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第267話 王都は規模が違った

 それからは、何の妨害もなく順調に旅が進んだ。

 まるで、先の野盗たちとの戦いを陰から覗き見ていた魔物たちが警戒して出てくるのを拒んでいるかのようだった。

 ジェラルディン君、凄かったもんなぁ。

 当の本人はそんなことなどなかったかのように、頬杖をついて鼻歌なんて歌ってるけどさ。

 そんなこんなで僕たちは途中幾つもの街を通り過ぎ、平原の中心で夜を明かし、

 ラニーニャを旅立って3日目。太陽が南の空に燦然と輝く昼の最中に、目的地である王都に到着した。


 王都に到着してまず驚いたのが、都市の入口に衛兵が立って街に入る者たちのチェックを行っていることだった。

 ラニーニャを含めて今まで訪れた街にはそんなものなんてなかったから、随分厳しいんだなって思ったよ。

 馬車に至っては積み荷の中まで調べられて、何のために王都に来たのかまで訊かれた。

 僕は正直に王立図書館に用事があると答えたのだが、ジェラルディン君は僕たちの護衛で一緒にいるということだけ答えていた。

 王様に会いに行くと言っていたのだが……知られると色々面倒そうだと思ったのかな。

 ともあれ、無事にチェックも終わって僕たちは王都の中へ。

 真っ白な建物が連なる通りを進んでいき、噴水がある大通りの前で、馬車は停車した。

「此処までありがとうございました」

 僕は御者に運賃を支払って、馬車を降りた。

 その後に無言で続くジェラルディン君。

「良い旅を」

 御者は気さくに手を振って、僕たちの前から去っていった。

 さて、王立図書館を探すか。

 僕が周囲をぐるりと見回すと、ジェラルディン君が僕に言った。

「それじゃあ、此処でお別れだね。僕も用事があるからね」

 王様に会いに行くんだね。

 僕は鞄から護衛の報酬を取り出して、彼に渡した。

「護衛、ありがとうございました。お陰で無事に王都に来ることができました」

「調べ物頑張ってね」

 ジェラルディン君が右手を差し出してきたので、僕はそれをそっと握り返した。

 彼はじゃあねと言って微笑んで、大通りを行き交う人の波に紛れて姿を消した。

 帰りはまた別の護衛を雇わないといけないが、それは王立図書館で調べ物が終わってから考えることにしよう。

 今はとにかく、沈黙の治療方法を調べたい。

 僕はスノウに行くよと声を掛けて、王立図書館を探すべく通りを歩き始めた。


 それにしても、王都の大きいこと。

 通りひとつ取っても、ラニーニャのそれとは規模が違う。

 人もばんばんと行き交っているし、ぼーっとしていると人の波に飲まれそうになる。

 僕って田舎者だなぁ。ふとそんなことを思った。

 無事に王立図書館を見つけられるだろうか。

 ちょっぴり不安になる僕の目の前に、大きな看板を掲げた建物が姿を現した。

 看板には冒険者ギルドと書かれている。

 此処が、王都の冒険者ギルドなのか。やっぱり大きな都市にある施設はその辺の街とは比べ物にならないくらい大きいね。

 単純に、ラニーニャの冒険者ギルドの3倍くらいの大きさがあるよ。

 此処で道を訊けば、王立図書館の場所を教えてもらえるだろう。

 よし、と意を決して僕は冒険者ギルドに足を踏み入れた。

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