第21話 出てきたのは……
大勢の人が見守る中、作業場でラージトードの解体が行われた。
解体を行うのはシークさんと、彼の助手である見習い解体士のロゼさんとアーネルさんだ。
シークさんは仰向けにしたラージトードの腹の側面に刃を入れた。
ぶつ、と繊維を断ち切るような音がして、刃を入れた箇所から血が溢れ出る。
刃を横にスライドさせると、切り口からどろりと内臓が零れ出てきた。これは腸だろうか。
更に刃を縦へ、横へと何の迷いもなく動かしていくシークさん。
あっという間にラージトードの腹は開かれて、巨大な胃が皆の前にお目見えした。
蛙の胃ってこんなに大きく膨れるものなのだろうか。
目を疑うほど、ラージトードの胃は巨大だった。
シークさんは絶妙な力加減で、胃の表面にだけ薄く刃を入れる。
胃を開くと、中から肉の塊と思わしき物体がごろっと出てきた。
肉は消化しかけの状態で全体の形は崩れており、元が何だったのかは分からない。
人間か?……と問われると……そのような風に見えなくも、ない……気がする。
口元に手を当てて、眉間に皺を寄せるヘンゼルさん。
「……これじゃ、何なのか分からないわね」
「鑑定してみれば、何か分かるんでないか?」
シークさんは僕を見た。
成程、その手があったか。
僕は1歩前に出て、肉の塊をじっと見つめた。
……本当はあまり直視したくないんだけど……仕方がない。
深呼吸をして、鑑定魔法を発動させた。
「鑑定眼」
『【羊の死骸】
消化されかけた羊の死骸』
「羊みたいですね」
「……羊か」
男はふー、と鼻から長く息を吐いた。
「こいつじゃなかったか」
「何か事情がありそうね」
ヘンゼルさんは男を見て、尋ねた。
「人を食べたラージトードを探してる理由は何なのかしら? 場合によっては冒険者ギルドが協力するわよ」
「……ある貴族からの依頼で、人喰い蛙の討伐の任を請け負っている」
男はラージトードを見つめ、語り始めた。
「依頼者の愛娘がラージトードに襲われたらしい。手段を問わずこれを狩り、娘を救出せよとのお達しだ」




