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第77話 冒険者ギルドの朝

「おはようございます」

 いつもの通りに出勤した僕を、ヘンゼルさんはいつもの通りにカウンターの奥から出迎えた。

「おはようイオちゃん。スノウちゃん。今日も1日宜しくね」

 カウンターの裏手に回って名札を表にして掛けたら、鞄を置いて眼鏡を掛ける。

 カウンターの上を片付けて営業の準備をしつつ、戸口の外に目を向ける。

 今日もいい天気だ。

 ほどなくして、シークさんが出勤してきた。

 相変わらず上半身裸の出で立ちで、手には屋台で買ったのであろう串焼きを持っている。

「おはよーっす」

「おはようございます」

「おはようシークちゃん。今日も逞しいわね」

「筋肉作りは男の嗜み! いい仕事をするにはいい筋肉が必要だからな!」

 串焼きにかぶりつきながら、肉体美のポーズを取るシークさん。

 相変わらずこの人はブレないね。そこがシークさんらしいといえばらしいけど。

「そういえばマスター、今日から新しい鑑定士が来るんだって?」

「ええ。もうそろそろ来る頃だと思うけれど」

 ヘンゼルさんがそう言い終わるや否や。

 白いフードを目深に被ったジャド君が、ぺこりと頭を下げながらギルドに入ってきた。

「おはようジャドちゃん。今日から宜しくね」

「おはようございます」

「おはよーっす」

「……おはようございます」

 微妙に眠そうな声で、ジャド君は挨拶を返してきた。

 朝は弱いのかな。目元も心なしか伏し目がちだ。

 まあ、時間が経てば調子も戻ってくるだろう。

「さ、ギルドが開く時間よ。今日も1日頑張りましょ」

 ヘンゼルさんの一声で、皆は各々の仕事場へと散っていく。

 僕とジャド君は2階へ行き、昨晩のうちに預かった鑑定依頼品の有無を確認した。

 今回持ち込まれたのは、ターコイズがあしらわれた腕輪と大粒のタイガーアイが目を引くイヤリング、サファイアやエメラルド等の宝石がふんだんに使われた宝剣だ。

 ぱぱっと鑑定できるものばかりである。数も少ないし、朝の仕事としては楽な方だ。

 これは、僕が鑑定するのではなくジャド君に鑑定してもらう方がいいかな。

 鑑定士の仕事がどんなものか、経験させるにはうってつけだろう。

「ジャド君。これ、鑑定してみてくれます?」

「はい」

 フードを脱いで、ジャド君はターコイズの腕輪を手に取った。

「鑑定眼」

 一応僕も鑑定してみる。


『【ターコイズのブレスレット】

 要所にターコイズをあしらった腕輪。星晶暦533年作成。』


「星晶暦533年の品物と出ました」

「魔法効果の付与はどうでした?」

「それについては何も出ませんでした」

「それなら、この腕輪は魔法の道具マジックアイテムではないってことになります。買取査定の値段を左右する重要な情報なので、これは忘れずにチェックして下さい」

「はい」

「イオちゃーん。ちょっと来てー」

 次の鑑定をと思ったところで、ヘンゼルさんの声が。

 何だろう。

 僕はジャド君に残りの2品も鑑定するように伝えて、階下へ降りた。

 ギルドカウンター前で僕を待っていたのはヘンゼルさんではなく、仕事着から覗く筋肉が逞しい2人の男たちだった。

 鍛冶ギルドのヴォスライさんと、もう1人。

 採掘ギルドのマスター、クレールさんである。白髪混じりの短髪と硬そうな髭が如何にも炭鉱の男って感じのする人物だ。

 この2人が来たということは、例の闇鉄鉱に関する話か。

「朝早くにすまないな。ヴォスライから聞いたが、あんたが闇鉄鉱を見つけてくれたんだってな」

「混じっているのを見つけただけですが、一応は」

 僕は言葉を濁さずにはっきりと言った。

 こういうことはぼかして言うと後々厄介なことになりかねないのだ。

「それに関して、ちと話があるんだが」

「それでしたら、こちらでお伺いします」

 交流スペースのテーブル席を勧める僕。

 予想していた通り、大きな話になりそうだ。

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