第58話 VSケイブマッシュルーム
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これからも当作品を宜しくお願い致します。
僕たちの目の前に現れたのは、茸を巨大にしたかのような魔物だった。
ずんぐりとした身体に不似合いの小さな足が、地面をたどたどしく歩いている。
頭頂部に広がった大きな傘は、煙のような胞子を時折吐き出していた。
白いボディに付いたつぶらな眼は、何処を見ているのか分からない曖昧な視線を辺りに向け。
こちらの様子など我関せずといった風に、道の中央に居座っていた。
「鑑定眼」
僕は魔物の様子を伺いながら、鑑定魔法を発動させる。
『【ケイブマッシュルーム】
茸の魔物。食用可。あっさりとした癖のない味わい』
……見たまんまだった。
と言うか、この鑑定結果は何なのだろう。
食用可って、誰得な説明?
癖のない味わいって、こんなのを食べる人がいるのだろうか。
……まあ、食糧難に陥っていたらありえるのか……
とりあえず僕は、鑑定結果をラーシュさんに伝えた。無論食用可のくだりは抜きにして。
ラーシュさんは頷いて、剣を構えながらケイブマッシュルームに近付いていった。
剣を縦に一閃。ケイブマッシュルームの胴体を、脳天からすぱっと真っ二つに断ち割った。
断面が本当に茸そのものだ。食用可というのも何となく納得できる。
剣を持つ手を下ろし、ラーシュさんは振り返ってきた。
「湿っぽい匂いがしているからもしやと思いましたが、どうやら水辺や湿地を好む魔物が生息しているようですね」
水辺や湿地……というと、ラージトードのような魔物が多いということなのだろうか。
通路はそこまで広くはないので、ラージトードみたいに巨大な魔物は住んでいないと思いたいのだが。
ルカさんは杖を取り出して、言った。
「分かったわ。雷魔法を準備しとく」
『ねえイオ、出てきた奴は倒していいの?』
縦に割られて転がったケイブマッシュルームを見つめて尋ねてくるスノウ。
僕はスノウの足を撫でて、返した。
「いいけど、鑑定っていう大事なお仕事があるから、先に僕に魔法を使わせてね」
『うん。分かったー』
「新手が来ましたね」
ラーシュさんが剣を構え直す。
彼が言う通り、ランタンが照らす通路の先から、ごそごそと何かが蠢く音が聞こえてきた。
此処にいる魔物は1匹ではなかったということか。
とはいえ同じ魔物なら、そう大した労力を使うこともなく殲滅できるはずだ。
ゆっくりとこちらに歩いてくるケイブマッシュルームの群れに、ラーシュさんとロイドさんが各々の得物を手に突っ込んでいく。
時折現れる氷のつぶてがケイブマッシュルームの胴体に穴を空ける。
ルカさんが魔法を使っている様子はない──ということは、氷の魔法を使っているのはスノウか。
スノウ、魔法できたんだな。
それほど驚異的な相手でもないということもあって、幾分もせずに魔物の群れは一掃された。
『もっといっぱい魔法撃ちたいなー』
手応えがない相手だったことが不満なのか、スノウが物騒なことを言っている。
僕としては平和な方が有難いんだけどね……
倒したケイブマッシュルームに視線を落としながら、ロイドさんが感心の声を漏らした。
「その竜、魔法が使えるのか。手を貸してくれるのは有難いな」
「竜は子供でも侮れない存在だって言うしね。心強いよ」
ラーシュさんはスノウに微笑みかけた。
「この先、僕たちでも苦戦する魔物が出るかもしれない。頼りにしているよ」
頼られたのが嬉しかったのか、スノウは尻尾を左右に大きく振っている。
そんな感じで、僕たちはダンジョンの奥深くを目指して進んでいった。




