掃除しよう……
「…………」
……白いフワフワ……シロフワさん……魔法って自我でもあるのだろうか……
ケイゴは、次の部屋を目指し歩いていた。
「……まるで犬みたい……」
俺の出した白いフワフワは、移動速度がなかなかなので俺を置き去りにする……のだが……一定の距離まで離れるとその場にとどまる、そして追いつくとまた動き出した。
「……可愛くね?」
ケイゴは、シロフワさんを見ながらニヤける。
「……まぁそれは置いといて……ホコリやらで廊下も窓も汚れているなぁ……」
ケイゴが歩く度にホコリが舞ったりするほど汚れていて、窓も光を遮るくらいに汚れてしまっていた。
「……素人の俺が出来るのか? ……これ」
ケイゴは、見つけた部屋の前で呟く。
ケイゴが見つけた部屋の中は、客室と思われる部屋だった、部屋の中心に机を挟みソファを並べてあり、いかにも高級そうな感じだった。
「……シロフワさん……俺出来るかな?」
俺は、シロフワさんを見つめながら言うと、シロフワさんは、部屋の中をぐるーんと周って俺のところに戻ってきて、まるで……ふっ! やってみろよ? じゃなきゃ始まらねーぞ? と言うかのように壁に張り付く。
「……だ……よな……やるしかないか……ありがとう……シロフワさん!」
ケイゴは、シロフワさんに向かってグッ!と親指を突き立て腕をまくった。
「……よし! まずは……上のゴミから落として行くか……シロフワさーん! あそこ照らしてください……その辺りでいいです!」
俺は、タンスの上を指差して言うとシロフワさんは、行って欲しい場所にフワフワと移動した……ナイス!
「……椅子を持ってきて……お! いいのあるじゃん……」
ケイゴは、タンスの上を掃除する踏台を探しているとちょうど良さそうな椅子が……
……部屋の入り口の間に置いてあった。
「……………………えっ……」
……えっ? あそこ……俺が通ってきた場所だよな……椅子なんて……なかったはずじゃ……
「……ふ……ふ! き、気のせいだ……きっと、入った時ちゃんと見てなかったんだ……意識してないと目に入らないだろ? 人間ってさ!」
俺は、冷や汗を流しながら、ゆっくり……ゆっくりと椅子に近づく……ゆ、幽霊なんているわけねーだろ!? 俺は今まで見た事なんて無いし……見たとしても、だいたい服だったもん……
「…………通路には何も…………無いな……だ、だよなぁ……当然だよ!」
ケイゴは、心臓をばくばく言わせながら、そこにあった椅子を持ち上げるとタンスの方に持っていく。
「……無いはずのものがあるのって……怖いでしょ?♪」
誰かが笑った。
「……シロフワさん……もうちょい近くにいてくれませんかね……」
……も、ものすごく怖い……逃げ出したい……シロフワさんがいるから何とか出来てるけど……やっぱり怖い……
すると、シロフワさんは、まるで……男のくせに情けないなぁ……まったく……と言うように、俺の頭の上にチョコンと乗っかる……ほんのりと暖かい感じがする……意思を持つように動いてくれるのホント今は、嬉しすぎてたまんない……
「……シロフワさん……俺……怖いよ……ただの掃除だけだと思ってたのに……幽霊なんていないの分かってるのに……暗いとどうしてもそう言うことばかり考えてしまうんだぁ……」
ケイゴは、魔法に自我などあるはずも無いのを分かっていながらも、恐怖を紛らわす為にシロフワさんに話しかける。
「……タンスの上は綺麗になった……」
ケイゴは、雑巾みたいなものを持ってないので手で払うだけにして椅子から降りた。
「……掃除用具借りに行こうか……シロフワさん……はぁ……何故そんなことも気づかないのかな俺って……」
ケイゴは、ビクビクと怯えながら元来た道を戻る。
「……ふぅ……で、出れたぁ……ローゼさんどこにいるかなぁ……掃除用具貸してくれるかなぁ……」
ケイゴは、屋敷の外に出た。
「……ちょっとしか脅してないのにもう帰るなんて……度胸なさすぎなんじゃ無いかしら……」
「……えっ? ローゼさんがいる……どうしてだぁ? まっ、ちょうどよかったぜ」
俺は、門前で立っているローゼさんに近づく。ローゼさんもこちらに気づいたようだ……近づいてきた……
「……あなた……まだ居たんですか?」
ローゼさんは、とても驚いた顔で言う。
「……え、あ、はい……」
……掃除してくれってクエスト出したのローゼさんじゃ無いの?
「……今から帰るのかしら? 私は止めはしないから安心して……前払いしたタプは返さなくていいので……」
ローゼさんは、驚いた顔から優しく微笑んで言う。
「…………」
……何で俺が帰ることになってるんだ? まだ何もしてないのに……
「……冒険者達が庭ばかり綺麗にする理由を知ればそうなることはわかって居ましたから……それでは……」
ローゼさんは、俺に背を向けて歩き出した。
「……待ってください!」
「……はい、どうかしましたか?」
ローゼさんは、微笑んでいるがなんとなく目が、あの目だった……
「……掃除用具ありませんか?」
「……えっ? 掃除用具……ですか?」
「……はい……掃除するまで忘れてたんですよ……何となくですが……庭ばかり掃除する人が多いのは分かりました……」
「……何となく……ですか……」
( ……幽霊が出たはず……この冒険者は、大丈夫ってことかしら…… )
「……ま、任せてください……時間かかってしまうかもしれませんが……必ず綺麗にしてみせます」
「…………」
ローゼさんは、真剣な表情で、ケイゴを見る。
「…………」
……俺は……タプが欲しい……スリちゃんと門番ちゃんに……恩を返すんだ……ここで逃げたらきっと……ダメなんだ!
「……分かりました……お名前を聞かせてもらっても?」
ローゼさんは、微笑むとおれの名前を聞く。
「……あ、はい……ケイゴと言います」
「……ケイゴさんですね……覚えておきます……では……」
ローゼさんは、手をグーにすると……招き猫のようにポーズを取り、動かした……な、何だ……かわいいん♪
「……お呼びでしょうか」
シュタッ! と黒いスーツを着たお兄さんが登場した……速すぎね?
「掃除用具を持って来てちょうだい」
ローゼさんは、黒スーツさんにそう命令するとこちらを見る。
「かしこまりました」
黒スーツはそう言うと、シュッ! と去っていった……執事みたいな人かな……カッケー!
「……しばらくすれば届くわ……他に必要なものがあれば言っていただいて構いませんから」
「……はい! ありがとうございます」
……やっぱ貴族様なんだなぁ……ローゼさん……
「……どうでした? 何か変わったことありませんでしたか?」
ローゼさんは、さっきの目とは違う、優しい目で聞いてくる。
「……すごいホコリですね……窓も汚れがひどいですし……」
「………? そ、そうですか……」
ローゼさんは、少し首を傾げる。
「今日じゃ、終わりそうに無いです……」
「……そうでしょうね……今まで、誰も掃除出来ませんでしたから……」
「…………」
……誰も掃除出来ないって……掃除業者に頼めばいいと思うんだが……なぜ冒険者に頼むんだろうか……
シュタッ!
「ローゼ様……持ってまいりました」
黒スーツさんが、モップなど掃除に必要そうな用具がまとめてあるバックとともに現れた。
「……ありがとう……ケイゴさん……これでお任せします……」
「……わ、分かりました」
「……それとこれを……」
「……これは何ですか?」
ローゼさんから渡されたものは、手につけるバンドのようなものだった。
「……冒険者の方達は知らないのですか……そのバンドは、執事やメイドなどを呼ぶためのものです……ケイゴさんが、この屋敷から帰る際に、タプが支払えるようにつけといてください」
「……分かりました……」
……映画とかでベルを鳴らしているのと同じ役割みたいなものかな?
「……こう……していただければいいので」
ローゼさんは、「……こう……」の所でさっきやっていた招き猫の腕をしてクイッ! と拳を下に下げるようにした……ニャンニャン♪
「はい……こう……ですね」
俺も同じようにした……ローゼさんが招き猫した時と俺がした時にその場にいた黒スーツさんがピクってなってた……近くにいるのに呼ばれてるから反応してしまうのかもしれない……すんませんね
「……では、用事がありますので……」
ローゼさんはそう言うと、俺に少しお辞儀した後去っていった、黒スーツさんも姿勢のいいお辞儀してローゼさんの後をついていった。
「……任せられたからな……うし! やってやるか♪」
ケイゴは、掃除用具を持ち屋敷に向かう。
「……ねぇ……メイズス」
ローゼさんは、歩きながら斜め後ろを歩く黒スーツさんに話しかける。
「はい、何でしょうか?」
「……幽霊掃除って……
……掃除用具でするのかしら?」
「……分かりません……」
「…………」
「…………」
ローゼさんとメイズスは、ケイゴが幽霊を掃除用具でどうするのかを考えていた。
話している内容とは別の事に捉えてしまい、でも話が続いている。いざやって見ると、それは違うと呆れられる……聞き取る力がなくてごめんなさい! となる私……




