表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
276/296

第276話 信用に値する話

 途中魔物に襲われたりもしたが、概ね平穏だったと言える旅を経て、僕は無事にラニーニャに帰り着いた。

 冒険者ギルド前で馬車を降り、護衛の冒険者たちに護衛料を支払って彼らと別れ、ギルドに入る。

 ギルド内では、ギルドカウンターを挟んでヘンゼルさんとジャド君が話をしていた。

「ただいま戻りました」

「あら、お帰りなさいイオちゃん」

「お帰りなさい、先輩」

 僕は交流スペースに行き、鞄を下ろして席に座った。

「調べ物はどうだったの? 何か分かったの?」

「はい。治療法は分かったので、現地で治してもらいました」

「そう。良かったわね」

 ヘンゼルさんは一瞬だけ微笑んだが、すぐに真面目な面持ちになった。

 彼がそういう顔をする時は、何か問題が起きた時だ。

 ひょっとして……

「何かあったんですか?」

「……ええ。といっても此処じゃないんだけど……」

 ヘンゼルさんの口から語られたのは、タロイのダンジョンが様変わりしたらしいという話だった。

 何でもタロイのダンジョンを探索している冒険者たちが、皆一様に口を揃えて言っていたらしい。

 このダンジョンは危険だ、と。

「凶悪な魔物の巣窟になってるらしいわ。何がいるのかまでは詳しく聞いてないから分からないんだけど、熟練の冒険者でも1人で探索できるような場所じゃなくなってるっていうのよ」

 ……やっぱり。

 僕はすぐにぴんときた。

 魔族の国が中にできたせいで、ダンジョンの生態系が変化したのだ。

 おそらく現在ダンジョンを徘徊しているのは、魔族の国から出てきた魔物なのだろう。

「……先輩、何か知ってるって顔ですね」

 僕のことをじっと見つめていたジャド君が、そう言ってくる。

 ……ジャド君の観察眼は凄いな。隠し事をしてもすぐにバレる。

 まあ、隠すようなことじゃないし、今隠してもどうせ後で王都の調査隊が調査に行ったことは知られるだろうしね。

 僕は王都で経験したことを──ジェラルディンが魔族の国を作ったことと、それがタロイのダンジョンの中にあること、ダンジョンの調査のために王都が動いていることを2人に話した。

「魔族の国の出現……でも、魔族は侵攻する気はないって言ってるのね?」

「向こうの言い分を信じるなら、そうです。魔族は人間と争う気はないと言ってました」

「信じられるんですか? 魔族の言葉なんて」

 神妙な顔をするヘンゼルさんに対して、眉根を寄せるジャド君。

 ジャド君は直に魔族と争ったことがあるから、急に魔族が平和を望んでると聞かされても信じることができないのだろう。

 まあ、彼の気持ちは分かる。僕だって未だに信用していいのかどうか迷ってるくらいだし。

 これは、王都の調査隊が持ち帰ってくる情報次第になるだろうね。

 彼らが無事に調査を終えて帰ってくるなら良し、そうでないなら──

 人間と、魔族の全面戦争になる。

 多くの人間が戦に巻き込まれて、タロイは──その周辺の街は混乱するだろう。

 何とか、無事に帰ってきてもらいたいものだ。

「調査隊が調査を終えるのを待ちましょう。せっかく王都が動いてくれてるんですから、彼らの働きに期待しましょう」

「そうね。普段は現地任せの王室なんですもの。こういう時にこそ働いてもらわなきゃ」

 ヘンゼルさんはカウンターの上に置いてある紙をクエストボードに貼り付けた。

「さ、お仕事お仕事。ジャドちゃん、鑑定は終わってるわよね?」

「はい。すぐに持ってきます」

 それじゃあ、僕はタロイに帰る仕度を始めるか。

 何のかんので結構な日数を留守にすることになっちゃったから、帰ったらすぐに仕事に復帰できるように準備しておかないと。

 ダンジョンの問題で大騒ぎになってなけりゃいいけど……

 カウンターで仕事をしているヘンゼルさんを見ながら、タロイの冒険者ギルドのことを思い出す僕なのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ