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神は好きに生きるそうです。  作者: 空の宙
1章 神の大冒険の始まりだそうです。
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悪魔の独り言

 


 やあ、初めまして。

 すごく怪しいし、大した者でもあるけど、君に危害を加える者じゃないよ。


 ……そんなよく分からないって顔をしないでよ。

 初対面なりに気を使って警戒を解こうとしてるだけじゃないか。

 つまらない人だねえ、君は。


 突然どうして話しかけたかって?

 さあ、どうしてだろう。

 久々に誰かと話したくなったからかな。


 きっと向こうはそんなに時間は経っていないのかもしれないけど、ボクにとっては数十年ほど一人で飛び回っていたからね。

 ちょっぴり寂しさを紛らわしたくなったのかもしれない。


 お隣、失礼するよ。


 そうだな。

 久々にまともに誰かに会えたことだし、ちょっとボクの話を聞いてはくれないかい?

 ああ、大した話じゃない。

 適当に聞き流してくれて構わないさ。


 まずは、自己紹介でもしようか。

 君は何も知らなそうだからね。

 ああ、馬鹿にしてるとかじゃないよ?

 単純に、そう見えてしまうだけさ。


 ボクはこの宇宙で悪魔と呼ばれる者の一種だ。

 この黒い天輪と黒い炎のような翼が見えるかい?

 これがボクが悪魔である証さ。


 と言っても、それぞれの悪魔が持つ天輪も翼も大分違うけどね。

 言ってしまえば、ボクらはその他大勢の種族だし。

 名無し種族とも言えるね。

 悪魔っていうのは、最初から悪魔なわけじゃなくて、何らかの理由があってそうなってしまった者達だから。

 成れの果てとか、浮浪者とか言われたりもするよ。

 まあ、細かいことは、今は省くとしよう。


 ボクは悪魔だけど、とある人の下にいるんだ。

 ほら見てよこれ。

 首元のチョーカーにさ、魔術が組み込まれているだろう?

 これがボクに付けられた首輪。

 つまり犬ってことだね、わーんわん。

 ……そんな無機質な目を向けられると、流石のボクも傷つくな。


 別に束縛の魔術なんて、魂に刻み込めば終わるんだけどね。

 それだけじゃなくて、体の一部か、縛ることを具現したような物に術を組み込むと、より強力になる。

 ボクの場合、いつでも首を締められちゃうのさ。

 つまり反抗したら即首切りならぬ首絞めー。

 まあ、彼女からの罰なら、どんなものでも受け入れけるけどね。

 でも締められるなら、チョーカー越しじゃなくて、あの手で直接やられた方がずっといい。


 ボクを飼ってるご主人様達はね、凄いんだよ?

 世界でも結構恐れられてる神様なんだ。

 え、神様が何かって?

 君、そんなことも知らないのか。

 色んな意味で驚きだよ。


 そうだな、神様は神様なんだけど、正確にはそうじゃないんだよなあ。

 まさしく神なのではなく、神という一種族、と言えば伝わるかな?

 人間と違って、魔力を持ち、それを使って魔術というものを構築する種族。

 逆に言えば、魔力と魔術を抜いてしまえば、ちょっとだけ強い人間と大差ない。

 長寿なのも、魔力があるからだし。


 ボクからしたら、どっちも変わらないどころか、何かと傲慢且つ暴力的な神族の方がタチが悪いよ。

 まあ人間も人間同士だと似たようなものかな?

 分かんないや。


 でもね、ボクのご主人様は違うんだ。

 彼女達は、むしろ神族っぽくない。

 どこか人間っぽくて、でも神族らしい傲慢さも多少はあって、なのに、あり方は人間っぽくも神族っぽくもない。

 彼女達は彼女達という種族みたいな。

 唯一無二みたいな人なんだ。


 その神様達の住む星は、彼女達が管理していてね。

 その星は凄いのさ。

 とある大陸全体が全て魔術で管理されているんだよ。


 この凄さが分かるかい?

 管理なんてのは、所詮結界やら魂の管理やらをする程度なんだ。

 なのに、その大陸は全てが管理されている。

 魂も、肉体も、そしてその魔術の範囲内オリジナルの要素も。


 君、ゲームって知ってるかい?

 正直ボクも普通のゲームしか知らないけど、地球には電子ゲームとか言うのがあるらしくてね。

 それを参考にして作られた魔術は、その大陸をゲーム会場にし、その住民達全てをプレイヤーにした。


 何が一番異様かって、人間達が魔法を使うことだよ。

 人間の魂なんて脆弱だから、魔力を膨大に持つことも、ほんの少ししかない魔力を魔法に使うことも出来ない。

 人間の中には神に教わった黒魔術なんてものを使う者、魔女なんていうのもいるけど、あれは自分の魂から使わず、自然界の魔力を使ったものだ。

 普通は、人間が魔法を使ったら簡単に死んでしまう。


 でもね、その世界の人間達は色々とおかしいんだ。

 魔法を使い、魔法に似た何かを使い、神様に用意されたモンスターを倒して、自分自身を進化させていく。

 あれは強化なんてものじゃない、人という種族から逸脱した進化さ。

 それが死ぬことなく、その大陸全ての者に適応されている!


 これがどれだけすごい事か分かるかい?

 ふふ、難しいかもね。

 それでも、芸術的で、天才的な魔術としか言えない、そんなものを作り出してしまうのが、ボクのご主人様なのさ。


 まさしく天才だ。

 天という名の、世界から何かを与えられた存在としか思えない。

 でも彼女達自身は、殆ど彼女達の独学と研鑽だという。

 もう恐ろしくて仕方ないよね。


 そして同時に、酷く歓喜し、興奮するね。

 そんな天才達がボクを縛り付けている。

 それがとても楽しくてたまらない。


 怖くないのかって?

 怖いに決まってるよ。

 彼女達はいつだってボクを殺せる。

 いや、死ぬことは怖くない。

 生きなければとは思っているけれど、いざ死を突きつけられたら死ぬつもりだ。

 といっても、自分で死んだりしないけどね。


 でも、彼女達はボクを殺さない。

 代わりに、普通の人からすれば死にたくなるような罰を与えてくれる。

 それがね、嬉しいんだ。

 ボクは罪人だから。

 罪人にとって悲しいことは、何もバツを与えられず、のうのうと生かされることだ。


 彼女達は、そんな歪んだボクを縛り付けて、願いを叶えてくれた。

 それが酷く嬉しいんだ。

 罰を喜んでいいのかは分からないけど、何も与えられずに死にたくなって、勝手に自殺するよりかはマシだろう。

 自殺は、最も許されないことだろうからね。


 ああ、ごめんね。

 暗い話をしてしまった。


 そうだなあ、明るい話に切り替えよう。

 そのとある二人の、ボクのご主人様の内の、一人の話。

 その話をしよう。


 彼女はいつもキラキラしてて、イキイキしてて、まるで光みたいな人なんだ。

 何故か分からないけど、ただ一緒に居るだけ、思うだけ、見るだけで心が温かくなる、不思議な存在なんだ。


 ボクはどんな種族も平等に好きだけど、それは博愛とか観察面においての好きだ。

 ある意味、興味が無いとも言う。

 でも彼女に対しては、なんていうか、愛おしいって感じなのかな。

 本当に、不思議な子なんだ。


 ……お、興味があるかい?

 じゃあ、まだ時間はあるかな?

 あともう少し、独り言をさせてもらおう。

 


 自由に好きなように、思うように生きることが好きな、とある神様の話を、ね。



?「作品のスタートを見事に取られた……」

?『じゃああの人爆発させますか』

?「やめなさい。どっかのチャンネルじゃないんだから」

?『いやあれはただの爆発中毒でしょう。当機のは天誅です』

?「どっちもどっちかな」

?『とりあえず次話に行きましょうか』

?「おー」

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