第41話 10種野菜リゾット
料亭に到着し、席へと案内された僕は早速メニューを開いた。
今日はあまり匂いのきついものは食べられないから、ガーリックを使っている料理はパスだな。
となると──
お、これなんかどうだろう。
僕はヘルシー料理と書かれているメニューの1ページに注目した。
10種野菜リゾット。
その名の通り、野菜をふんだんに使用したリゾットらしい。
これなら匂いもきつくはないし、何より野菜が腹一杯堪能できる。健康に良いという点もポイントが高い。
値段も6ガロンと良心的だ。
これにしよう。
僕は店員さんを呼んで、料理を注文した。
何気なくその辺に視線を向けると、丁度席を立ったところだったらしい冒険者の集団と目が合った。
随分熟練の冒険者らしいことは身に着けている装備品や滲み出ている雰囲気から分かる。
あれは……この街の人間ではないな。旅の途中でラニーニャに立ち寄ったのだろうか。
冒険者ギルドに勤めていれば、彼らと接する機会もあるかもしれない。冒険者ギルドは多くの人の出入りがある場所だしね。
僕は冷茶で喉を潤し、静かに料理を待った。
「お待たせしました」
大して時間もかからずに、注文した料理が運ばれてきた。
人参とパプリカとズッキーニが色鮮やかだ。ジャガイモも程好く熱が通っており、スプーンでつつくとほろりと実が崩れた。
この丸いのは、グリーンピースか。ヤングコーンという珍しい野菜も入っている。
そして、米。適度にスープを吸って膨らんだ米が、何とも美味しそうじゃないか。
早速頂こう。
スープをよく掻き混ぜて、ズッキーニと一緒に掬った米をぱくっと。
……このまろやかな味が胃に沁み渡るよ。
野菜は適度に歯応えを残していて食べ応えがあるし、何より野菜の旨味をたっぷり吸った米が美味い。
「はふ……熱い。けど、美味っ」
リゾットと言うけどさらりとした感じが雑炊のような口当たりだ。
ついおかわりしたくなるね、この味わい。
ゆっくり時間をかけて、僕はリゾットを堪能した。
こういう料理は家でも作ろうと思えば作れるが、色々な材料を揃える手間を考えたらやっぱり料亭に頼っちゃうんだよね。
僕は、自慢じゃないけど料理はあまり得意な方ではない。
自分で作る料理といえば、基本大雑把に切った材料を焼くか煮るかするだけだ。
だから、こういう美味しい料理を作れる人は素直に尊敬する。
……ふう。食べた食べた。
スープもちゃんと残さず飲んだから、器の中は空っぽだ。
それでも、まだちょっと胃の方には余裕がある。もう少しくらいなら何か食べられそうだ。
……デザート、頼んじゃおうかな?
脇に置いておいたメニューを手繰り寄せる。
デザートは、流石に通常の料理ほどの豊富さはないが、それでもクレープやムースなど、甘味がそれなりに揃えられている。
僕が目を付けたのは、ベリーソースを掛けたヨーグルトだ。これなら口の中もさっぱりするだろう。
早速店員さんを呼んで、デザートを注文する。
通常の料理と違って準備にそこまでの時間を要さないらしく、注文してすぐに品物が運ばれてきた。
黒くて丸いのが入っているが、これは何だろう。
スプーンで掬って、齧ってみる。
……ブルーベリーだった。
ヨーグルトの酸味とベリーソースの甘味が上手い具合に混ざり合っていて美味しい。ブルーベリーの果肉も瑞々しくて、噛むと果汁がとろりと出てくるのが何とも言えない。
毎朝の食後に食べたくなる味だ。
ヨーグルトを食べ終えてすっかり満足した僕は、胃を撫でて深呼吸をした。
相変わらず、此処の料理は最高だね。何を注文してもハズレがないのが嬉しい。
このまままったりしたいところだが、そうもいかない。帰って、明日のための準備をしないと。
新しい石鹸や入浴剤も買ったし、今日はじっくり風呂に入るぞ。
ゆったり気分で入る風呂……最高だなぁ。




