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到着

 予定よりずっと早く到着した「金井ベリー園」の全容は、遠目から見ると、さながら合戦前の平野に陣取った歩兵師団のようだった。


 数えきれないほどの低木果樹が、見事なまでの統制を保ってズラッと並んでいる。


 その壮観は、とりわけ至近距離で対峙すると、地平線まで続いているのではないかと錯覚してしまうほどだった。


(こんな最高な果樹園が丸ごと全部自分のものだなんて。マジで最高だな)


 そんなことを考えながら、手づくりの木製看板を横切って、砂利が敷き詰められた正面エリアに車を進入させる。


 そのすぐ脇には、サビまみれのうらぶれた軽トラが一台。どうやら園主は在園しているようだ。


 いきなり押しかけて迷惑なことは重々承知している。だけど、連絡がつかなかった以上は仕方がないだろう? そうやって躊躇する己を無理やり納得させ、車から降り、まずは辺りを子細に観察してみる。


 左と真正面に、戦闘機でも格納されているのではないかと思えるほどバカでかい倉庫が二棟。


 右の地面にはポット苗木が何百個と並べられていて、すぐ背後に、加工場とおぼしき平屋サイズのスーパーハウスがある。


 さらにその裏手には、もはや自然界と一体化してしまった巨大なトラクターの残骸が打ち捨てられていた。


 蝉しぐれやカラスの鳴き声に混じって聞こえてくるのは、突風に揺れる木の葉のざわめき。


 オーブンみたいにジリジリとした日光が、鼻先と前腕部を容赦なく焦がす。


 左の倉庫のなかを、ちょっとだけ開いているドア越しにちらりと覗いてみる。


 だだっ広い室内にはたくさんの作業机や機械類が設置してあって、甘酸っぱい匂いが漏れ出てきていた。恐らくここは、収穫物の選別作業やパック詰めを行うスペースなのだろう。


 真正面の倉庫とスーパーハウスの間を突っ切って、いよいよ広大な圃場内に足を踏み入れる。

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