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第23話 森の探索

 旅装束に着替えて剣を持ち、身支度を整えた僕は男と改めて自己紹介を交わした。

 彼の名はアシュレイさんと言い、背中の武器が物語っている通り大剣使いらしい。

 これから僕たちは2人でラージトードが群生している森に行くわけだが、戦うのは基本的にアシュレイさん1人だけで、僕は後方からラージトードを鑑定する役割に専念するという方向で話がまとまった。

 一応剣は持って来たけど、僕は刃物の扱いはてんで素人だしね。

 二次被害を出すよりはその方が良いんじゃないかって話になったよ。

 それで戦闘の方針だが、僕が鑑定して人喰いの結果が出たものだけを狩り取る方向でいこうということになった。

 無論向こうから襲ってくる場合もあるだろうが、襲われたら返り討ちにすればいいだけのこと。

 向こうから来ない場合は極力手を出さないでおこうということになった。

 全部を相手にしていては時間がかかりすぎるからだ。

 問題の森は、ラニーニャの街からそう離れてはいない場所に広がっている。

 30分もかからずに、その森の入口に着くことができた。

「私の後に、離れずに付いて来てくれ」

 背中の剣を抜き放ち、アシュレイさんは森の奥に向かって伸びている獣道に足を踏み入れた。

 その後を、僕は剣を握り締めながら付いて行く。

 森はとにかく群生している植物の量が多く、昼間だというのに視界は薄暗かった。

 天気が悪くなったら一気に暗くなるな。

 鳥の声があちこちから聞こえてくる。どうやら、魔物以外の生き物も多く生息しているようである。

 ラージトードはどの辺りに生息しているのかとアシュレイさんに尋ねると、そこかしこにいると彼は答えてくれた。

 そこかしこに……ということは、幾分もせずに見つけることができるはず。

 がさり、と近場で茂みが動く音。

 そちらの方に振り向くと──

 こげ茶色の塊が、のっそりと歩いている様子が視界に飛び込んできた。

 早速いたよ。

 見た感じ、腹が膨れている様子はない。

 でも、一応……

「鑑定眼」

 相手に気付かれないように小声で鑑定魔法を発動させる。

 ……うん。ハズレだ。

「あれは違いますね」

「そうか」

 アシュレイさんは止めていた歩みを再開した。

 僕は遅れないようにその後を付いて行く。

 1匹見かけたら30匹とでも言わんばかりに、少し進むと次々とラージトードを発見することができた。

 鑑定魔法を次々と掛けていくが、結果はどれもハズレ。

 中には動物を丸飲みにしている奴もいたが、僕たちが探しているのはあくまで人を食っている奴だ。

 向こうから襲ってこない以上は、無視して傍を通り過ぎていった。

 何でも食おうとする魔物も、空腹でない時は意外と大人しいらしい。

 そうして、20匹ほどのラージトードを鑑定し終えた頃。

 湧き水だろうか。やや大きめの泉になっている場所に、僕たちは辿り着いた。

 蛙というだけあって水は好きなのか、多くのラージトードが群れている様子が見える。

 グワッ、グワッと大きな鳴き声がしている。まるでラッパを吹き鳴らしているかのようだ。

 ……これを全部鑑定するのは骨が折れるぞ。

 ──ん?

 僕は滑らせていた視線をある場所で止めた。

 泉の中央にいるラージトード……随分大きな腹をしてるな。

 アシュレイさんが冒険者ギルドに引き摺ってきたラージトードと同じくらい大きな腹だ。

 あれは絶対何かを食っている。

「鑑定眼」

 僕は狙いを定めて鑑定魔法を放った。


『【ラージトード】

 巨大ヒキガエルの魔物。人間を飲み込み、腹が肥大している』


「アシュレイさん、いました。あいつです」

「……どいつだ」

 僕は指を指した。

「泉の中央にいる奴。大きな腹をしてる奴です」

「了解した」

 アシュレイさんは大剣を持つ手に力を込めて、茂みから外に出た。

「速攻で叩く。決して私の傍から離れるなよ」

 ……それって、僕もあの蛙の群れの中に飛び込めってことか?

 言い終わるや否や、アシュレイさんは表情を引き締めて駆け出した。

 水を蹴り、標的のラージトードめがけて脇目も振らずに向かっていく。

 ちょっと待って、心の準備が!

 ……ええい、なるようになれ!

 僕は歯を食いしばり、アシュレイさんの後を追って茂みの中から飛び出した。

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