路地まで……
「…………」
……私……ブレイクさんがデブって言った時……
……ケイゴさんの顔が最初に浮かんだ……
「……太ってる方は……沢山いるのに……」
受付嬢ちゃんは、自分の手を見る。
……僕の妻になってさえくれさえくれれば……
受付嬢ちゃんは、その手を制服で拭くように撫でた。
「……そろそろ……終わりだ……」
……授業の準備しなきゃ……あの子来てくれるかな?
受付嬢ちゃんは、マフラーを巻いた少女を思い出す。
「……ケイゴさんが来た途端に、静かになったちゃったんだよね……」
……ケイゴさん来てくれるかな? ……来てくれるといいなぁ……
……また……来てくれますか?
……はい……まだ全然、薬ソウネの選別出来ないですし……
「………ケイゴさんのおかげなんですから……来て下さいね? ……薬ソウネの選別は私が教えてあげますから……」
……早く終わらないかなぁ……
受付嬢ちゃんは、教科書を机の端に置き、その上に手を乗せた。
「……ねぇ……ノエ〜」
「ん〜? どうしたの〜」
「……ブレイクさんってかっこいいよね〜」
「……えー! まぁ……見た目はイケメンだけど……性格がダメっすよ?」
ノエ〜と呼ばれたのは、ギャルっぽい受付嬢だった。
「……そっか〜……やっぱり完璧な人っていないもんね〜」
そう答えたのは、パラ魔ちゃんだった。
「「……ね〜」」
2人は、ギャルっぽい受付嬢の受付で気だるそうに話していた。
「……それに、もん先輩にメロメロっすから」
「……もん先輩ってさっき話していた受付嬢?」
「……そうっす♪」
「……もんさんの方は、ブレイクさんのこと嫌がってるように見えるけど?」
「……もん先輩は、男嫌いなんすよ……ブレイクさんもあの調子でグイグイとして家庭の事情とか聞き出した感じだから……あまり好んではないと思うっす」
「……へー……手を握られた時すごく嫌そうだったしね……」
「……好きな人にされるのはいいと思うっすけど……男嫌いの人にとってはただ怖いだけですからね……」
ノエちゃんは、時計を見てから、後片付けをし始める。
「……ん? もう時間ね……私も帰るわ……」
「……雨降りそうだから急ぐっす!」
「……ノエは甘いのよ……いつも準備ちゃんとしないから、傘を忘れるんじゃない……」
パラ魔ちゃんは、傘を見せびらかしノエをからかうような笑顔を見せる。
「……うるさいっす! 邪魔だから帰るっす!」
「……はいはい……風邪ひかないようにね?」
「……気をつけるっす」
パラ魔ちゃんは、ノエちゃんに軽く手を振って、ギルドを出た。
「……時間になった……ルン先輩! 私帰るんで……あとよろしくお願いしますっす!」
ノエちゃんは、ルン先輩に報告をすると、休憩室に走って向かった。
「……はぁ……もんちゃんは、ブレイクにあってから、ボ〜としてるし……ノエは、雨が降るから定時で帰るって……世話の焼ける後輩で嬉しいわ……まったく……はぁ……」
ルン先輩は、ため息を吐き、残業の覚悟を決めるのだった。
「……雨降りそうだから誰も歩いてないっすね……少し怖いっす……」
ノエちゃんは、暗い道を早歩きで帰路を急いだ。
「…………」
(……前から3人の男が歩いてくるっす……こんな時に遊びに行くんすかね?)
ノエちゃんの前から3人の男達が、ゲラゲラと話しながら歩いて来ていた。
ノエちゃんの隣を男達が通った瞬間……
「……こんな暗い道一人で歩くなんて危険だぜ?」
「……えっ……んん!?」
3人の中で1番ガタイのいい男がノエちゃんの後ろから口を塞ぎ身体をホールドする。
「……おっとごめんよ? げへへ♪」
「……んんっ!」
「……えへへ♪ カワイ子ちゃんゲットだぜ!」
身長が160くらいの太った男が言う。
「……あそこの路地に連れてけ……大人しく付いてこないと……わかるよな?」
ナイフを持った男がノエちゃんの顔付近まで刃物を近づけて言う。
「…………」
ノエちゃんは、涙を流しながらその刃物を見ていた。
「……ククク……なかなかの女じゃねーか……俺が楽しんだ後はお前らが好きにしていいぜ♪」
ナイフ男は、ニヤニヤとノエちゃんの体を舐め回すように見ながら言う。
「……げへへ♪ 二番は俺だな……デブは最後だからな?」
ノエちゃんをホールドしている男は、デブに睨みを効かせながら言う。
「……ちぇっ! 俺最後かよ……まぁ……ヤレるなら別にいいけどな♪」
デブは、不満そうに言うが、最後は顔を歪ませニヤける。
そして3人とノエは路地に入っていった。




