門番は……守りたい人がいる
「……あ、そ、その〜」
「……あの子の言っていた事が本当なら……
……泥人形に負けたって事だけど……会ってないって言ったわよね?……どう言う事?」
俺は今……門番ちゃん様に怒られている……
「あ、いや……えっと……」
「…………」
門番ちゃんは、無言で俺をジッと見つめてくる……こ、こわい……心臓が……破裂しそう……
「……ど……泥人形に……会いました……」
「……あなたは、泥人形に会ってないって言ったわ……泥人形に会ったのに嘘ついた理由を聞いてるのよ?……今、そんな事聞いてない……」
「……すいません……」
……門番ちゃん……ガチで怒ってる……やばい……泣きそう……もう……全部言う方がいいよな……俺のプライドなんて元からないようなものだし……だって俺だぜ?
「……だ、誰にでも勝てるモンスターに……ボロボロに負けちゃって……知られたくなかったんです……」
「……そう……分かった……負けたことが、恥ずかしいから言わなかった……と」
門番ちゃんは、無表情のままそう言う。
「……はい……」
俺は、泣きそうな心を奮い立たせ、なんとか返事する……
「……おいおい……どうしたんだ? なんで怒ってんの?」
そこに、レンさんが登場……これで少しは……
「……レン君……少し黙ってて……大事な話をしてるの……」
門番ちゃんは、レンさんに振り向きそう言った。
「……はい! 分かりました!
……ガチで怒った時だ……ドンマイ……」
レンさんは、門番ちゃんに言われると……俺に親指を立ててニヤッと笑うと元の位置に戻る……少しも何もならなかった……
「……ケイゴ……私とした約束覚えてるわよね……負けそうになったら、逃げるって……戦いはね?
……負けてからじゃ遅いの……後は、殺されるか……酷いことをされるかなの……あなたはその事を理解していない……戦いを舐めてるわ」
「…………」
……戦いを……舐めてるか……そうなのかもな……俺は、魔導士になれたから勝てると思ってた……でも現実は……魔法を使えず負けた……
「……あの子に助けてもらったんでしょ? ……ケイゴの事だから……泥人形は、例え誰もが簡単に倒せるからと言って……モンスターなのよ?」
門番ちゃんは、悲しそうな目で俺を見つめてくる……うっ
「……ケイゴ……体に何か異常が無い?」
「……えっ? 異常ですか? ……う〜ん……少し身体が重い?……いや……元から重いから……え〜と……」
「……気づきなさいよ……あなたは今、泥人形が持ってる状態異常を付けられているのよ?」
「……え? ロ……泥人形って、状態異常攻撃もしてくるんですか?」
「……そんぐらい知ってないと……泥人形は、泥って言う状態異常を持っているの、速さを下げる異常攻撃で……
例えば、速度が5000の人が泥になると、4000 になり…… 5999 の人がなると 5000 になる……一番前の数字以外 0 にされると言う感じかしら……速度が速ければ速いほど嫌がられる状態異常よ?」
「…………」
……なんとな〜く分かった……じぁ……俺のステータスは、速度999だから……900になってるって事?
速度 900
運 999
状態異常 泥 速度低下
……本当だ……俺が気絶してるうちに付けやがったな……クソ! ロッパーめ!
……てか……なんで例えが 5000 なの? 500 ならわかるけど……
「分かった? ケイゴの速度は、元が少ないから……あまり感じないかもしれないけど……」
「……少し身体が重いかもしれません……ローブが水を吸っているからなんだと思うんですけど……」
「……なら……脱げばいいじゃない……ローブ」
「……あ、ああ〜そ、そうですね……」
……考えてなかったぜ……脱げばいいんじゃん!
俺は、その場でローブを脱いだ……中までビショビショだよ……
「……はぁ〜……ケイゴって……まったく……」
門番ちゃんは、呆れるように言う……本当すいません……
「……でも……あの時の、約束は守ってくれた……」
門番ちゃんは、こちらを見てそう言った。
「……あの時……あっ! はい! 帰って来ました……約束しましたからね……」
「……忘れてたじゃない……私、信じていいのよね? ……ケイゴの事……」
門番ちゃんは、俺を真剣な眼差しで見る。
「……信じてほしいですが……信じなくていいです……」
「……えっ? それは、どう言う事?」
「自分は、自信がありませんから……今回だって……あの魔導士の女性が来なければ、今頃……土の中ですよ……でも……
……自分は、まだ死ぬわけにはいかないんです……」
「……恩を返したい人がいるから?」
「はい! ……それに……このライトセルを自分が守れるようになるって決めましたから!」
……スリちゃん……そして……あなたも含めて……
「……ケイゴの言いたい事は、分かったわ……でもまずは、自分の身を守れるようになってからよ?
……ケイゴを信じるわ……」
「……分かりました……ご期待に添えるよう頑張ります」
「……えぇ……お願いするわ……」
「……じゃあ……そろそろ帰ります……」
「……分かったわ……これからは正直に言ってちょうだい? 私は、馬鹿にして笑ったりしないわ……」
「……はい! さようなら」
「……さようなら」
ケイゴは、ライトセルに帰っていった。
「……はぁ……バレバレな嘘を気づかないふりするの疲れるのよ……あの子には感謝しないと……」
門番ちゃんは、パラ魔ちゃんを思い出す。
「……なぁ……落ち着いたのか……」
レンさんが、門番ちゃんから距離を取りながら言う。
「……えぇ……大丈夫よ……」
門番ちゃんは、いつものように戻り、レンさんに微笑む。
「……そうか♪ で? あのデブがなんかしたの?」
レンさんは、いつもの門番ちゃんに戻り、喜ぶように言う。
「……ううん……私が勝手に怒っちゃっただけなの……ケイゴは、ちゃんと約束を守ってるしね……」
「……約束ってなんだよ……」
レンさんは、少し不機嫌そうに言う。
「……ライトセルにちゃんと帰ってくるって……約束したの……」
門番ちゃんは、嬉しそうに言う。
「……そうか……」
レンさんは、複雑な顔をする。
「……ケイゴは、あの人とは違う……信じさせてくれるって約束してくれたわ」
門番ちゃんは、力強く言う。
「……なぁ……あのデブに、何か弱みでも握られてるのか?」
レンさんは、門番ちゃんに真剣な顔で言う。
「……えっ?」
「……じゃなきゃおかしいだろ……ローブや方位マッフ……それに、色々教えてやってるみたいだけど……普通そこまでしないぞ?」
「……そ、それは……」
「……アイツの見た目を見てるはずだ! デブで不細工だ! アイツとそっくりじゃないか! なぜあんな笑って話せるんだ! 俺は知ってる……1年もの間……誰も信じられず……苦しんでた……俺は何もしてやれなかった……今はこうしていられるのも……全部自分で乗り越えたからだろ!」
レンさんは、怒鳴るように言う。
「……レン君……」
「……俺は、いつも分からなかった……あのデブは、無害かもしれない……アイツは弱いのは、分かる……でも……思い出すんじゃないのか? アイツの顔を……今も苦しめてるアイツの顔を!」
「……レン君! もういいわ!」
門番ちゃんは、涙を流しながら言う。
「…………」
「……ありがとう……私のことを考えてくれて……私のために怒ってくれて……
……最初は、ケイゴの顔を見ると確かに、あの人の顔がチラついたし、怖かったわ……でも……ケイゴは違う……確かに嘘はつくけど……でもそれは、私を傷つけるものじゃないわ……生きるのに一生懸命なだけなの……」
門番ちゃんは、涙を流しながらそう言う。
「……心根は分からないだろ……アイツもそうだったぞ……」
「……それは……誰だってそうだわ……分からないから……約束をするんじゃない……ケイゴを私は信じるわ!」
「……あのデブがもし……アイツのように何かしたりしたら……次は……殺す……」
レンさんは、ライトセルの方を睨み言う。
「……レン君……」
夕日が沈む……暗い夜になった。
気分で話の内容が変わっちゃうのが大変です……




