第78話 出張鑑定依頼
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クレールさんの話を分かりやすくまとめると、こうだ。
採掘した鉱石の中に闇鉄鉱が紛れていたという事実が発覚して、採掘ギルドは大騒ぎになったそうだ。
何らかの手違いでギルドにあった在庫が混ざっただけなのか、それとも新たな闇鉄鉱の鉱脈の発見に繋がる大発見なのか。
それを確かめるために、採掘ギルドでは早速調査隊が組まれることになった。
ベテランの採掘師を中心に人員が集められたが、石の調査となるとどうにも心もとない。
そこで思い出したのが、闇鉄鉱の発見者のこと。何でも発見したのは鑑定士だという話じゃないか。
鑑定士の目は、採掘師の目に勝る正確さを持っている。採掘した石を鑑定するのにはうってつけだろう。
というわけで、調査隊への同行を依頼しに冒険者ギルドに訪れた──と、こういうわけらしい。
今回調査する鉱山は、ラニーニャから比較的近い場所にある。調査にはそこまで時間はかからないだろうということだった。
日帰り調査か。
ダンジョン調査と違って魔物がいる場所に行くわけじゃないから、気楽な仕事といえば気楽な仕事ではあるけれど。
でも、魔物がいないというのも絶対というわけじゃない。
何らかの手違いで魔物が出る──ということは、十分ありえると思うのだ。
そんな話をすると、クレールさんは調査に冒険者の護衛を付けると言った。
「何とか引き受けてくれないか。これは世紀の大発見に繋がるかもしれない大事な調査なんだ」
「俺からも頼むぜ。調査に同行してやってくれ」
横から口を挟むヴォスライさん。
鍛冶ギルドとしては、世話になっている採掘ギルドの問題は見過ごせないのだろう。
……まあ、戦いに行くわけじゃないし、護衛も付けてくれるって言うなら、引き受けてもいいけど……
『お山に行くの? スノウ、お山に行ったことないから楽しみー』
スノウは行く気満々だ。
……仕方ないなぁ。
「……分かりました。その話、引き受けます」
「おお、やってくれるか!」
クレールさんは笑顔で僕の手を取った。
「調査は5日後だ。朝に迎えに行くから、当日は宜しく頼む」
やっぱりこうなったか。
溜め息をつく僕の横で、ヘンゼルさんは笑いながら言った。
「ジャドちゃんがいるからこっちのお仕事の方は心配しなくていいわよ。貴方はお外で思う存分活躍してきてちょうだい」
「……出張鑑定依頼承り始めましたって看板でも立てるべきですかね」
「活躍の場が増えるのはいいことよ。もっと胸を張りなさいな」
ヘンゼルさんの言葉を聞きながら、僕は5日後のことを考えていた。
食事の準備とか……色々仕度をしないとな。
その前に、ジャド君に鑑定士のいろはを教えて……
そういえば鑑定を任せてたんだっけ、と急いで2階に引き返す。
ジャド君は鑑定作業を終えていたようで、机の脇に佇んで僕が来るのを待っていた。
色々あるけれど、まずは目の前のことから片付けよう。
「鑑定は終わりましたか?」
「はい。先輩、このイヤリングですけど──」
さあ、これから忙しくなるぞ。




