雨の音……
「…………」
「…………」
俺はフードの中からスリちゃんを見る。スリちゃんは、ケイゴを傘をさしながらジッと見ていた。
「……雨が凄いので……私も入っていいですか?」
スリちゃんは、俺に優しく言う。
「…………は……い……」
俺は、ローブで涙と鼻水を拭き、フードを深く被り直し、壁に寄っかかって座る。
「……ありがとうございます」
スリちゃんは、傘をたたみ路地に入って来て、ケイゴから少し離れたところで立つ。
「…………」
……スリちゃん……どうしてここに……
「……串焼きさん……」
スリちゃんは、ケイゴを見ながら言う。
「……にゃ……何ですか?」
ケイゴは、低い声を出す。
……鼻水で鼻が詰まる……恥ずい
「……あの人達に……やられる所を見てたんです……ごめんなさい」
スリちゃんは、心配するように、申し訳なさそうに言う。
「…………そう……ですか……」
……見られてたのか……俺がボコボコにされて……泣き叫ぶ姿を……
「……私……怖くて……隠れるしかなくて……本当にごめんなさい……」
スリちゃんは、涙を垂らす。
「…………」
……この子は……なんて優しい子なんだ……こんな俺の為に泣いてくれるなんて……
「……私……私……」
「……大丈夫だよ……君は何も悪くない……ありがとう」
「……で、でも!」
スリちゃんは、大きめな声で言う。
「……君が出て来てくれなくて良かった……もし出て来てたら……もっと大変な事になっていた……だから泣かないで?」
ケイゴは、優しく聞こえるよう努力した。
「……俺はこの通りボロボロだけど……元気だ……君が出て来てたら……俺は、君を助けようとしたはずだ……そしたら俺は死んでいたかもしれない……」
「…………」
「……本当に良かった……」
「…………そ、そうですよね……私がいたら……邪魔になってましたよね……」
スリちゃんは、顔を下げて言う。
「……俺は、大丈夫だ……そろそろ遅いから…….お家に帰った方がいい……」
「…………」
スリちゃんは、ジッとこちらを見る。
「…………」
……あまりこの姿を見せたくないんだけどなぁ……この子の前ではカッコよくありたかったのに……
「……串焼きさんの名前ってなんて言うんですか?」
「……え?! お、俺の名前?」
「……はい……」
スリちゃんは、緊張した面持ちで言う。
「……俺の名前は……ケ……いや……」
……ケイゴって言ったら、スる相手がバレる可能性があるよなぁ……ローブ……デブ……
……よし!
「……ケ?」
「……いや……俺の名前は……
……ロデーブ……これが俺の名前だよ……」
「……ロデーブ……さん……分かりました……」
「……さようなら……元気で頑張ってください……」
……スリちゃんも、虐待を日々受けてる中こうして俺を心配できるとても強くて……優しい……俺も……頑張るよ……絶対君を……
「……はい……ロデーブさん……」
スリちゃんは、傘を開くと俺を何度か見て雨の中を歩いて行った。
「…………」
……彼女を……救ってみせる……
ケイゴは、前を睨みつける。
「……タプがなくなったなら……また稼げばいい……
……どんなに負けようが……今までと何1つ変わらないじゃないか……俺はこれからも負け続ける……異世界は甘くないんだから……
……生きている限り……負けちゃいない!
……だって……俺だぜ?」
ケイゴは、ゆっくりと目を閉じて、眠った。
……雨の音が、さっきまでの音と違ったように感じた……
雨の音って……気分によって変わりますよね……




