第100話 デビルダムの門
早いもので100話目に到達しました。
これもひとえに読んで下さっている皆様のお陰です。本当にありがとうございます。
これからも当作品を宜しくお願い致します。
街道の中央に、門は鎮座していた。
それは貴族の屋敷の玄関扉を丸くして縁に飾り彫刻を施したら似たような代物になるだろう、そんな形状をしている。
開かれた扉の内側には光と闇が入り混じって渦を巻いているような、そんなものが蟠っており、扉の向こう側にあるものは見えない。
だが、そこから次々と魔物が現れているのを目の当たりにさせられると、やはりこの門は何処かに繋がっているのではないかという懸念を抱かされる。
僕とフェルディユさんは、魔物の視界にぎりぎり入らない位置から、木の陰に隠れて門の様子を伺っていた。
因みにスノウは竜の姿に戻って、僕の右肩の上にいる。
人間の姿のままでも魔法は使えるらしいが、戦場では竜の姿の方が何かと都合が良いのでそうしてもらうように僕がお願いしたのだ。
フェルディユさんはスノウが竜だったという事実に驚いていたが、スノウはそういう存在なんだということで無理矢理納得してもらった。
門の周囲には、魔物と、それと戦う冒険者たちの姿があった。
そのお陰か、魔物がこの場から離れて街の方に流れていくといったことは今のところは起きていないようだった。
もっとも、魔物は今も門から沸き続けている。いつ数が溢れて街の方に流れていくか分かったものではない。
早いところ門を潰さないと、こちらは消耗戦必至である。
「あれが門……見た目は巨大な扉のようですね」
フェルディユさんは門を見据えて言った。
「あれを鑑定したら、どんな情報が出ますか?」
フェルディユさんも鑑定魔法は使えるはずなのだが、鑑定に関しては完全に僕に任せるつもりのようだ。
こっちも戦闘は完全にフェルディユさんに任せるつもりだし、それくらいは構わないけどね。
けど……この距離だ。魔法が届くかな。
僕は門をしっかりと見据えて、鑑定魔法を放った。
「鑑定眼」
『【デビルダムの門】
異界に繋がる次元の穴。異界の魔力が具現化し形になったもの。』
訳の分からないものでも一応鑑定できるんだな。
それにしても、異界に繋がる次元の穴って……つまり、あの門の向こうには此処とは別の世界が広がってるってことなのか?
今世界中に生息している魔物は、実は別世界の生き物だった?
謎が多いね。
「次元の穴ですか……ということは、この門は相当に不安定な存在のようですね」
鑑定結果を伝えると、それを聞いたフェルディユさんは抱えていた本を開いて、木の陰から飛び出した。
「門を破壊します。幸い魔物は冒険者さんたちが押さえてくれていますから、そこまで手間はかからないでしょう」
何でも魔力が形になったものに対しては、同じ魔力でないと干渉できないのだとか。
つまり、魔力でできたあの門は魔法でないと破壊できないということなのだ。
「行きましょう、イオさん」
……やっぱり僕も行くのか。
けどまあ、此処に僕1人が残って何かの拍子に魔物に見つかっても困るしな。
『魔物が一杯いるね。倒していい?』
魔物を見つめてスノウが僕に訊いてくる。
「これからあの門を壊すから、そのお手伝いをしてくれるかな」
僕は門を指差してスノウに言った。
まずは魔物の発生源をどうにかする方が先だ。魔物を処理するのはその後でいい。
スノウの灰色の瞳が、門を捉えた。
『あの大きなのを壊すの? 分かった、たくさん魔法撃つねー』
うん。たくさん魔法撃って早く壊しちゃって下さい。
僕は深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、意を決して先行するフェルディユさんの後に付いて行った。




