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勇者召喚、おまけ付き ~チートはメガネで私がおまけ~  作者: 渡琉兎


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第10話:新たな出会い 3

本日もありがとうございます。

 カフカの森からの帰り道、明日香たちは武装した集団を見つけた。

 いったい何だろうと首を傾げていると、その答えをガゼルが口にしてくれた。


「あれはマゼリアの兵士たちが定期的に行う野外演習だな」

「野外演習? 騎士団とはまた違うんですか?」


 兵士ではなく騎士との付き合いが多かった明日香だが、それは彼女が召喚者だからである。

 平民であれば騎士と触れ合える事の方が少なく、兵士との付き合いの方が多くなるものだ。


「騎士団はあくまで王城を守る者だな。兵士はマゼリアを守り、平民を守る者だ」

「そうなんですね。でも、アースドラゴンの時には騎士団が動きましたよね?」

「あれは王城の危機でもあったからだろう。それに、勇者様が飛び出していたんだろう?」

「あー……はい、そうでした」


 明日香が到着した時にはすでに逃げ出した後だったのですっかり忘れていたが、アースドラゴンとの戦いで一番の問題を引き起こしたのは岳人たちだった。

 その一件には夏希も関わっていたのだが、彼女の場合は最終的に明日香を守るために力を貸してくれたので不問とされており、気に病む必要はどこにもないのだが……。


「……夏希ちゃん、どうしたの?」


 様子のおかしい夏希に気づいた明日香が声を掛ける。

 夏希はカフカの森に向かっている兵士たちの一団を見つめながら、顔を青ざめていたのだ。


「……あー、すまん。さっきの話のせいか?」

「……い、いえ、違います。その、兵士たちと聞いたので、その……」


 そこまで話を聞いた明日香は、夏希が何を懸念しているのかに気づいた。


「夏樹ちゃん。もしかして、あの中に岳人君たちがいるんじゃないかって思ってる?」

「あ……はい。岳人君たちが兵士として苦労しているのに、私だけ幸せな日々を過ごしているのを見られたら、何を言われるのか怖くて」


 そう口にした夏希は、岳人たちが心配で見ていたわけではなく、岳人たちに見つかった自分が何を言われるのかが怖くて彼らの姿を探していた。

 結局、夏希が岳人たちの姿を見つける事はなかったが、それでも自分の中には岳人に対する恐怖がいまだに残っているのだと自覚したのか、彼女の体は小さく震えていた。


「……事情は知らねぇが、そいつらはそいつらがやっちまった事の償いをしているんだろう? そんで、お嬢さんはその償いを終えている。その違いなんだから、気にしなくてもいいんじゃねぇか?」

「……え?」


 唐突に口を開いたガゼルからの言葉に夏希は驚きの声を漏らす。

 直後にはガゼルの大きくてゴツゴツとした手が、少しだけ乱暴に夏希の頭を撫でた。


「ほら、さっさと行こうぜ! ここにいても時間の無駄だからな!」


 年齢にはそぐわない快活な笑みを浮かべたガゼルを見て、夏希の体はいつの間にか震えが止まっていた。


「……は、はい!」


 元気よく返事をした夏希を見て、明日香は彼女のためなら自分にできる事はしてあげようと、心の底から思えたのだった。


 冒険者ギルドの前でガゼルと別れると、二人は一緒にジジの道具屋へ向かい歩き出す。


「今日は本当に楽しかったね、夏希ちゃん!」

「はい! ガゼルさんも格好よかったですし、最高ですね!」


 気持ちが切り替わっているのか、夏希は笑顔で会話をしてくれている。

 その中で明日香は話題の一つとして、夏希が年上好きになった理由を聞いてみた。


「実は私、オタクって言われるような類の人間なんです」

「へぇー、知らなかったなぁ」

「ここに来てからはずっと隠していましたし、出す暇もありませんでしたから。それに……」


 そこで一度言葉を詰まらせた夏希だったが、気持ちの切り替えができているからだろう、彼女は意を決して口を開いた。


「……私がオタクだって知った岳人君たちにいじめられて、それからずっと絡まれていたんですよね」

「えっ! ……ごめん、夏希ちゃん。嫌な事を思い出させちゃって」

「あ! いいえ、気にしないでください。兵士の方々を見た時は少しだけ怖いと思っちゃいましたけど、ガゼルさんのおかげで今はスッキリしていますから」

「……そっか。夏希ちゃんは強いんだね」


 明日香の言葉に少し恥ずかしくなった夏希だったが、彼女は自分が強いとは思っていない。

 首を横に振ると、自分を助けてくれた明日香に満面の笑みを向けてこう答えた。


「でも一番は、明日香さんが私の事を助けてくれたからですよ!」


 その笑顔に明日香は驚き、そして瞳に涙が溜まっていくのに気がついた。


「当時の私はいじめられていた事もあって、自分の事しか考えられませんでした。明日香さんの事も忘れて、ただ大人しくしていれば大丈夫だって思っていたんです」

「夏樹ちゃん……」

「ガゼリア山脈の時だって、ただ流されるように岳人君たちについていったんです。でも、みんな逃げ出しちゃって、私は置いていかれて……あぁ、死ぬんだなって思ったんです」


 この世界で信じられる者と見定めた相手に見捨てられた夏希は、自暴自棄に陥っていた。

 死んでも構わないという思いで、ただフラフラと歩いていたのだ。


「でも、明日香さんは危険を顧みず私を助けてくれました。……ずっと酷い扱いをしていた、私をです。だから、強いのは明日香さんで、私は少しだけあなたの強さを分けてもらっただけなんですよ」

「私は強くなんかないよ。ただ、目の前で助けられる命が転がっているなら、助けてあげたいじゃない。それに、あの時は騎士団のみんなもいたし、助けられたら任せちゃおっとくらいに思っていたもんね!」


 笑いながらそう口にした明日香は、夏希を見つめながら冗談めかしてウインクをする。

 その姿に夏希も笑みをこぼし、大股で歩き出した。


「それじゃあ、明日香さんの思惑は外れちゃいましたね!」

「そうだねー。でも、一緒に暮らせるなら、それはそれで楽しいから全然オーケーじゃない?」

「うふふ。それもそうですね」


 まるで本当の姉妹のように、二人の表情から笑顔が絶える事なく、そのままジジの道具屋に到着したのだった。

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