その1
GPT5でたので、どんな性能か実験的な作品
湯けむりが、もやもやと白く漂っている。
白い靄の向こうから、さらさらとお湯が流れる音がする。
ミナトは、いつの間にか見知らぬ温泉に浸かっていた。
肩まで沈めた身体に、じんわりと熱がしみ込む。
湯はほんのり金色を帯び、底の石は丸く滑らかで、足先に当たるたびくすぐったい。
湯面には小さなお盆がぷかぷかと浮かび、その上には湯呑と小皿。
湯呑からは抹茶ラテのような甘い香りが立ちのぼり、小皿には宝石みたいに艶やかな羊羹がきっちり並んでいる。
心がふっと軽くなる。
高級旅館なんて行ったことがないし、こんな贅沢は初めてだ。
お湯に浮かべたお盆から、指先ひとつでご馳走を手に取れる──そんな光景に、妙に心が躍る。
湯呑を両手で包み、一口すすると、甘さと温かさが舌に広がり、頬が緩んだ。
背筋から腰にかけての力が、するすると抜けていく。
ゆったりとした吐息が湯けむりに溶け、白い靄の中に消えていった。
「……あぁ、これで、もっとたくさん食べたり飲んだりできたら最高なんだけどなぁ」
思わずこぼれた言葉は、誰に聞かせるでもなく、静かに広がっていく。
その時──。
「……ほう。なかなか風情あることをしているな」
低く、胸に響くような声が、湯けむりの奥から割り込んできた。
「……えっ?」
ミナトは反射的に振り向いた。
湯けむりの向こう、広い肩幅と岩のような胸板、頭には月桂樹の冠──テルマエ・ロマエから抜け出したような風格のおっさんが、湯の中に腰まで浸かっている。
思わず背筋を正し、両手でタオルを胸元に寄せる。
「……あ、すみません、混浴とか聞いてないんですけど」
声は一応礼儀正しく、でもじりっと距離を取る。
──が、そこで気づく。湯気越しなのに、この人の輪郭がやたらはっきりしている。空気の流れも、周囲の気配もどこか現実離れしている。
「あー……これ、夢か」
妙な納得感が胸に落ちた。
「うむ、我は神。湯と食を司る者だ」
おっさん──いや男神は、どっしりした声でそう名乗る。
湯の温もりも、食卓に立ちのぼる香りも、宴の笑い声すらも、我が手の内よ。
壮大なのか細かいのかわからない自己紹介だが、湯けむりに響く声はやけに心地よい。
「へぇ……神様ねぇ」
一応は返事をするが、やっぱり夢だと思っているので半分しか耳に入っていない。
男神は湯をすくい、にやりと笑った。
「せっかく同じ湯を共にした縁だ。その目の前にある羊羹と湯呑……それと引き換えに、先ほどのお前の願い──叶えてやらんこともない」
言われてミナトは、ぷかぷか浮かぶお盆に目をやる。
艶やかな羊羹と、まだ湯気を立てる抹茶ラテ。
一瞬だけ迷うように視線を行き来させ、やがて男神の顔を見上げる。
「……えっ、マジ? ……じゃあお願いしよっかな」
夢の中で願いが叶うなら、それはそれで楽しい。ミナトは軽く頷いた。
「ただし、代償はある。お前の姿や……立場も、少し変わるかもしれん。望みが叶うなら──」
「はいはい、わかったわかった」
頭の中は、どんなおいしいものを出してもらうかでいっぱいだ。神の説明はほぼ右から左へ抜けていく。
「では……どうする?」
「決まってるでしょ! まずはスイーツよろしく!」
勢いよく答えると、男神の目が細くなり、片手がすっと上がる。
「よかろう」
突風が湯けむりを巻き上げ、光が視界を焼き尽くす。
耳の奥でごうごうと風がうなり、次の瞬間、足元がふっと消えた──。
「──銀座でミルフィーユでモンブランー!」
自分でも驚くような大声を上げて、ミナトは目を覚ました。
ん……? 誰の声、これ。
耳に残るのは、低く響く男の声。
「……え?え?え? 今の……本当に私の声?」
低い声が喉仏の下で震え、胸骨に鈍い響きが残った。まるで他人が体の中から喋っているみたいだ。
身を起こすと、冷たい風が頬をかすめた。
周りを見回す。さらさらと水が流れる川。石造りの小さな橋、並ぶレンガの建物、空はやたらと青い。
──おかしい。寝てたのは部屋のはずなのに。
立ち上がった瞬間、さらに違和感が押し寄せる。
「……視点、高っ!」
見慣れたはずの地面までが、やけに遠い。肩や背中には今まで感じたことのない重み。
腕を持ち上げれば、そこにあるのは鍛えすぎでも細すぎでもない、普通の成人男性の腕。骨格の太さも、手の大きさも、自分の記憶とはまるで違っていた。
「……これ、夢……だよね?」
心臓がざわつく中、川の縁へとしゃがみ込み、水面を覗き込む。
映ったのは──短く整えられた黒髪、精悍な輪郭、少し鋭い目つきの青年の顔。
瞬きをしても、青年は消えず、こちらを見返してくる。
「……だ、誰……これ……」
言葉がこぼれた瞬間、川面の青年も同じ口の動きをした。
それが自分だと理解した途端、心臓が一度、強く跳ねた。
時間と気が向いたら続き作る。 4o→5で、性能的にはそこまでの変化はないかな? 返答とかは早くなったし、間違いは減った気がするけど、根本は一緒かなぁ。どういう物語を作るかを決めてないと、完全に任せると面白くないものになりそうではあった。




