第一話
結論から言うと、今日は何もせずにダラダラと過ごしただけだ。
つまり今回、この第一話は何も起こらずに終わる。
とか言って何かどんでん返しでもあるんじゃないか? 等と思っているそこの君、凝った小説の読み過ぎだ。
凝った小説に慣れてコリコリに頭もこっていることだろう。そんな君らはもう懲り懲りである。
こんな駄洒落も言っておかなければやっていけないのだ。だって今日は何もないのだから。
なぜ第一話なのに何も展開が無いのか?
そんな声も聞こえてくる気がする。
確かに、物語において『第一話』というのは重要だ。
アンソロジー等ではない限り、基本的に物語は第一話から読まれる。特に小説やマンガ、アニメなんて物は第一話が命と言っても良い。それがつまらなければ続きを見ようなんて気にもならないし、「一話で切ったわwww」なんてことを言われてしまうわけだ。
本屋で偶然手に取った本、ネットで偶然見つけた物語が、つまらなかったらもうその時点で時間を無駄にしたような、何だか損したような気分になる。
そしてもう二度とそれらに触れることはなくなるだろう。
大抵そんなものである。
だから皆、工夫を凝らして第一話を盛り上げるわけだ。
美少女との運命的な出会い、伏線だらけの謎の一話、可愛らしいキャラクターのオンパレード、エンディング前の急展開……
挙げ出したらキリがない。まぁ暇だからいいんだけど。
しかし、考えてみてほしい。
そんな都合よく何かが起こるだろうか。
少なくとも俺にはそれがなかったようだ。
今日は休みで、やることもなく、家で昼まで寝ていて、漫画を読んだりアニメを見たり、YouTubeでゲームの実況なんかを見て過ごしている。
なんてことはない、平凡な日だ。
昼飯に何を食べたかも、もう忘れてしまった。あ、カップ麺だったな。シーフード。
考えてみれば当たり前のことだ。
平凡な学生が突然能力を得て戦いに巻き込まれることのほうがおかしいし、無職がある日異世界に転生するなんて天文学のそのまた向こうの確率である。
そんなこんなでもう一日が終わる。
明日は何か起こるといいな、なんて少し期待しながら。