第71話 チーズハンバーグ
夕刻。仕事を終えた僕は、スノウと共に料亭へと来ていた。
スノウもすっかり料亭の雰囲気に慣れたようで、器に注がれた冷茶をリラックスした様子で飲んでいる。
何を食べようか。あれこれ思案しながら、僕はメニューを開いてスノウにも見えるようにテーブルの上に置いた。
此処のメニューは文字だけではなく料理の絵も載っているので、選ぶ時の参考にしやすいのが嬉しい。
絵なら、メニューを選ぶ時スノウにも理解しやすいだろうしね。
「スノウは、どれ食べたい?」
せっかくなので、スノウにどの料理が良いかを訊いてみる。
スノウは器に付けていた顔を上げると、メニューをじっと見つめた。
『スノウ、お肉が食べたいな』
肉料理か。
それならば……
僕はメニューのページを捲った。
肉料理の定番といえば、ステーキだ。シンプルに塩胡椒で味を付けたものから特製のソースを掛けたものまで幅広い味が楽しめるようにメニューが揃えられている。
ステーキ以外では、ハンバーグがある。デミグラスソースを掛けただけのオーソドックスなものから、チーズを掛けたものや、大根おろしで頂くあっさり目のものまで色々とある。
僕だったら定番のデミグラスソースを掛けたハンバーグを選ぶところだが。
この中でどれが良いかスノウに尋ねると、スノウは尻尾を揺らしながらチーズの掛かったハンバーグがいいと答えた。
チーズって何気に子供に人気あるよな。
せっかくスノウが選んでくれたことだし、今回はチーズ掛けのハンバーグにしよう。
店員さんを呼んで料理を注文し、待つことしばし。
熱々のハンバーグと白パンが運ばれてきた。
ハンバーグに掛かっているのはチーズだけじゃないんだな。たっぷり掛けられたチーズソースの下にデミグラスソースが掛けられているのが見える。
早速ナイフをハンバーグに入れてみる。
ほんのり赤味掛かった肉がお目見えすると同時に、じゅわっと肉汁が溢れ出てきた。
ジューシーだなぁ。
一口サイズに肉を切り分けて、デミグラスソースとチーズをよく混ぜたソースをたっぷり付けて。
では、いただきます。
熱いので火傷をしないように息を吹き掛けながら、ぱくり。
……噛むと溢れてくる肉汁が美味い。チーズも濃厚で独特の旨味を感じる。
そして、チーズ掛けというだけあって胃にガツンと来るね。
「スノウ、ほら」
スノウにも、切り分けたハンバーグを食べさせてやる。
『チーズが美味しいねー』
どうやらチーズが気に入ったようだ。熱いのではふはふ言いながら夢中で口を動かしている。
スノウが懸命にハンバーグを食べている間に、僕は白パンにバターを付けてひと齧り。
こういう料理ってパンが合うよね。何でだろう。
スノウがパンも欲しがったので、少しちぎってバターを付けて渡してやる。
付け合わせの温野菜は、ふたつあったので仲良く1個ずつ。
そんな感じで、僕とスノウはハンバーグを綺麗に完食したのだった。
今はこうしてひとつの料理を分け合って食べてるけど、いずれはスノウも1人前の料理を食べるようになるんだろうなぁ。
胃が膨れて満足した僕たちは、代金を支払って料亭を後にした。
徹夜したこともあって今日は疲れた。家に帰ったら風呂に入ってゆっくり寝よう。




