第63話 VSマーシュランドアイビー
三つ目の評価を頂きました。ありがとうございます!
こうして頂いた評価を見ていると、自分の文章力はまだまだなんだな……ということが分かります。
読みやすい文章が書けるように努力致します。
「ウィンドカッター!」
先陣を切ったのはルカさんの魔法だった。
ザシュッ、ザシュッと風の刃がマーシュランドアイビーの本体を覆っている葉っぱを切り落とす。
葉っぱが落ちた下から、木の根っこの集合体のような肌が姿を覗かせた。
あの木の根みたいなのが、マーシュランドアイビーの本来の身体か。
葉を切り落とされて痛みを感じているのかどうかは定かではないが、マーシュランドアイビーはぶるりと全身を震わせて蔓の腕をこちらに向けて振るってきた。
目もない身体だが、何処でものを見ているんだろう?
振り下ろされた蔓を、ロイドさんがハルバードで豪快に斬り飛ばす。
蔓はすぱんと断たれ、こちらに届くことはなかった。
『行っくよー』
みゃあ、と猛々しく声を上げるスノウ。
ごう、と火炎放射器のような激しい炎がマーシュランドアイビーの全身を飲み込む。
蔓の何本かが焼け落ち、火の粉が散る。
植物というだけあって、火には弱いようだ。マーシュランドアイビーは蔓をばたんばたんと地面に打ち付けて、暴れた。
炎が消える。
焼けてぼろぼろになった葉を胴体のあちこちに付けたマーシュランドアイビーが姿を現す。
閉じていた口を開いて、かなり怒っている様子でこちらに近付いてくる。
そこにラーシュさんが斬り込んだ。
残っている蔓を斬り飛ばし、マーシュランドアイビーの攻撃手段を封じていく。
足下には、切断されたマーシュランドアイビーの蔓が大量に落ちていた。
『まだまだー』
スノウが氷の槍をマーシュランドアイビーに向けて放つ。
どしゅっ、と脳天の辺りを串刺しにされ、マーシュランドアイビーがきしゃああと叫び声を発した。
口の中から、どろりとした液体が溢れて落ちる。
あれは何だ、酸か?
僕はこっそり液体を鑑定してみた。
『【消化液】
食肉植物が分泌する溶解液。触れたものを骨まで溶かす消化力がある。』
触れたものを骨まで……って、恐ろしいな。
あれか、食虫植物が花の中に溜め込んでいる液体みたいなものか?
何にせよ、触れない方が良いものであることに変わりはない。
僕は声を張り上げた。
「その液体に触れると溶かされます、気を付けて!」
「はい!」
マーシュランドアイビーの傍から一旦飛び退くラーシュさん。
剣を上段に構え直して、叫んだ。
「ファイアソード!」
ラーシュさんの剣が炎に包まれる。
煌々と輝く刃を、彼は真横に一閃した。
ラーシュさんの剣はマーシュランドアイビーの身体にざくりと深い傷を付けた。
傷口を文字通り焦がす攻撃に、マーシュランドアイビーは短くなった蔓を振り上げる。
そこに突っ込んでいくロイドさん。ラーシュさんを援護する形でハルバードを頭上に振り上げて、振り下ろされた蔓を受け止めた。
「ファイアウォール!」
更にルカさんが放った魔法が、マーシュランドアイビーを包み込む。
業火に焼かれて、マーシュランドアイビーはその場にどうっと横倒しになった。
根っこがひくひくと震えている。
炎が消えて露わになった焦げた本体に、ラーシュさんは剣を突き立てた。
刃はずぶりと身体の中心に沈んだ。
そこが急所だったのだろうか、未だ持ち上がっていた蔓たちがへにゃりと力を失って水面を叩いた。
蔓から落ちた果実がぷかりと水面に浮かんでくる。
ラーシュさんは剣を抜き、油断なくマーシュランドアイビーを見下ろした。
マーシュランドアイビーは動かない。先程までひくついていた根っこも、今は動きを止めていた。
「……やったか?」
ハルバードを下ろしてマーシュランドアイビーを見つめるロイドさん。
僕はマーシュランドアイビーを鑑定した。
……うん。
「……大丈夫です。倒したみたいです」
『やったー。大きいの倒したよ!』
スノウは嬉しそうにその場で宙返りをした。
「植物は普通の生き物と違うから判断に悩むな」
ロイドさんの言葉にラーシュさんが頷いた。
「確かにね。イオさんが鑑定してくれるのは有難いよ」
すっかりぼろぼろになったマーシュランドアイビーの蔓を持ち上げて、彼は言う。
「これは解体できるのかな……かなり痛めつけてしまったが」
確かに、植物は動物と違って肉も内臓もない。素材にできそうな部位がなさそうだ。
あるものといえば、せいぜいが蔓に残っている果実くらいか……
水面に浮かんでいる果実を鑑定してみる。
『【マーシュランドアイビーの実】
マーシュランドアイビーから採れる果実。食用可。』
「その実がドロップ品になるくらいですね」
僕が言うと、ラーシュさんは足下に浮かんでいた果実を拾い上げた。
「それなら、せっかくだし拾っていきましょうか」
──僕たちは蔓に付いたままの果実をもいで、ルカさんが背負うバッグパックに詰めていった。
果実は全部で16個採れた。
食用可能なら、これは調理ギルドが買い取ってくれるだろう。
果実を集め終え、辺りを見回すロイドさん。
「多分こいつが此処の主だったんだろうな。環境からしても、此処がダンジョンの最奥であることに間違いはなさそうだ」
「そうだね」
ラーシュさんはランタンが置いてある場所まで戻り、ランタンを取り上げた。
こちらに振り向いてきて、言う。
「探索は此処までにして、引き返そう」
僕たちはそれに同意した。
──こうして、僕たちは大量のドロップ品を手に地上への帰還を果たしたのだった。
今回も、無事に調査が終わったようで何よりだ。




