第50話:エピローグ 2
本日もありがとうございます。
「次に、イーライとナツキ・カミヤよ、前へ」
「はっ!」
「は、はい!」
話題はどんどんと移り変わっていく。
名前を呼ばれた二人が返事をすると、明日香のすぐ後ろまでやって来た。
「さて、アスカ・ヤマトよ。此度の褒賞として小金貨五枚をそなたに贈るわけだが、他にも贈るものがある」
「え? 他にもあるのですか?」
「うむ。それはだなぁ……直接本人から聞いた方が良いだろうな」
「……へ? ほ、本人から?」
何を言っているのかと首をコテンと横に倒した明日香の隣に、後ろに立っていた二人が歩き出して彼女の前で振り返る。
何度も瞬きを繰り返していると、イーライと夏希が明日香の前で片膝をついた。
「えっ! ちょっと、二人とも!?」
「私、イーライ・ヤングストンは、汝、アスカ・ヤマトの剣となり、あなたの騎士となる事をここに誓います」
「わ、私、神谷夏希は、汝、大和明日香を守護する盾となり、あなたの騎士となる事をここに誓います!」
二人が明日香の騎士となる宣誓を終えると、アルが腰に下げた剣を抜いて明日香に手渡す。
「……二人の両肩に、剣を当ててください」
「……でも、これはちょっとダメですって!」
「……いいのです。これは、二人が望んだ事でもありますから」
小声でこれはダメだと口にするが、二人の望みだと言われると言い返せなくなってしまう。
しばらく迷っていたものの、このまま何もしなければ終わりがないと判断した明日香は決心を固めるために一度咳ばらいを挟んだ。
「ゴホン! ……こ、これでいいのかな?」
イーライの右肩から左肩に一回ずつ剣を軽く当て、同じ動作を夏希にも行う。
「ここにイーライ・ヤングストンとナツキ・カミヤの宣誓を受けて、二人がアスカ・ヤマトの騎士になった事を、マグノリア王国第一王子、アルディアン・マグノリアが見届けた!」
何がどうしてこうなった。
アルの口上を聞きながら、明日香は内心でそんな事を考えていたのだった。
大広間を出てから明日香の部屋に集まったイーライと夏希に対して、明日香は怒った様子で声を荒げていた。
「これはいったいどういう事ですか! ちゃんとした説明を求めます!」
当然の主張だと明日香は腕組みしながら問いただしているが、イーライも夏希もどこ吹く風といった感じで口を開いた。
「俺がそうしたいと思ったからだ。それ以外の理由はない」
「私は明日香さんと一緒にこの世界で暮らしたいと思いました! それだけです!」
「……いや、そんな自信満々に言われてもなぁ」
「まあまあ、いいじゃないか、ヤマト様」
「そうですよ。ナツキ様にとってはガクト様たちといるよりも、あなたと一緒にいた方がより良い時間を過ごせると思いますしね」
アルとリヒトも二人へ助け舟を出して明日香の説得を試みる。
とはいえ、現時点で騎士になる事を断ってしまうと二人が路頭に迷ってしまうらしく、明日香としては選択肢が一つしかない状態になっていた。
「私はジジ様とも面識がございますし、このまま道具屋までご案内いたしましょう」
「ありがとうございます、バーグマン様!」
「では、私は公務に戻るとしよう。後は任せたぞ、イーライ」
話が勝手にまとまっていき、夏希とリヒト、そしてアルが部屋を後にしてしまう。
残された明日香はイーライを睨みつけながら詰め寄っていく。
「ちょっと! 本当にどういう事なのよ!」
「さっき言った通りだ」
「あれじゃあ説明になってないわよ! イーライがそうしたいって、どういう事よ! 騎士団はどうするのよ!」
「騎士団ではできない事が見つかった、ただそれだけの事だ」
「それじゃあ、その騎士団ではできない事ってなんなのよ?」
真正面からイーライの目を見ながらそう問い掛けると、珍しく彼の方が照れたように視線を逸らせながら答えた。
「……惚れた女性を、守りたいだけだ」
「……え?」
ここにきてようやく気がついた。
明日香のメガネに映し出されているイーライの好感度が――100になっていた事に。
そして明日香も思い出してしまった。イーライを助けるためとはいえ、口移しでポーションを飲ませた事を。
「…………な、ななななっ!?」
「お、俺じゃあダメなのか? やはり、殿下が好き……なのか?」
「ち、ちちちち、違うからね! 私は別にアル様が好きってわけじゃないの! 良くしてもらっているし慕ってはいるけど、恋愛感情じゃないわよ!」
「なら、俺はどうなんだ! 俺は! ……アスカが、好きだ」
今度の言葉は視線を逸らす事なく、真正面から明日香の目を見ての言葉だった。
イーライの問いに対する明日香の答えは――
「……い、今はまだ、気持ちの整理がついてないの! ……だけど、その……」
何やら言い淀んでいる明日香の言葉を、イーライは真っすぐに見つめながら待ち続けた。
「…………こ、これからも、よろしくお願いします! これでいいでしょ――んっ」
明日香の答えを聞いたイーライは、彼女の手を取り引き寄せて、唇を重ねた。
驚いた明日香だったが、自分もイーライに好意を抱いていたのだと気づく事ができたのだと嬉しくも思っていた。
明日香のこれからの物語は、きっと幸せに彩られる事だろう。
第一章 終わり
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