33話 俺は再戦する……今度こそ
「……レン君……ねぇ〜……門番ちゃんの名前知りたいなぁ〜」
俺は方位マッフを見ながら森を進む。
「……名前聞くに聞けないし……門番ちゃんから言ってもらうまで待つだけさ……」
ケイゴは少しニヤけながら早歩きをする。
俺はデブだ……なので、いつも早歩きをする。周りの邪魔になるから出来るだけ早く移動する様にしている……ダイエットにもなるし……
だから、ゆっくり歩く人が道をうまく阻んでいるとイラッとしてしまう……女性の時は脚を見れるからいいんだけど……だって俺だぜ?
後ろから見る脚も良いよな!
「……泥人形が大量に出る……かぁ……」
俺が今向かってる場所は、受付嬢ちゃんが言うには俺を一撃で倒すモンスターが沢山といるらしい……他に冒険者もいるって言ってたけど……
居なかったら……即死だな!
「……戦闘は舐めるなよ……俺……カンストしてても……何故か、俺は弱いから……」
……う〜む、本当に分かんないわ〜……カンストしてればさ? あれじゃん? モンスターはワンパンだし、相手からの攻撃も効きづらいから……
「ふっ……その程度か? 虫がチョロチョロしていたかと思ったぜ?」
ケイゴはその場で止まり、誰もいない空間に向かって、自分の出せる一番カッコいいと思える声で言う……手を前にだし指差す、そしてニヤける。
「……」
すると……その指を指していた方の木の陰から誰かが顔を出した……
「………」
「……」
それは、いつかの俺にパラパラをかけた……女性魔導士だった……ぉぅ……
「…おはようございます…ふっ♪」
今! 鼻で笑った! 鼻で笑われた! 恥ずかしすぎて死ぬ〜
「……ぉはようございます……」
アッツ! 顔アッツ! うおおおおー恥ず! 恥ず!
……脚があったら挟まれたい〜〜!!
「あの〜、あなたも泥人形を倒しに来たんですか?」
パラ魔ちゃんがそう聞いて来た、顔が少しニヤけてる……
「……はい……冒険者の試験を……」
やばい! 顔見れねー! 下向いちゃう……
……脚きれいだ……俺の好みよりちょっと細いかなって思うけど……良い!
「あっ! そうなんですか?! 私もつい最近冒険者になったばかりなんですよ!」
そうなんだ……そういえばトラリス男が魔導士になった女性がいるとか言ってたような……無いような……
「……そうなんですか……お、おめでとうございます……」
「あ、どうも…」
パラ魔ちゃんは嬉しそうに笑う……笑顔可愛い!
「私、魔導士になったんです! 冒険者になったら魔導士になるって決めてたんです♪」
「……自分も、魔導士になりたいなぁって、思ってたんですよ……」
「へ、へ〜…そうなんですか…お、お揃いですねぇ…」
……なんだろう……笑顔だけど……言い方嬉しくなさそう……
「……で、でも魔導士にならなかったんで……」
「えっ? あっ!♪ そうだったんですか?♪……じゃあ盾士さんとかになったんですか?♪」
パラ魔ちゃんは、俺の体を、上から下まで見て。嬉しそうに顔を近づけ……ないでそう言う……
「……ま、まぁ? そ、そんなかんじです……」
これは……なんとなくだが……こう答えれば良いかなぁ……
「なら♪ 私たち、パーティーを組めば良い感じになりそうですね♪」
「……え? パーティー組んでくれるんですかっ?」
おいおい! これは! 冒険者の醍醐味の……パーティー組もうぜ! じゃないか! それも♪
……美少女の魔導士♪ 主人公補正キタか!
「あっ、いや…私…まだまだ弱いですしっ! 邪魔になっちゃうからっ、一人でやりたいかなぁ〜て思ってまして…」
パラ魔ちゃんは、残念そうな顔をして言う……
「………」
これ……パーティー組みたくないと言われてるよね……なりたそうな雰囲気だったよね? 違うの?
「……わかりました……」
「…冒険者になるの頑張ってください! ではっ、さようなら」
そう言うと、パラ魔ちゃんは足早に去っていった。
ケイゴはその場でポツンと一人。
「………」
……これさ……恥ずかしいところ見られて……パーティーも断られ……この気持ちどう表せば良いの? 泣いていい? 誰か慰めて?
「……イケメンだったら……パーティーになれたような気がする……」
ケイゴはそう呟き、木に寄りかかりズルズルと座禅で座った。
「……オークって勘違いされてたもんな……デブスとパーティー組みたくないよな……男と女二人って、襲われる可能性あるしなぁ……そう思うのが普通だよなぁ……しそうな顔してるもんな……」
ふぅ〜……わかってても辛いよなぁ……
「そういうことは……しないって……俺は誓ってるんだけどね……」
俺はデブスだ……だから、性犯罪は絶対にしたくないし、しないって決めた……それが普通なのは分かってる……ニュースとかも……その……大体が……ね? だからさ? だからこそ……この顔を汚さないために俺は、それだけは絶対にしないって決めたんだ……左手が慰めてくれるし? 俺の理性を保てるようにさ?……ここ最近してねーや……
「……あの反応が普通だよな……逆にしない方がびっくりだもん……女性はそうでなくちゃ……」
「……別に傷ついてないもん……いつものことだし……余裕だし……」
そういうケイゴの背中は丸まっていて頭も垂れていた。
ケイゴは脚の隙間の地面を眺める。
「はぁ〜……可愛いから尚更きついね……」
そう呟く……
ガサガサッ
「……ん?」
少し遠目のところから草を掻き分ける音が聞こえたので、そっちを見る。
「………」
「マジか……」
ケイゴが見た先に……泥人形が立っていた。
「くそっ! こんな気分の時にっ!」
ケイゴはその場ですぐに立ち臨戦態勢に入る。
「……」
「……落ち着けっ、落ち着けぇっ、戦いに集中するんだっ!」
泥人形はこっちをじっと見て……
ファイティングポーズをする。
「……ファイティングポーズなんてすんのかよ!」
「……」
泥人形はそのまま動かない……
「前、俺は殴りにいってカウンターを食らった、今度は……この剣を使って距離を取りながら行くっ」
ケイゴはそう呟きながら、剣を剣道の最初の持ち方で構える……剣道は体育の授業で……やったことねーわ
「……」
泥人形は動かない……
「……こいつ……カウンター狙ってるんだなっ!?くそー飛び道具的なのあれば……近づくのこえー」
俺はズリ脚でゆっくりと近づく
「……」
泥人形は動かない……なんか女性みてーな体の形してる……胸出てるし……こいつメスか
相変わらず顔の目と口がないからどう動くのか分からん……こいつやるな!
「俺はお前を倒して、冒険者になるだ……再戦だ……個体は違うが、今度こそ……倒す!」
「……」
「行くしかないか……うおおおおー!!」
ケイゴは踏み出す、剣を上に両手で持ち上げ接近する。
くそっ! 剣っておもい……
「……」
「ぉぉぉらあぁーーーー!!」
泥人形に接近して剣を振り下ろす。
「……」
泥人形はその攻撃を避ける。
「くそっ!」
ケイゴは剣の振りの強さで前に持ってかれてしまう。
「……はぁはぁ」
ケイゴは少し前に進み、すぐに振り返る。
「……」
泥人形はこっちを向きファイティングポーズをしている。
「……スキが大きいから避けられるか……一発当たればきっと大丈夫なはずなのに……なら!」
ケイゴは剣を構えた。
「これならどうだ!」
ケイゴは踏み出す……剣を振り回しながら。
「うおおおーー! 当たれーーー!!」
「……」
泥人形は動かずこちらをじっと見る。
「ぇえええーーー!!」
泥人形に接近した時……泥人形はバックステップした。
「にげんじゃーねーー!」
ケイゴはそれを追いかけるように走る。
……めっちゃ疲れる……負けてたまるか!
「……」
泥人形は木の陰に隠れた……
「……くそっ! 隠れるなんてありかよ!」
泥人形弱いはずなのに! ちょこまかと!
ケイゴはその場で止まり、肩で息をする。
「……はぁはぁ……どうする……」
泥人形は木の陰から顔だけをだし、じっと見る。
「……はぁはぁ……このまま攻めたら、きっと負ける……頭が以外にきれるみてーだ」
泥人形はケイゴが動かないのを見ると、ゆっくりと木の陰から出てきてケイゴを見る。
「……はぁはぁ……これを倒す人たち強くね? 俺手こずってますけど……」
すると……それは起こった
泥人形が急接近した……片足を上げて。いやあれは……片足を上げてるようでそうじゃない?!
「 なっ!」
俺は急に起きたことに対処が取れず、接近を許してしまう。
「……」
泥人形は俺の剣を弾きながら、しゃがみ込む。
「やばい! にげ……っ!」
泥人形はケイゴの顎にアッパーを決める。
……くそっ……また……ロッパーかよ……
ケイゴは宙を舞い仰向けに倒れる……意識が遠のいていく。
泥人形を見ると……こちらに背を向けて、肩幅に脚を開き立っていた……
「……泥って字が見え……る……ガクっ」
ケイゴの意識は暗闇に落ちる。




