浮遊魔法……
「…………」
……俺は屋敷を歩く……相棒を抱えて……
「……暗いから……シロフワさんを空中に漂わせてよ……」
盾士ちゃんは、ケイゴの背後からそう言う。
「……あ、ごめんなさい……」
ケイゴは、シロフワさんを離す。シロフワさんは、ケイゴの少し前に浮かび進む。
「……ところで……なんでアンタ……ずっとフード被ってるの? 暗いならフード取ればいいじゃない……」
「…………」
……顔……見せたくないんだもん……ボロボロなところ……
「……ふ〜ん……そう……何か訳あり?」
盾士ちゃんは、ちょっと笑みの含むような声でそう聞いた。
「……そんな感じです……」
……昨日……俺はタプを失い……恩返しの思いすら失いかけた……何もかも投げ出したくなった……この顔は……今は誰にも見せたくない……
「…………」
「…………」
その後は、ケイゴと盾士ちゃんは、話さずに倉庫についた。
「……じゃあ……始めます……」
俺は、あまり声を出したくないが、無言なのは盾士ちゃんに失礼なので、頑張って声を出す。
「……なら……私が浮かせるからパパッと終わらせちゃって〜」
盾士ちゃんは、楽しそうに言うと、倉庫の中にある物を全て中に浮かした。
「……えっ………すごい……」
「……見てる暇あったら、さっさと動く! ほら!」
盾士ちゃんは、ちょっとドヤッとした感じで言う。
「……はい! ありがとうございます」
俺は、掃除用具から掃除機と雑巾を取り出して、掃除を開始した。
「……そんな動きじゃいつまでたっても終わらないわよ! 太っているの言い訳にして怠けてるわけ?」
盾士ちゃんは、教官のように言う。
「……す、すいません!」
……結構……掃除に自信あったのに……俺は、学校で使う雑巾が、みんなは全然汚れてない中……俺のだけボロボロの真っ黒になっていた、その事に誇りを感じていた……ホコリと誇りをかけたわけじゃないよ? うん……
……でも……物を浮かせてもらってるんだ……俺が早くしないと疲れちゃうはずだ……俺より盾士ちゃんの方が頑張っているんだ!
うおおおおおおーーーー!!
「……そのペースなら……まだまだだけど……良いんじゃないかしら」
盾士ちゃんは、上から言う。
「……あの……すみません……」
「……ん? どうしたの?」
「…………飛べる魔法ってあるんですか?」
「………………あっ……………」
盾士ちゃんは、上から……そう……言葉通り……空中に浮いてケイゴを上から見ていた。
「……………あ、あるわよ?」
盾士ちゃんは、ゆっくりとゆっくりと地面に着地した……もっと飛んでいて欲しかった……フワフワと脚が……良い!!
盾士ちゃんは、こちらをちゃんと見ずに言った。
「……浮遊魔法……得意って言ってましたよね……それの一種ですかね……」
「……まぁ……そんな感じよ……」
盾士ちゃんは、こちらを見るが、すぐ顔を背けた。
「…………」
「…………」
……これさ……流石の俺でも分かるよ?
……盾士ちゃんは……
「……あの……もしかして……」
「……えっ!? な、なにかしら……」
(も、もしかして……私が幽霊だって事がバレた?……いつも飛んで移動してたから……ついしちゃった……やっぱりこいつを追い出すしか……)
「…………」
「…………ゴクッ……」
「……職業……二つありませんか?」
「…………そ、そうよ……私は、ゆう……え?!」
「……え?! ……ゆう?」
……ん? ユウっていう職業? なにそれ……
「……ど、どういう事? 二つ職業って……」
(……え? 私が幽霊だって気づいたわけじゃないの?)
「…………いや……何でもないです……」
……おいおい……盾士と魔法が得意な職業を持っているかと思ったのに……違かったようだ……あまり知られちゃいかん事だったんだが……勘違いした……
「…………」
「…………」
( (……な〜んだ……違うんだ〜) )
「……浮遊魔法って難しいんですか?」
「……そ、そうね……とても……」
(……浮遊魔法は……魔法の知識がすごい、上級魔道師ですら……長く浮遊させる事は、出来ないでしょうね……)
「……そうですか……」
……俺も使えたら良かったのになぁ……盾士ちゃんに教えてもらおうかと思ったけど……俺以外の人が大変なものを俺が出来るわけないもん……
……だって……俺だぜ?
「…………」
(……でも……こいつが言った事もあながち間違いじゃないんだよね〜だって私の職業は……盾士……そして……
……ポルスガース……物に宿る魂……
……私の盾が……私の本体なのだから……)




