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神は好きに生きるそうです。  作者: 空の宙
2章 ダンジョンは神にとって波乱万丈の地になりそうです。
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34、神は新しいおもちゃもいじめます

 


 ボス部屋に挑戦した次の日、三日の期限の一日目。

 私は早速新しく増えたおもちゃをいじめゲフンゲフン訓練で鍛えていた。


「はいはーい、セルト君や、集中力が切れかけてないかーい? 指先に集めた魔力が霧散しかけてるぞー」


「うっさい話しかけるな! 魔力をこういう風に扱ったことないから難しいんだよ!」


「大丈夫だ、君なら出来る! 保証はしないけど!」


「そこはして欲しかった……」


「ほらほらルーリアも、私が目を離したすきにちょっと気が緩んだでしょ。魔力の乱れがちゃーんと見えるぞー」


「レイちゃんって〈魔力感知〉まだそんなに高くないはずなのに、なんで分かるの!?」


「私ですから」


「どうしよう、凄く納得しちゃうよ……」


私だからね、仕方ないね。


 セルトは矢に〈魔力付与〉をして放てるように、まずは魔力を一点に集める訓練を。

 これで矢にも移せるようになったらスキルが取得出来るだろう。

 無属性でも魔力で強化するだけで武具はかなり強くなる。

 魔力を食って成長する魔剣は本当にわかりやすく強化されるし。


 ルーリアには相変わらず前回と同じ方法で〈魔力操作〉のレベルアップと、MP限界まで訓練をやって回復したらまたやらせるというMP増加の訓練をさせている。

 魔力押し相撲が出来るようになって、私に勝てるようになった頃には相当MPが増えて魔法の発動も早くなってるだろう。

 システム内ではまだまだルーリアの方が豊富にMPあるんだから、押し相撲まともに出来るようになったらすぐに私に勝てるはずだ。

 まあ、どんだけかかるかは知らんけど。


 ちなみに、昨日の戦闘で上がったステータスはこちらデデン。



 ********


『名前』レイチェル・フェルリィ

『種族』 人族

『ジョブ』シーフ

『Lv』11

『HP』155/155(↑13)

『MP』208/208(↑8)

『SP』103/103(↑8)

『攻撃』93(↑8)

『防御』49(↑5)

『魔力』144(↑5)

『抵抗』144(↑5)

『敏捷』88(↑8)

『運気』10

『スキルポイント』60(↑10)


『アクティブスキル』

「罠解除 Lv1」

「火炎魔法 Lv1」

「水流魔法 Lv2」

「暴風魔法 Lv2」

「地動魔法 Lv2」

「光魔法 Lv1」

「闇魔法 Lv1」


『バフスキル』

「集中 Lv1」

「演算処理 Lv1」

「並列思考 Lv1」

「気配感知 Lv1」

「魔力感知 Lv3」

「魔力操作 Lv4(1up)」

「罠感知 Lv1」

「短剣技 Lv1」

「強力 Lv1」

「俊足 Lv1」

「神層領域拡張 Lv10」


『ユニークスキル』

「観察眼」


『称号』

 なし


 ********



 また更にやばいステータスになったよやったね!

 この幼女怖いね!


『いずれ戦闘幼女ならぬ戦争幼女に……』


 それなんて戦記もの。

 つーか厄災少女から変わってるんですけど。


 いやはや、順調にステータスが伸びていっておる。

 やばいっすわ。


 にしても、スキルポイント放置してたけど、そろそろ使ってもいいかもね。

 一番低くて50ポイントで取れるんだし。


 スキルポイントを使うと、0から熟練度を貯めなくても、即座にレベル1の状態でスキルが手に入る。

 一番安いのは効果が低かったり、適性値が高いもので、50ポイントで取得出来る。

 が、50ポイントで取得出来るスキルなんて大抵が雑魚スキルだ。

 しかもその中の基礎ステータス強化系だったりの簡単なものについては、私は殆どの熟練度の貯め方を知ってる。

くそう、歩く攻略図鑑な自分の脳みそが恨めしい!


 だから今まで無視してたわけでして、50で取れるやつで熟練度稼ぎにくいのあったっけ?

 そう思いながら、〈観察眼〉を使ってスキルポイントの項目に意識を向けて、取得可能なスキルを表示する。

 特にないと思うけどなー。

 たかが50ポイントだ、し……。

 ……いや、あったわ。

 なんで適性高いのかは知らんが、あったわ。


 《スキルポイントを50消費して、アクティブスキル「立体機動 Lv1」を取得しますか?》


 おけまる。


 《アクティブスキル「立体機動Lv1」を取得しました》


 まさかの便利なスキルゲット。

 これのスキル効果はこちら。


 《立体機動:立体的な行動が可能になる》


 あくまで壁走りとか天井走りが出来るだけで、どこぞの対巨人戦闘員みたいなアレはない。

 でも、そういう物理的に不可能なことってやりたくなるよね。

 まあ勿論、私は神の時にいつもやってたけど!

 あ、だから適性高いのか。

 でもやんちゃではありません。


『いや、今も昔もやんちゃでしょう』


 黙らっしゃい!

 お淑やかな私のイメージを壊すんじゃない!


『それ本気で言ってるんですか?』


 嘘ですごめんなさい。


 そんなわけで、絶賛二人の特訓中。

 その途中で、私は早速〈立体機動〉を使って木の上に登り、グラドの残滓の気配を探る。

 なんたらは高いところに登りたがるというが、別にこれはただ気配を探しやすくするためのものだ。

 下ではルーリア達が魔力操作訓練してるから探知しにくいし。


 ほんの少しの間だけ、魔力封じの髪留めをはずす。

 そして解放された魔力を、自分の中心に集め、球体ではなく円盤のように一気に拡散させた。


「きゃっ!?」


「わっ!?」


 あれ、折角円盤状にして下にいかないように注意したのに当たったみたいだ。

 めんごめんご。

 私の魔力の波動に当てられたら、そりゃ人間のちゃちな魔力なんて流されるわ。

 とりあえず、集中してっと。


 私の魔力に反応した歪な魔力の塊は、二つあった。

 一つは、あいつかー、紛らわしいな畜生。

 ほっとこ。

 もう一つは、いた、ちっこいけど、やっぱりグラドの残滓だ。


 私は一度下に目をやり、ルーリア達がまた訓練をきちんと再開し、こちらの様子には気がついてないのを確認すると、手に魔力を残してから髪留めを戻す。

 これは体内の魔力、というか魂から魔力が無駄に漏れるのを封じるものだから、先に体外に出しておけば消えたりしないね。


 そして、その魔力で弓を形作る。

 その弓に魔力の矢を番えて、狙いをグラドに定める。

 向こうもこちらに気がついたようで、慌てて逃げようとするが、もう遅い。


 矢を放つ。

 グラドの残滓が逃げる。

 が、追跡の魔術を組み込んでおいたので、回避不可。


 《熟練度が一定値に達しました。アクティブスキル「魔力具現 Lv1」を取得しました》


 ん? おお、今のでか。

 まあ、強力で精密なの一発でもやれば取れるよね。


 そのままグラドと私の魔力は激突、爆発し、霧散していった。

 断末魔すら私の魔力で流されて聞こえなかった。


 あの小さいのだったら、魂があったとしても簡単に解放されるだろう。

 でも本体の方はやっぱり壊してもそのあとの魂の濁流で魂が大量に死ぬ可能性があるからめんどっちい。

 はあ、やっぱり私がやるっきゃないんだよなあ。


 あれの後始末は向こうがしてくれるだろう。

 てか、薄々思ってるんだけど、外とここを頻繁に行き来してるのって、この世界の奴じゃフォルとあいつくらいだよね?

 フォルは何かを持ち帰ること……は研究材料のために頻繁にあるし。

 あいつには神やら龍やらの残骸を持ち帰ることを私が頼んでいる。

 となると、小さくなってその荷物に溶け込んで、結界に極小故に危険なものだと判断されずに中に入って、結界内部で再び元の姿に戻ることも可能、か?

それは私の結界がザルというより、相手が賢すぎたって感じだよね?


 ……なんだろう、思いついたらそれしかない気がする。

 どっちかが犯人にしか思えなくなってきた。

 となると、私、何も悪くなくない?

 あいつらがどうにかするべきじゃない?

 でも精霊達が私にしかどうにか出来ないと言ったのだから、そうなのだろう。


 とばっちりじゃん!

 とんだ巻き込まれ案件だよ畜生!

 あいつら許さねえ!


『まあ犯人確定された訳では無いですが、システムの結界の通行復歴からすると、グラドが現れたのと、あの馬鹿悪魔が帰ってきたのはほとんど同時期なので、ほぼ確定ではないかと』


 死刑だな!

 めためたにしてやんよ!

 どうせちょっと痛めつけたって死なないから何してもおけ!


 うっし。

 終わったあとに楽しみ(お仕置き)が出来たことでなんかやる気出てきた!

 やってあげようじゃないかこの私が!


『やばいマスターのやる気が変な方向にふられた。馬鹿悪魔なーむー』


 さてさて、ルーリア達の方はどーかなーっと。


 私は木を駆け下りて、最後に幹を蹴って着地する。

 まだ安定しないけど、〈立体機動〉のレベルを上げればもっとやりやすくなるよねー。

 目指せ忍者! にんにん!


「どう? 出来た?」


「あ、レイちゃん。見ててね、いっくよー!」


 ルーリアが両手に集めた魔力の球体を、前方に放ち、その先にあった木の幹に当たり、パンっ! と弾けて木屑を撒き散らす。


「おー、やったじゃん」


「えへへ〜。私頑張ったよ〜。褒めて褒めて〜」


「はいはい、よーしよしよし」


 わちゃわちゃーっと、腰をかがめて頭をずいっと突き出してきたルーリアの頭を撫でてやる。

 えへへと笑って楽しそうである。

 なにかと私が頭撫でると喜ぶヤツが多い。

 なんでだろう。

 チョロい奴が多いってことだろうか。


『なでなでのスキルでもあるんじゃないですか?』


 何その謎スキル。


『まあ多分、人を撫でることに慣れたせいで、長年の経験故に的確な撫で方でも覚えたんじゃないですかね』


 謎い。


 ルーリアは満足すると、もう一度訓練に戻る。

 うんうん、成長が早くて、先生嬉しいぞー。


 セルトはー、まあ予想通り手間取ってるな。


「へいへーい、どんな調子だーい?」


「……全くもって出来る気がしない。なんだよ魔力を一点に集めて放つって」


「セルトの場合、魔力を矢に付与するだけでいいから、むしろやりやすいと思うけどね。先に矢先に集めるほうをやってみる?」


「……順番通りじゃなくていいのか?」


「上の段階の方がやりやすい場合もあるでしょ。人それぞれだよ。てなわけで、矢、貸して」


 セルトに矢をせがみ、私は手に握る。

 そして自分の魔力を集中させ、矢先を僅かに魔力で発光させる。


「はい、こんな感じね」


「……俺の自信と常識が壊れていく音がするんだが」


「自分が成長する音だよ気にするな」


 ってこの会話デジャブだな。

 なんで揃って似た反応するん?

 私、分かんなーい。


『常識外れって知ってます?』


 超知ってるその通りだよ。


 《熟練度が一定値に達しました。バフスキル「魔力付与 Lv1」を取得しました》


「あ」


「……ん? どうした?」


「丁度今このスキル手に入れた」


「……はあっ?」


 そんな顔しないで欲しいのじゃ。

 全くの不可抗力なのじゃ。

 だって私の魂とシステムの相性が以下略だから仕方ないやん!


「そんなわけで、私みたいに取得出来るように頑張ってくれ。ちなみにスキル名はまんま〈魔力付与〉だよ」


「……お前つくづく常識破りだな」


「言わないでくれ、自覚はある」


「……あるのかよ」


 そんな目をされても困る。

 私が常識からかなり逸脱した存在だなんてことは今に始まったことじゃないんだから。


「ああ、そうそう、この訓練が一通り終わったら、多分こうなるってのを見せとくよ。弓も貸してくれる?」


「……いいぞ。でも絶対傷付けるなよ」


「分かってるよ」


 私はセルトの愛弓を手にして、矢を番える。

 そして、スキルを手に入れたことで、よりやりやすくなった〈魔力付与〉を行う。

 狙いを木の幹に定め、放った。


 かっこよく木の幹ど真ん中、とはいかなかったが、矢が当たる。

 すると、矢がささった直径十センチほどが魔力が破裂して、くり抜かれたように穴が出来ていた。

 ま、実物の弓なら上手くいかなくて当然でしょ、慣れてないし。


「はい、こんな感じね。やっぱり弓は苦手だね」


「……おい、どこからツッコミ入れればいい?」


「悪いね、ツッコミ要員はルーリアで足りてるのよ」


「なんか勝手に変な役職付けられた気がするよ〜!」


「気のせいだよ集中しなさーい」


 こういう時でも割り込んでくれるルーリア、流石私の第二のツッコミ役。

 でもたまにボケるよね、主に色恋で。

 セルトは頭が痛そうにこめかみを抑えていた。

 あ、そうだ。


「てなわけで、二千リル頂戴」


「は?」


「授業料というのをご存知かね。つまり、きっちり教えてやるから金払えっていってるの」


「まじかお前……、ぼったくりじゃねえ?」


 失礼な。

 専門外の弓強化ってことでルーリアの半額だぞ。

 あいつなんて飛び付くように喜んだ挙句四千リルでも安いと言ったんだぞ見習え。


「いや何言ってんの。二人に付き合ってる時間があったら、魔物とかで一万リルは余裕で稼げるの。私の冒険者時間を二千リルで売ってるんだよ? お前は何時でも家があるからいいかもしれないけど、私は今、セルトの宿っていうそこそこいい宿に泊まってるのもあってお金は何時だって必要なの。分かる?」


「ああ、そういうことか……。確かに、その通りかもな。分かった、それくらい払ってやるよ」


 分かってくれたようで何よりだ。

 まあルーリアの授業料でそこそこに安く済んでるし、お金は武器をまだ新調してないから貯まってるけどね。

 でも武具を取り替えたら一気に無くなるだろうから、多いにこしたことはない。


「……そういや、お前なんでうちに泊まってるんだ? まあ客になってくれるのは嬉しいけどよ。安宿が嫌だったのか?」


「いや、ルーリアが授業料払うから同じ宿に泊まろうよってお願いしてきたから、絆されて仕方なく」


「……え、ルーリアさんが?」


「ルーリア友達も多くないし、寂しかったんじゃないの? ま、セルトのとこはご飯も美味しいしお風呂もいいもので案外私も気に入ってるけどね」


「……気に入って頂けてるようでなによりだ」


 セルトは満足そうな営業スマイルを向けた。

 冒険者やってても、宿の評価はちゃんと気になるものらしい。

 まあ実家だしね、当たり前だね。


「……そういや、お前とルーリアさんってなんで仲良くなったんだ?」


「あー……」


 私はちょっと恥ずかしくなって頭をかいた。

 フォルを通しての関係は、正直大してないからなぁ。

 初めて関係持ったのが、山猫に追いかけられてたとこを助けられた、なんて言えないわぁ。

 こいつは笑わないだろうけど、言いたくないわぁ。


「内緒。女同士の友情にあんまり興味を示すもんじゃないよ」


「……ふーん。まあ知らなくてもいいけどさ」


「なんか今レイちゃんが嬉しいこと言ってくれた気がする!」


「なんでちゃっかり聞こえてんの恥ずかしいなあ!」


「わーい、照れてる〜」


「……お前も普通に照れるんだな」


 ほほうほうほう。

 私をからかうかそうかそうか。


「よし、特訓メニュー増やしてやる」


「あうっ……」


「げっ……」


 私をからかってこの程度で済むんだから有難いと思うんだな!


 そんな風に、普通に楽しく過ごしながら、特訓の一日は過ぎた。







 ********



『以下の用語とその解説が追加されました』



「スキル:バフスキル:魔力具現」

 魔力に形を持たせて、その状態で扱えるようにする。

 詳細:ただのエネルギーである魔力に形を与えられるようになるという、とんでもスキル。

 が、この世界では普通のスキル。

 騙されるな世界の住人達よ。

 そのスキルは本来人間には使いこなせない。

 補足:まあ持ってる方は少ないんですけどね。



「スキル:バフスキル:魔力付与」

 物質に魔力を付与させて、強化する。

 詳細:魔力による無属性簡易強化。

 これをするだけでも攻撃力や防御力などは結構上がる。

 こちらの方が〈魔力具現〉よりかは使いやすい。

 補足:こっちは付けたいところに魔力を補助として付けるだけなので、まだ簡単ですね。



S『ぼったくり商法』

レイ「合意ならセーフ」

S『セウトー』

レイ「知的財産にお金払うは当然、を広めればいいんじゃないかな」

S『それにしてもぼったくりですよね』

レイ「ノーコメント」


まあ実際教えてることは結構役に立つから価値はある。

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