第33話 冒険者適性検査
今日も僕は鑑定に追われる日々を過ごしている。
「鑑定眼」
たまに紛れている魔法の道具や呪われた武具を見つけては心躍らせる──鑑定士の、至って普通の日常だ。
「星晶暦315年産……その割には状態はいいな。宝石にも目立った傷はなし……と」
自分が出した鑑定結果が買取査定の評価を左右するのだと考えると、自然と鑑定にも力が入るというもの。
それが楽しみで鑑定士をやっているようなものだ。少なくとも僕は。
地味な仕事と言うなかれ。世の中には、そういう縁の下の力持ち的な仕事を好む人間もいるのである。
世の人間全てが表舞台を好む人種ばかりだと思ってはいけない。
「イオちゃーん」
階下から聞こえてくるヘンゼルさんの呼び声。
追加の鑑定品だろうか。
僕は席を立ち、ヘンゼルさんが待つギルドカウンターへと足を運んだ。
「何ですか?」
「鑑定依頼よ」
言って正面に視線を向けるヘンゼルさん。
彼が目を向ける先には──14、5歳くらいだろうか。真新しい旅装束に身を包んだ男女が立っていた。
新米魔道士が身に着けるような、簡素なデザインの法衣を纏った少年。
動きやすさを重視した作りの鎧で全身を固めた少女。
2人共緊張に身を固くしているのか肩が強張っている。
ぱっと見た感じ、鑑定品を持ち込んだ──という雰囲気ではない。
これは、彼らが鑑定対象か。
僕は軽く会釈をして、2人の前に立った。
「鑑定士のイオ・ラトンです。鑑定を御希望ということで」
「は、はいっ」
ぎくしゃくとお辞儀をして、少年は返事をした。
「俺たちを鑑定してほしいんです。俺たち、冒険者志望なんですけど……どのくらい、冒険者に向いてるか知りたいんです」
魔道士や剣士の格好をしてるけど、その適正があるからその格好をしているわけじゃないのか。
これは、あれか。気持ちだけが先に走っちゃって格好だけでも冒険者らしくって先に武具を揃えちゃったパターンか。
まあ、気持ちは分からないでもないけどね。
「分かりました。ではこちらにどうぞ」
僕は2人を交流スペースに案内した。
手近なテーブル席を2人に勧め、席に座ったのを見届けてから僕もまた向かいの席に着く。
「それでは、鑑定を始めますね」
眼鏡の位置を直し、僕は息を深く吸って右手を少年に向けて翳した。
さて、どんな結果が出ますやら。
「鑑定眼」
僕の目の前にぱーっと広がる魔道文字。
僕は表れた鑑定結果を、ひとつずつ順番に目で追っていった。




