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17、北の章

 北の章地区は笠原浄光教国に隣接した北の山岳地帯の『(しょう)』という国だった。

章国は盆地を中心に、章一族の支配する国だったが笠原の侵攻を受け消滅し『北の章』地区となったのだ。

その盆地の廃屋の一画で、二人の男が密談をしていた。

一人は、根絶やしにされた章一族の傍系の生き残り(しょう)秀来(しゅうらい)

もう一人は、浄如軍の富田(とみた)(むつ)()だった。


「いや~、『浄如軍に富田あり』といわれた富田さんが味方に加わるとは、百人力です。ありがとうございます」


「うむ、それはいいとして、何人ぐらい集まりそうだ」


「百人ぐらいは固いかと、形成有利と見れば五百人ぐらいは・・・・。いろいろと不満が溜まっているのは確かですが、なにせ日和見(ひよりみ)が多いのです」


「うむ、先ずは武器を提供しよう。光如軍に気付かれてはまずいので、我々の集結は章軍決行の後になる。先ずは光如軍の駐屯地」


富田は地図を広げた。


「それから、北の章の中央官庁」


「はい」




―新宮殿―


 浄如軍との小競り合いが続く中、突如わき上がった北の章の反乱は、光如軍に大きな衝撃を与えた。


「これは、マズイんじゃないか。こんな時に」


木村参謀長の報告に、光如は不快を隠さなかった。


「マズイですね」


「浄如が裏で関与してたら、マズイぞ」


「火種が小さいうちに、叩き潰しましょう。いや、章の者の単独行動とは思えないなら、浄如軍を(おび)き出す絶好の機会かも知れません」


「うむ」


「挟み撃ちを企むなら、計画に乗ってみるのも手です。浄如軍には、信如さまも伸さまもおりません。心置きなく戦えると・・・・」


「それも、そうだな」


「はっ」


「よし、木村、お前に任す。存分に働け」


「はっ、お任せあれ」


木村参謀長は、胸を叩いた。


「よし、すぐ掛かれ」


「はっ、直ちに」




―浄如館―


 急ぎ、小島参謀長が報告に来た。


「章秀来が動きだしました」


「そうか」


「光如軍が動き出すでしょう。上手く行けば、挟み撃ち出来るかも知れません」


「いや、光如軍とてその位は予測してるだろう。それでは、奇策にならん。我軍だけで、光如軍を破る心づもりでないと」


「そう、おっしゃる通りでございます。さすが」


「いいから、準備に掛かれ」


「はっ」




 6月10日、北の章手前の山裾に光如軍と浄如軍が対峙した。




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