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第275話 王都を発つ

「それでは、ラニーニャまでの護衛、宜しくお願いします」

「楽勝楽勝! 大船に乗った気分でいてくれよ」

 朝。冒険者ギルドで、僕は依頼クエストを受けてくれた冒険者と挨拶を交わしていた。

 流石、大きなギルドだけある。冒険者の出入りが結構激しいから、その分出した依頼クエストが目に付く機会も多かったようだ。

 お陰で、実力のありそうな冒険者パーティに護衛を依頼することができた。

 早速馬車の手配をして、出立の準備を整えて──

 と。

 見覚えのある姿が冒険者ギルドに入ってきたので、僕は目を瞬かせた。

「フェルディユさん?」

「ああ、まだこちらにいらっしゃったんですね。イオさん」

 フェルディユさんは僕と挨拶を交わすのもそこそこに、ギルドカウンターに向かって受付嬢と話をし始めた。

 ややあって受付嬢が棚の奥から持って来た薬品の瓶を受け取り、僕の傍へとやって来る。

「最後に御挨拶ができて良かったです」

 肩から下げている鞄に薬品の瓶を大事そうにしまって、彼女は言った。

「例の、魔族の国が作られたというダンジョン。そこに調査隊を派遣することが決まりまして、私も調査隊のメンバーとして選ばれました。これから、王都を出てダンジョンに向かうところなんです」

 何でも、魔族の国ができたことによってどの程度ダンジョンや周辺の土地に影響が出ているのかを調査するための調査隊が組まれたらしい。

 調査隊は城に勤めている兵士や魔道士で構成されており、優秀な人材が揃っているそうだ。

 フェルディユさんの役割は、鑑定士として魔物の調査を行うこと。他にも空間の歪みについてを調べたりだとか、色々と働きが期待されているらしい。

 そうか……王都でダンジョン調査することになったのか。それなら僕みたいな一地方の鑑定士が引っ張り出されることはないね。

 それにしても、大丈夫なのかな。ダンジョンに乗り込むなんて。

 魔族がいらぬちょっかいを掛けてこなければいいけど。

「イオさんもお帰りになられるのですか?」

「ええ、此処での僕の用事は済みましたので」

「そうですか」

 フェルディユさんが右手を差し出した。

 僕と握手を交わして、彼女は笑った。

「機会がありましたら、またお会いしましょう」

 お元気で、と言って、彼女は冒険者ギルドを出ていった。

 色々大変そうだな、王族お抱えって。

 さあ、僕も他人事みたく言ってられないぞ。旅は帰路に着くまでが旅なんだから。

 馬車がやって来て、ギルドの前で停車した。

 流石王都だ。手配をしてから来るまでの時間が短いな。

 僕は馬車の御者に挨拶をして、馬車に乗り込んだ。

「ラニーニャまでお願いします」

「ラニーニャだね。了解」

 護衛の冒険者たちを含めて総勢6名を乗せた馬車は、王都を出発した。

 これから3日間、平穏な旅になりますように。

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