何故……俺に……
「…………」
「……ふむ……どうしたんだ?」
花の嫁さんは、胸の前に腕を組みこちらを見ている。
「……あ、いや……なんでもないです……」
……受付嬢ちゃんから話を聞いた後だから……怖いぜ……怒らせるとヤバイらしいからなぁ……
「……そんな警戒しなくても良いぞ? その感じだと私の話を聞かされたようだな」
「……えっ!」
……おいおい! 心でも読めるのかよ! 怖!
「……ふ〜む……その感じだと当たったようだな……対面した時と私を見る目が変わっていたからな」
「……す、すいません」
「……別に良いさ……戦闘の花嫁……確かに嫌いだが……私には合っているのかもしれんなぁ……」
「…………」
……もしかして……結婚したいとか?
「……私は……強い奴と戦いたい……
……戦闘に恋している……そう私は思っている」
花の嫁さんは、綺麗な顔を歪ませて、ニタァと笑う……ヒィ〜そんな顔でこっち見ないで……
「……それに……弱い奴と結婚などしたくないからな……もしするなら……私より強い奴であるのは当然の条件だ……まぁ……する気は無いがなぁ……」
花の嫁さんは、なんとなくだが、辛そうにそう言った。
「……そ、そうですね〜」
……どう……返事すれば正しいんだよ……俺は弱いんで〜とか? とにかく去って行くまで話を合わせる! それだけだ……
「……それに私のどこが良いのやら……女性など他に沢山いるというのに……」
「…………」
……脚っすね! その短パンを短くしたの最高っすよ! マジで! 太すぎず、細すぎずで……そのすらっとしたウエストも良いんじゃないでしょうか! 胸は……まぁ……俺は行けますわ〜……きっと戦闘技術に栄養が吸われてしまったのではないでしょうか……そして私は、ポニーテールマジ好みなんすよね……なんでしょうかね……顔も凄く綺麗で……目が少し鋭い感じなんですけど……それ含めて良い! 匂いも……ギルドの匂いしかしないや……近づかないとわかんないや……
「……ケイゴ君?」
「……あっ! はい! なんでしょうか……」
「……私の話はもういい……君の話を聞かせてくれないか?」
「……自分の話ですか?」
「……あぁ……何故……君は、冒険者にならないんだ?」
「…………」
……ならないんじゃ無い! なれないんだ! 俺だって……俺だって! 早くなりたいけど……ロッパーが……強すぎる!
「……ふむ……そうか……」
花の嫁さんは、顎に手を持っていく。
「……警戒するのは当然だな……君が何故冒険者にならないのかは知らないが……まぁいい……なら……新しくできた職業やスキルなどを君は知っているか?」
「………っ!」
……えっ! 何故そんなこと聞いてくるの……もしかして……この人にまで俺の職業知っているか……
「……ふむ……なに、私は滅多にないスキルを持っているんだよ……新しく来たものには、必ず聞いていてね……」
「……あ、そうだったんですか」
……ふぃ〜なんだ……知っているわけじゃないのか……
「……えっと……私は魔導士です……杖を今持ってないですけど……」
「……ふむ……なら良いんだ……色々聞いてすまなかったな」
花の嫁さんは、微笑む。
「……あ、いや……大丈夫です……」
「……そこで君に、やってもらいたいクエストがあってね……これなんだが……」
花の嫁さんは、紙を俺に渡す……クエストって冒険者にならないと出来ないんじゃなかったっけ?
「……私はギルマスだ……クエストは受けれるようにしてある……内容を確認してもらえるか?」
花の嫁さんは、キメ顔でそう言う。
「……字が読めないんですが……」
……ほんと、字が読めないのどうにかならんかね……
「……ふむ……そのクエストは、貴族の屋敷を掃除するクエストだ……簡単だろ?」
「…………」
……貴族の屋敷を掃除ね……簡単だろうけど……広かったらそうでもないと思うんだけど……
「……報酬もなかなかだと思うぞ?」
花の嫁さんは、紙のある部分を指す。
「…………いち、じゅう、ひゃく……800?」
「1時間、800銅タプ……」
「……えっ!? 時給800銅タプですか!?」
……マジかよ! それって凄すぎね? そんなにもらっていいの? 掃除だよ? ……でもなんで俺に頼むんだ?
「……ふ〜む……やってくれるかい?」
「……やります……やらせてください!」
……掃除がどれだけ時間かかるか知らないけど、800銅タプは貰えるはず……やるしかないだろ!
「……じゃあ、よろしく頼むよ……」
花の嫁さんは、席を立ちギルドの二階に上がって行った。
「……はい!」
……断ったら何されるかわかんないし……
……後ろ姿……エロい……
「………受付嬢ちゃんが戻ってる……よし! このクエスト受けるか」
ケイゴは、受付嬢ちゃんの受付に向かった。
「……君が、そのクエストをクリアすることが出来るか……楽しみだよ……
……何人もの冒険者が諦めた……幽霊掃除をね」
花の嫁さんは、そう呟いた。




