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第81話 いざ鉱山へ

 小さな雲が、空を滑るように流れている。

 文句なしの晴れだ。

 日帰りの仕事とはいえ、やはり天気は晴れていた方が気分がいい。

 この分なら、目的地の鉱山も晴れているだろう。

 調理ギルドで貰った料理を詰めた鞄を抱え直して、僕は採掘ギルドの迎えが来るのを待っていた。

 出張の度に袖を通していた旅装束も、何度も着ているせいか今では随分と身体に馴染んでいる。

 鉱山ではかなり歩くと思うんだ。動きやすくて馴染んだ服を、と考えるとどうしてもこの格好になっちゃうんだよね。

「よう、待たせたな」

 通りの向こうから、屈強そうな採掘師たちを引き連れたクレールさんがやって来た。

 採掘師は全部で6人。皆そこそこ若く、現場慣れしていそうな面々が揃っている。

「今日は宜しく頼む」

「これで人数は揃ったのかい?」

 採掘師たちに紛れるようにして佇んでいた背の低い少女が言う。

 革鎧を着て弓を背負っていることからして、彼女が護衛役の冒険者なのだろう。

 冒険者らしき人物はもう1人、線の細い大人しそうな娘さんがいる。杖を持っているのでおそらく魔道士だ。

 おう、とクレールさんは頷いた。

「これで最後だ。全部で8人。しっかり護衛してくれよ」

「了解。任せときな」

 掌を拳でぱしんと叩いて少女は笑顔を見せた。

 クレールさんは何処からか取り出した地図を広げて僕に見せながら、言った。

「今回調査する鉱山までは大体歩きで2時間くらいの距離だ。まあ遠足だと思って気楽にしててくれ」

 クレールさん……気楽にって言うけど、街の外には魔物がいるんだよ。

 護衛がいるから大丈夫だとでも思っているのだろうか。

「よし、それじゃあ出発するぞ!」

「行ってらっしゃいー」

 冒険者ギルドの中からひょっこり顔を出したヘンゼルさんが、笑顔で手を振っていた。

「イオちゃん、しっかりお勤めして来るのよー」

 大声で人の名前を呼ばないで下さいヘンゼルさん。恥ずかしいから。

 ああ、通りにいる人たちが何事かとこっちを見てる。

 他人のふりしてよう。

『お山、お山♪』

 僕の肩の上でスノウは機嫌良さそうに尻尾を揺らしている。

 スノウには悪いけど、鉱山では何も起こらないことを祈るよ。

 そう頻繁に何かあられちゃこっちの身が持たないのでね。

 こうして、採掘師に鑑定士に冒険者という何とも珍しい組み合わせのパーティは鉱山に向けて街を発ったのであった。

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