屋敷の中は……暗い……
「……ん? 外暗くなってきたな……」
ケイゴは、シロフワさんを頭に乗せながら屋敷の廊下を歩いていた。
「……きたねーな」
ケイゴは、窓を雑巾で拭き外を見る。
「……曇ってきてる……これは、雨が降りそうだなぁ……」
雨か……そう言えば異世界に来て初めてか?
「……いつもの場所じゃあ濡れるだろうから屋根のある場所で寝るしかなさそうだ……」
「……まぁそれより掃除だな……廊下とかは最後にしよう……ほら、部屋から出たホコリとかでまた汚れそうだし……考えてしないとな……時間がもったいねーし」
……なんか今、めっちゃ仕事してる感あるわ〜。ローゼさんに頼まれたもんな! またあの目にはさせねーぜ♪ 俺が……いや……
「……俺と……シロフワさんで……だな♪」
俺は、頭の上にいるシロフワさんを両手で顔の前に持って来て言う。
シロフワさんも、まるで……俺1人でもローゼを明るい顔にしてやれるぜ? と言うかのように明るさを増した。
「……光だから明るくなるだろうね♪
……次の部屋行こうか」
シロフワさんは手の中から離すとそのまま進み出す。
「……シロフワさんに話しかけてる間はあまり怖くない……周りから見たらヤバイ奴だよなぁ……俺……でも……そうでもしなきゃこの恐怖に立ち向かえねーもん」
ケイゴは、恐怖に押しつぶされそうになりながらもシロフワさんを追った。
「……次の部屋は……
……あまり見られたくないんだよね……」
誰かが、ため息を吐きながら言う。
「……次の部屋は……倉庫かな?」
ケイゴは、次の部屋の中をのぞいていた。
シロフワさんは、部屋全体が見渡せるくらいの光を発しながら天井付近にいる。
「……これは……きつそう……一日終わるなこれ……」
その部屋は、物が山積みにされていた……ギッシリとギュウギュウに。
「入り口付近しか入れんもんな……やる気が……一日中でも無理そうだなぁ……」
ケイゴは、体全体でやる気のなさを出す……立ったままダラ〜ンとする感じだ。
「……でもやるしかねー!! まずは荷物を全て出す! ……ついでに綺麗にしながらだ!
シロフワさんは、俺が動くの合わせてくれ……相棒♪」
俺は、シロフワさんに向かって親指を突き上げる。
シロフワさんは、俺の頭付近に移動してきて、軽く閃光した。
「…………」
ケイゴは、黙々と荷物を出しては雑巾で拭き、出しては拭きを繰り返していく。
「…………」
……重い荷物を持つ時は、手で持ち上げるんじゃなくて……腰を落とし腕を固定して、持ち上げるのと一緒に立つ……引越し業者さんとかが使う高等テクニックだ!
……ふっ! 俺はマスターしたぜ?
「……ふ……ふふふ……」
ケイゴは、ニヤける……キモブサさパワフル!
その後も、ニヤけたり、笑ったり、歌ったり、シロフワさんに話しかけたりを繰り返しながら荷物を出していった。
「……怖……この人凄い怖いんだけど……なんで私が怖がらされてるの?」
誰かが、さっきから気持ち悪いデブな男を怖がっていた……
……倉庫の扉に寄っ掛かりながら……
ガタッ!
「………ん?」
ケイゴは、倉庫の扉により、落ちたものを拾った。
「……やべっ! このことは内緒にしとこ……壊れてないし……壊れてたら流石に言うけどね……後が怖いから」
「……私見てますけど?」
「……まだまだあるわーおわんねーよコレ」
「…………」
「……シロフワさん! 俺やれるだろうか!」
「……魔法に話しかけるとか、おかしいと思わないの?」
「……ありがとよ! 任せろ!」
「……都合よく解釈してるだけじゃない……なんか見てるとあんた……かわいそうだわ」
「……掃除ってこんな楽しかったっけ? 多少なりとも綺麗になってくると嬉しいわ〜」
「……まだ物出してるだけじゃない……全くもって綺麗にはなってないわよ?」
「…………」
「…………」
「……今回の掃除には……人生かけてますわ」
「……ふ〜ん……ようやく私を消しにくるってわけね……」
「……俺には恩返ししたい人がいるからさ……」
「…………」
「……でもさぁ……この前怒らせちゃったんだよ……」
「…………」
「……言う事聞かなかった俺が全面的に悪いんだよね……」
「……ふ〜ん」
「……俺強くなりたい……タプが欲しい……冒険者になって……俺は……
……盾士になる!」
「……ッ!?」
誰かが、ケイゴをびっくりした顔で見る。
「……パラ魔ちゃんに言われたからなぁ……魔法使えないのに魔導士になるなって……一緒の職業が嫌なのが本音だろうけどさ……」
「…………」
「……盾士になれば強くなれるかな?」
「……なれるわけ無いわ……貴方なんかに……」
「……俺はみんなを守れるような盾士になりて〜かっこいいじゃん……
……その程度の攻撃など……俺の盾の前では無力だ! なんてな♪」
「…………」
「……俺は、恩返しする為に……このライトセルを守る……
……最強の盾士になってやるぜ!」
「……ッ!? ……最強の……盾士……
……お前なんかに……アンタみたいな……
……ただ太ってる男がぁ!! 盾士になれるわけないでしょ!!」
ケイゴが運んだ大きめの箱が浮かぶ。
「……えっ!? う、浮いて……うおわぁーーー」
大きめの箱がケイゴにぶつかってきてケイゴは、部屋の奥に物などをなぎ倒しながら吹っ飛ぶ。
バァーン!! ガラガラッ! ダンッ! ドンッ!
「……いっでーー!! うぅ……」
ケイゴは、背中に色々な物がぶつかって1番奥に壁に寄りかかるような体制だった。
「……何が……物が……浮いて……ぶつかってきて……」
ケイゴの元にシロフワさんが寄ってきて肩に乗る。
「……シロフワさん……も、物が……ううう、浮いて……」
ケイゴは、背中などが痛いのだが、それよりも今起きた現象に、恐怖がまさり変な汗を流し始める。
「……た、たすけて……誰か……誰でもいいから……ここから連れ出してくれぇ……」
ケイゴは、声にならない声で、来もしない助けを求める。
「……ゆ、幽霊なんているはず無い……でも今のは……た、たすけて……」
俺は、今まで感じたことの無い恐怖で涙が溢れてくる……
「……う……………ん? こんな所に盾がある……こ、コレで隠れなきゃ……」
ケイゴは、体を丸めて泣いていたが、ふと目が見た所に、ケイゴの身長くらいかそれより少し小さい感じの盾が転がっていた。
ケイゴは、がっしりとした重みの盾を体が前から見えないように持ち、どこから来るかもわからない何かに怯えた。
「……はぁ……はぁ……ついやってしまったけど……大丈夫かしら……」
誰かが、自分を消しに来た太った男に近づく。
「…………」
(ちょっとやりすぎちゃったかも……)
そこには、盾を盾にしてうずくまる男がプルプルと震えていた。
「…………」
(……あらら……ここまでびびるとは……でも……その盾は使うのはやめてもらわないと……)
「……こらっ! その手を退けなさい!」
(……って……聞こえるわけないか……)
誰かが、手を盾にかざし、それを浮かせようとした時……
ドンッ!
「……えっ?」
体を丸めた男は盾を浮かせる前に離して、盾が地面に落ちた。
そして……
「……ど、どちら様ですか?」
その太った男は、誰かの顔をしっかりと涙や鼻水でぐちゃぐちゃな顔で見ていた。
「……う、嘘……
……あなた……私が見え……るの?」
誰かが、驚いた表情でその太った男に声をかけると。
「……? シロフ……ヒカルンで明るいので……
……顔見えますよ……」
太った男はそう答えた。




