第269話 沈黙の解決法
38個目の評価と感想を頂きました。ありがとうございます。
話の中で幾つかの矛盾点があると御指摘を頂いたので、確認した上で文章を修正しました。これで一応矛盾は解消されたと思います。
不自然な点に関しては、修正すると話が大きく崩れてしまうため修正はできませんが、可能な範囲内で今後の話に説明や補足になる話を盛り込んだりするなどして対応していきたいと思っております。
1時間ほど書物と格闘した末に、僕は目的の書物を探し出すことができた。
『魔道士の心得』──
魔道士にとって重要なことが記された本である。
この中に、僕が欲している沈黙の治療法が載っていた。
沈黙とは、魔法が唱えられなくなる状態異常。それは声帯の麻痺によって引き起こされる『静寂』とは異なる、体内に巡る魔力の流れを阻害されることによって引き起こされる現象なのだと書物にはあった。
この状態を解消するには、魔力の流れを阻害しているものを取り除く必要がある。
そのためには、まず、魔力の流れを阻害しているものが何なのかを知らなければならない。
外側からの魔力の影響なのか。呪詛なのか。本人の精神的なものによることなのか。
ジェラルディン君は僕の話を聞いた時、空間の歪みがどうとか言っていた。
その時は単なる話としてしか聞いていなかったが、ひょっとしたらそれこそが原因になっている可能性がある。
空間の歪み。それが起こることによって魔力にはどのような影響が出るのか。
僕はそれについての書物を、カウンターの女性にお願いして探すことにした。
──調べた通り、以下のことが分かった。
自然界には空気のように魔力が存在しており、それが時折何らかの影響によって乱れることがあるのだという。
乱れた魔力は周囲のものに影響を及ぼし、問題を引き起こすことがあるのだそう。
例えば、その場所にいた魔道士が唐突に魔法を使えなくなってしまうとか。
今の僕の状態と同じだ。
これを正すには、乱された魔力の流れを外側から魔力を流して元通りに正す方法が有効であるとされた。
つまり。
魔法の扱いに長けた者に依頼して魔力を身体に流し込んでもらえれば、魔力の巡りが元通りになり、再び魔法が使えるようになるということなのだ。
沈黙の治療方法は分かった。後は、誰にその役目を依頼するかだが──
どうせ頼むのなら、腕の良い魔道士にお願いしたい。
冒険者ギルドで依頼を出して人を探すのが最も手っ取り早そうだ。
王都は大きいし人の集まりも近隣の街とは比較にならないほどに多いから、すぐに良い人が見つかるだろう。
やはり、王都に来て良かった。問題の解決方法がこうも簡単に見つかるとは。
僕に王都行きを進めてくれたジャド君に感謝である。
さて。後は冒険者ギルドで依頼を出せば僕のやることは終わりだが、まだまだ時間がある。
せっかく王都に来たし、少しは観光もしたい。
なので、先に王都見物に行くことにする。
ちょっとくらいは寄り道したってバチは当たらないだろう。
確か……城の傍にある運河から見られる景色は最高だってジャド君が言ってたな。
城は此処から近いし、足を伸ばして行ってみよう。
普通に見られる景色と一体何が違うんだろうね?
ちょっぴり期待感を抱きながら、僕はスノウを連れて王立図書館を出た。




