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ヤンデレな幼なじみのフラグが立ったようです

作者: 深水晶

 草木も眠る丑三つ時、ふと何か気配を感じて目を開けると、そこには幼なじみの新城(しんじょう)真夜(まよ)が俺の顔を覗き込むように、能面のような無表情で見つめていた。


 ぶっちゃけコワイです。

 高校生にもなって、ベッドの上でおしっこちびるかと思いました。マジで。


「ま、真夜……なっ、何してんの?」


 内心の脅えを表に出さないように頑張って問いかければ、


「今日は新月でひなたくんの姿が見えなくて恐かったから、顔が見たくて」


 ええと、ごめん。何言ってるのかわかりません。ぶっちゃけ、理解したくない。っていうか、よもや隠しカメラとか盗聴器とか仕掛けられてるとか、ないよね? マジでないよね? フリじゃねぇぞ。


「……眠れなかった、とか?」


 鈍感難聴系主人公サイコーです。うん、相手の言わないこと察して気を回すとか、絶対無理。無理すぎる。何言われてもわかりたくないし、気付きたくないので、説明とかそういうの全部いりません。ノーサンキューです。


 俺が尋ねると、真夜はこくんと頷いた。

 彼女は美人だ。めっちゃ美少女だ。黒髪ストレートで一見スレンダーだがしっかりばっちり胸があり、腰はきゅっと細くて、尻から足に至るラインなんてまさに理想的だ。

 表情の変化はとぼしいし、根っからのインドア派な読書好き・内向的で人見知り激しく、恥ずかしがり屋で口数が少ないので友達が一人もいない子だが、まめで手先が器用で、心優しい良い子だ。

 いや、良い子、だった。


 つい半月前まではこんなことをする子じゃなかったのに、どうしてこうなった。俺はいったいいつ、どこで、幼なじみのヤンデレスイッチを入れてしまったのか。

 こうなるまでは、絵に描いたような大和撫子だと信じていたのに。口数が少なすぎて、時折何を考えているかわからない子ではあったけど、幼稚園時代からの付き合いでだいたいのことは察することができると自負していたのに。

 今は、彼女のことがちっともまったく理解できない。


 もちろん刃物や鈍器を向けられたりするわけではない。そこまであからさまなら、とっくに逃げてる。でも平日深夜に、両親も一緒に住んでる一軒家の二階の俺の部屋に、隣の家に住んでる幼なじみがいる理由がわからない。

 俺の部屋って確かに南向きに出窓があるけどベランダとかそういうのないし、天井高めに設計されてるからそこらのはしごじゃ二階まで上がれないし、庭木とかも家の側に立ってないし、隣家との間にはこぢんまりとした庭無しの家が一軒や二軒建つ程度の広さの庭があるわけで。

 しかも出窓の位置も俺の腰くらいで、窓全開にすれば人が出入りできないこともないけど、他に窓とかないんだよね。もちろん窓に鍵をかけて寝た。……ねぇ真夜、君、どこから入ったの?


「ひなたくん、一緒に寝ても、良い?」


 駄目だって言ったら、どうなるんだろう、俺。はにかむような笑顔は可愛いけど、何故か全身から吹き出る冷たい汗が止まりません。

 おかしいな、初めてでもないのに。っていうかこの半月ほど毎日こんな感じです。


 何故、こうなったのかはわからないけど、ヤンデレな幼なじみのフラグが立ったようです。


「二十四時間、三百六十五日、ひなたくんと一緒にいたいの。一秒でも離れたくない」


 頬染めて言う姿は可愛いけど、トイレと風呂は一人で行かせて下さい、お願いします。っていうか、どうしてこうなった!

先日見た夢が強烈だったので、うっかり書いてしまいました。

夢の方では包丁握ってレイプ目だったので、アウトですが。

もう一人幼なじみ(性格・容姿が真逆)がいたり、フラグが立った理由とかもありましたが、全カット。

主人公は窓を気にしていますが、侵入経路は窓ではありません。


なお、「二十四時間、三百六十五日」の下りは私が小三の時に同級生女子に言われた台詞です。

トイレの個室に押し入られそうになり、あやうくもらしそうでした。

半泣きで「お願い出てって!」と叫んだ記憶は、一生忘れられそうにありません。

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