第80話 後輩の評価
昼食はシーフードピラフにした。
具のイカや海老がプリプリで実に食べ応えのある一品だった。
スノウも美味しいって言いながら夢中で食べてたよ。
帰りに屋台でメープルシロップ味のマフィンを土産に買って、冒険者ギルドに戻った。
土産のマフィンはヘンゼルさんが丁度甘いものが食べたかったと言って喜んでくれた。
2階の仕事場にはジャド君がいて、新しい鑑定依頼品とにらめっこをしていた。
因みにジャド君は、昼食を屋台料理で済ませたらしい。
鑑定依頼品は結構山になっていたので、僕とジャド君とで手分けして鑑定することに。
僕の担当分は指輪が多かった。
指輪って似てるデザインが多いから大量に持ち込まれるとちょっとややこしいんだよね。この辺りの鑑定のコツも、後でジャド君に教えないとな。
「……ふう」
一通り鑑定を終えて、僕は一息ついた。
ジャド君はまだ鑑定を続けていたが、その表情の何と生き生きとしていること。
本当に鑑定士の仕事が好きなんだな、彼。
鑑定の仕事が終わったら、鑑定品を持ってギルドカウンターにいるヘンゼルさんの元へ行く。
カウンター業務を手伝いながら、やって来る冒険者たちと会話の遣り取りをして午後の時間を過ごす。
そんな感じで、1日は何の問題もなく過ぎていった。
「それではお疲れ様でした、先輩。ヘンゼルさん」
夕刻。定時が来たジャド君は僕より一足先に冒険者ギルドを後にした。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様、また明日ねジャドちゃん」
ジャド君が帰ったのを見届けてから、僕もカウンターにある自分の名札をひっくり返した。
革袋に詰まった金貨の枚数を数えているヘンゼルさんに一声掛けて、自分の鞄を持ち上げる。
「僕も帰りますね」
「イオちゃん」
金貨を数える手を止めて、ヘンゼルさんが僕の方を向く。
「ジャドちゃんはどう? お仕事ちゃんとできてたかしら?」
僕に面倒を殆ど見させていたとはいえ、ヘンゼルさんはヘンゼルさんなりにジャド君のことを気に掛けていたようだ。
僕は掛けていた眼鏡を外しながら、頷いた。
「ええ、鑑定の腕に関しては文句なしですよ。あれなら僕がいなくても、立派にやれると思います」
「留守を気兼ねなく任せられるってわけね。良かったじゃない」
そんな頻繁に留守を任せることになるような事態は遠慮したいんだけどな。
しかし、留守を任せられるってことに関しては文句はない。
早速5日後にそうなるわけだし。
「これからもどんどん鍛えてあげてね」
「はい」
明日からは仕事を丸ごと任せてみよう。
鑑定から、冒険者たちの相手まで。
ジャド君なら顔もいいし会話をしていてとっつきやすいから、女性受けすると思うんだよね。
……僕だとそうはならないってのが自分で言っていて悲しいところだけど。
なんて、嘆いていても仕方ないか。
仕事の善し悪しは顔じゃ決まらないよな、うん。
おし、帰ろう。
「それでは、お疲れ様でした。ヘンゼルさん」
「お疲れ様イオちゃん。また明日ね」
冒険者ギルドを出たところで、スノウがみゃあと鳴き声を発した。
『イオ、スノウお腹空いた』
「はいはい。御飯食べに行こうね」
肩に乗っているスノウに目配せをして、僕は料亭へ続く道を歩いていった。




