると銃でも頼んでおくべきか? でもそれだと絶対弾の調達が面倒だよな。あれ、でもそれワンチャン魔力弾的なやーつをこしらえてくれるんじゃね。あ、しかしそうすると肉体強化ボーナスで武器の熟練度も補正されんじゃないか? だけど、そんな都合のいいことが起きるのか? ここはもっと慎重に──

「日本刀でお願いします」
「間の割りに普通の回答すぎるだろ。さては思考放棄したな」
「うるせっ」

 見透かした発言に反発する。テンプレだと笑われるかと思ったが、低級神はどこからか取り出したボードに何事かを書き込み始めただけだった。今までの連中も、皆こんな感じで決定を下していたんだろうか、と事務処理的な空気からそう推測する。

「よし、終わり。あとはもう転生して現地でどうにか生きてくだけだ。これでやっと仕事から解放されるぜ……」
「どんだけ仕事嫌いなんだ。つーか思っても客の前でそんなこと言うなよ」
「実質ただのボランティアにやり甲斐もなにもあるもんかい。あと別に愚痴ったって問題はまったくないぞ。どうせ二度は会わない仲なんだしな」

 だからそういうこと言うなって。そう諌めようとして、自分の体が光っているのに気がついた。ここに来る直前と同じだ。知らせの一つもなく、いきなりどこかへ連れ去られる時に発せられる、理不尽の合図。

「行ってらっしゃいイツキ君。転生直後だけは死んでくれるなよ。もう飽きられてるモンでなー」
「せめて真っ当に送り出せよっ」

 まだ言いたいことがあったが、これだけで限界だった。光の密度が濃くなり、あらゆる事物を視界から消していく。気だるげに手を振るおっさんが見えなくなった瞬間、意識が飛んでなくなった。
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