3話 冷や汗がだらだらと吹き出す僕たちと受付係さん。
ふっかふかのベッドのせいで今朝は寝坊をしてしまった。
今日はシャルと一緒に冒険者ギルドというところに向かう。
腕に自信のあるものや僕の様に就職に難ありな人たちは皆冒険者になるそうだ。
「シャル、ギルドのある場所は知ってるの?」
「はい?ギルドほどの目立つ建物ならわざわざ人に聞かなくてもいいのが常識じゃないですか。ふふっ。オーカ様もお冗談を言うのですね!」
いや、冗談とかじゃなくてこの世界に来てからまだ2日だから!
ギルドは目立つ...か。派手な外見とかなのかな?
そんな想像をしていると不意にシャルの足が止まる。なんでここに止まるんだろう?こんなに騒がしいところに。
「どうです?とっても目立つでしょ!私たち獣人は耳と鼻がいいから騒がしい音と臭いを辿って行けばすぐ着きます!」
なんでそんなにドヤ顔なんですかシャルさん?それより...
「目立つってそういうことかよーーーーーーー!!!」
体の一番奥から声が出た気がした。
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気を取り直した僕はシャルと一緒に受付に並ぶ。受付係の対応がいいのか長蛇の列があっという間に消えていった。僕たちの番だ。
「こんにちは。本日ギルドには何のご用でしょうか?」
少し疲れた顔をしているが毎日の事なのだろう。大変だな、受付係も。
「えっと、僕たち初めてで。今日は冒険者ギルドに登録したくて来ました。」
「はい。当ギルドで初めての登録ですね。ではこちらの魔石に触れてください。」
そういって受付の人はよく占いで使われている水晶玉のような丸い石を出す。紫色をしたその石は魔石っていうイメージそのものだった。
「この魔石は真相石といって、よく騎士団や軍の人が尋問などの際に使用するものですが、この石はギルドマスターが少し性能を調整し登録者の魔法力、すなわち魔法が使えれるか。それはどれくらいの量でどの属性の魔法が得意か。そのほか登録者の簡単な情報や身体能力だけが表示されます。」
へ~。便利な世界になってるな。あの神様なら何か便利なシステムがあるとは思っていたけれど。まさかこれほどとは。
「つまり、この石に触れると簡単な個人情報が表示されるって事?」
隣で目をうずまきにしてたシャルのため、確認程度にそう受付の人に聞く。
「は、はい!そういうことです。初めて聞いたのにそんなに分かりやすくまとめられるなんて。凄いですねあなた。」
「まぁね。それじゃあ早速やってみようか、シャル。」
「は、はい!では、私から!」
シャルが真相石に触れると淡い光を帯びポウッと文字が浮かび上がる。
「3Ⅾみたいだな。」
「すりーでぃーって何ですか?」
「い、いや!こっちの話!そ、それよりほら!シャルの情報が出るよ!」
ふぅ。必要以上に元の世界の言葉を使わない方がいいみたいだな。
「見てください!オーカ様!なんて書いてあるんですか?」
ワクワクしてるシャルに表示された文字を読む。...読めん。
「ごめん、シャル。僕この文字読めないや。あの、代わりに呼んでもらってもいいですか?」
「はい、いいですよ。えーとですね...」
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シャルロット:獣人
魔法使用:可
魔力量:380
魔法精度:B+
攻撃値:78
防御値:94
俊敏値:168
得意魔法属性:水・風
使用不可魔法属性:無し
魔法色:赤
ギルドランク:シルバー
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らしい。数値のところは平均が100とした場合らしい。つまりシャルは攻撃値と防御値は平均よりやや下だが俊敏値は平均を上回り魔力量は常人の4倍近くある。使用不可魔法属性は無いしシルバーランクの中でもトップの数値らしい。やるじゃんシャル。
「これが、私の力...。ふっ。ふふふ。ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!」
駄目だ!シャルが壊れちゃった!
壊れたシャルを落ち着かせ次は僕の番。シャルと同じくらいのランクは欲しいな~。
「それでは読み上げま...ひっ!」
「うん?どうしたんですか?」
「い、いえ。それでは読み上げます。」
少し緊張しているみたいだけど。そんなに僕に伝えるのを躊躇うほど低いの!?
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五十嵐鷹翔:人間
魔法使用:可
魔力量:Error
魔法精度:SSSS
攻撃値:Error
防御値:Error
俊敏値:Error
得意魔法属性:火・水・風・土・無・錬金術
使用不可魔法属性:無し
魔法色:プラチナ
ギルドランク:プラチナ
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「で、です。」
冷や汗がだらだと吹き出す僕たちと受付係さん。
「ま、まじですか...。」
もうその言葉しか出ない。
ついに主人公オーカの最強っぷりがまずは数値で出ました!
しかもほとんどがErrorというww
次話も楽しみにしていてください!!