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第97話 ミネストローネ

 どさどさ、と台所に荷物の山を下ろして、僕はふぅと肩の力を抜いた。

 思っていたよりも大量になったな。そんなに買い漁ったつもりはないんだけど。

 あれもこれも必要かなって考えながら買い物をしていたら、知らず知らずのうちに一杯になってしまっていたらしい。

 まあ、無駄にせずに料理に使えばいいだけのこと。そこまで気にする必要はないだろう。

 じゃあ……始めるか。

 頼むよ、料理本。

 僕は料理本を取り出して、ぱらぱらとページを捲った。

 何か、此処にある材料で作れる簡単そうな料理は……

 どれも美味しそうだなと思いつつ、レシピを物色すること10分。

「イオ、これ食べていい?」

 スノウが、調理台の上に載ったバナナを指差しながら話しかけてくる。

 いいよ、と僕はバナナを1本もいでスノウに渡してやった。

「……よし」

 料理本を開いたまま調理台の上に載せて、滅多に使うことのなかった包丁とまな板を棚の中から引っ張り出す。

 それらを流水で綺麗に洗い、僕は買ってきた野菜の中からキャベツを選んで取り出した。

 作るのは、ずばりミネストローネだ。

 これなら材料を切って煮るだけでできるから、僕でも作れるだろう。

 キャベツの葉を外側から順番に取り外し、洗って食べやすい大きさに切る。

 この時の切り方は適当でいいらしい。なので口に入る大きさになるようにざくざくと切っていく。

 同じ要領で人参、ジャガイモも皮を剥いて一口大に切り分ける。

 皮を剥く時に少し歪な形にしてしまったが、そこはまぁ御愛嬌だ。

 ジャガイモは芽の部分を取ることも忘れない。

 後は……ピーマンも入れるか。

 ピーマンは半分に割って中の種を取ったら細切りに。

 僕が切ると御世辞にも細いとは言えないが、まあ切れていれば良いので深くは考えないようにしよう。

 切り分けた野菜は、洗って籠に入れておく。

 次に、材料を煮込むための鍋を用意する。

 竈に火を熾し、水で満たした鍋を火にかける。

 切った野菜を鍋の中に入れ、吹き零れないように注意しながら煮ていく。

 野菜を煮ている間に、スープのメインでもあるトマトを切っていく。

 トマトは細かめに切っておくと味が馴染みやすいらしい。

 切ったトマトも鍋の中へ。

 それと、忘れちゃいけない野菜出汁の素。

 最近はこういう料理に便利な調味料が豊富に売っているのだ。ひとつあれば色々な料理に使えるというので思わず買ってしまったが、早速役に立ったよ。

 野菜出汁の素を鍋に加えて、更に煮詰めていく。

 野菜によく火が通ったら塩と胡椒を振り入れて味を付け、完成。

 見た目はトマト色をした野菜スープだ。これはこれで美味しそうではあるが、ちょっぴり物足りない感もある。

 ああ、茸とか豆を入れても良かったかもしれないな。

 どれ、味見を。

 おたまで少量スープを掬い取り、息を吹き掛けて冷ましながら口へと運ぶ。

 ……野菜出汁の素が効いてるね。胡椒のぴりっとした味もちょっとしたアクセントになっている。

 初めて作った料理にしては、上出来なんじゃないか?

「いい匂いがするねー」

 バナナを綺麗に平らげたスノウが、鍋を見上げながらすぅっと深呼吸をする。

「今御飯にするから、待っててね」

 用意した器にミネストローネを盛り付ける。

 白パンと一緒に食卓に並べて……と。

「できたよ、スノウ」

 僕が席に着くと同時に、スノウは大きく口を開いてミネストローネを頬張った。

「熱いけど、野菜の甘いのが染み出てて美味しいよ」

 どうやら口に合ったようだ。

 僕もスプーンでジャガイモを掬って口へと運んだ。

 口の中でほろっと崩れるジャガイモにトマトの酸味が染み込んでいて、美味しい。

 これを自分が作ったとはね。我ながらびっくりだ。 

 料理本様様である。

「おかわりはあるから、たくさん食べるんだよ」

「うん」

 ──鍋が空っぽになるのに、そこまでの時間は要さなかった。

 初めての料理、どうやら上手くいったようだ。

 自炊に対して、ちょっぴり自信が付いたよ。

 これからも、無理のない範囲で料理する機会を増やしていこう。

 目指せ主夫!……かな?

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