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沈静

 胸元から首筋にかけて、吐き出したくなるようなイライラが渦巻いている。


 僕は力いっぱい溜息をついて気を取り直すと、車窓の外を眺めることにした。


 視界を、広大なりんご園の景色が横切っていく。朝日を浴び、輝かしい無数の葉をそよがせた木々の姿に思わず見惚れてしまう。


 園の奥の方では、腰の曲がった農夫と、彼の息子と思われる若い男が、ひとつひとつのりんごの実にかぶせた袋を取り除いていた。


 その姿がやけに眩しく見えたのは、東の空に昇った朝日のせいだけではないだろう。


 僕は、目の前のりんご園に比べたら猫の額みたいにちっぽけな自分の畑を思い浮かべながら、再度、今日のプランを練り始めた。


 しばらくしてから、意識のベールの向こう側で、気だるそうな車内アナウンスが降りるべき駅名を連呼していることに気がついた。 


 慌てて、座席上にばら撒いた文庫本やらポケットティッシュやらをリュックのなかに突っ込み、通路を突っ切って車外へ。

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