第7話 銀鮭のチーズソテー
調理ギルドに併設されているこの料亭は、プロの料理人ではなくギルドに所属する調理師が料理を作っている。
とはいえ、味は折り紙つきだ。プロが作る味と遜色のない料理を堪能することができる。
僕は、此処で食べられる料理がお気に入りだった。
何度か冒険者ギルドの同僚を誘ったことがあるのだが、安くて美味だと誰からも好評だった。それくらいの名店なのだ。
食事時になると行列ができるほどなのだが、今日は運が良く大して待たずに席に着くことができた。
さて、何を食べようか。
メニューを開き、僕は思案する。
魚料理を……と思っていたのだが、こちらの野菜をたっぷり使ったトマトパスタも捨て難い。
いやいや、それとも定番のミートドリアにするべきか。
うーん、迷う。
こんな時はこれ。料亭の本日のお勧め料理。
日替わりで掲載されているメニューが変わる、料亭自慢の一品だ。
今日は……銀鮭のチーズソテーか。
周囲に目を向ければ、それと思わしき料理を注文している客がそこそこいる。
人気みたいだな、この料理。
せっかくだし、これにしよう。
僕は店員さんを呼び、本日のお勧め料理を注文した。
運ばれてきたお冷代わりの冷茶に口をつけ、一息つく。
此処のお茶、不思議な風味がするんだよね。花の香りがするというか。
普通のお冷よりも、こっちの方が好きだ。
茶の味を堪能しつつ周囲の物音に耳を傾けて待つことしばし。
注文した料理が、店員さんに運ばれてきた。
チーズとバジルの香りが食欲をそそる。付け合わせのエリンギもよく火が通っていて美味しそうだ。
早速魚にフォークを入れる。身は柔らかく、大した力も入れていないのにほろりと皮から外れた。
チーズをよく絡めて、一口。
……うーん、美味い。
鮭特有の味がチーズとオリーブオイルの味とマッチして、絶妙なコンビネーションを演出している。
これは、チーズがなくても美味いな。米が欲しくなる味だ。
あれよあれよと言う間に銀鮭は減っていき、ものの10分もしないうちに、全て僕の胃の中に納まった。
これ、当たりだったなぁ。注文して良かった。
冷茶で口内の油をさっぱりと流して、僕は満足感に浸りながら席を立った。
この料理をギルドで鍛錬中の調理師が作っているなんて。調理ギルド、恐るべしだ。
代金を支払い、ごちそうさまと言って僕は料亭を出た。
時間的にも丁度良い具合だ。冒険者ギルドに戻って、ヘンゼルさんにお使いの代金を渡そう。
お土産に出店でマフィンでも買って行こうかとかそんなことを考えながら、僕は冒険者ギルドへ戻るべく来た道を戻っていった。