タプの行方……
「…………」
「…………」
「……何固まっているのよ……早く牢屋に戻りなさい!」
「はい! すいません!」
「…………」
ケイゴと296番がお互いを見ているようなないような状態をミナが言い、選別室から出る618と296。
「…………」
「…………」
無言の二人は、296を先頭としケイゴが付いていく形だ。
「…………」
……296番……これからは296さんと呼ぼう……彼女がいなければ、俺は今頃……
ケイゴは、296さんと呼ぼうと決めながらゆっくりとマイペースに歩く296さんの後ろ姿を眺めていた。
296さんは、ザッ! ムラサキ! と言うくらい濃い紫の色をした髪色で、体型は拒食症の末期と思われるくらいやせ細っていた。身長は150より下ですごく小柄、168のケイゴから見ても小さくて、顔は髪を常に垂らしているストレートヘアなので見えない。
「…………」
……ちゃんと食べれてないのかなぁ……だってタプを一番稼いでいるのはきっとこの人だ……今回一番だった理由なんて、休まず働いている凄い人なんだから……ムッチリに太ってくれれば俺的にありなんじゃなかろうか……くそ! 俺は命の恩人に何そんな事考えているんだ! なんでいつもそう考えちゃうんだ俺は! ……これで美少女なら完璧ん……
馬鹿野郎!! 俺のバカヤローー!!
ケイゴは、自分の中の己の意思と戦っていた。
「…………」
296さんは、牢屋とは違う部屋に入っていく。
「…………」
……どこ行くんだ? 俺の牢屋場所分かんないから付いていくしかないんだけど……やっぱり脚の綺麗な美少女だった……ぬぉーー!!
ケイゴは、その後を頭を抱えながら追った。
「……早くよこせ、500銅タプ」
「…………」
296さんは、何か買い物をした。
ケイゴたちが入った部屋は、囚人たちで賑わうだだっ広い部屋で、食事したり、話し合っていたり、買い物をしている場所だった。
「…………」
296さんが買ったのは、瓶に液が入った何かだった。
「…………」
……なんだろう……栄養ドリンクか何か? 痩せすぎだからそう言うの飲んだほうがいいよな……ん? 何してるんだ?
「…………」
296さんは、瓶の蓋を開けようとしているようだ。
「…………」
ギリギリ……ギリギリ……ギリギリ……
「…………」
……開けられなさそうだな……よし……
「……あの、296さん……」
「…………」
ケイゴが呼ぶと、瓶を開けようとしながらこちらを見た。
「……自分が開けましょうか?」
ケイゴは、自分に指をさし、瓶を交互に指しながら笑顔で言う。
「…………」
296さんは、その姿のまま固まった。
「…………」
……ど、どうしたんだ? 嫌だったか? 顔色見れないからわっかんね!
ケイゴも、体制はそのままに笑顔を維持する。
「…………」
296さんは、ケイゴに瓶を渡した。
「……あ、はい、今開けます……ふん!!」
……うおーーー!! 恩返しとまでいかずとも! この瓶は必ず開けて見せるゼーー!! 296さん!! 囚人の力見せたるゼーー!!
「…ふん!! うふぉん!! ふんにゅう〜」
囚人デブの踏ん張る声が響く。
「…………」
296さんは、ジッと見つめているようなないような。
「…………ちょっと手汗が……」
ケイゴは、掌を交互にを服で拭いて再挑戦。
「スーー……ううう〜こんにゃろ〜めぇっ!! ふんん!!」
キュポーン!!
瓶の蓋が開いた。
「……はぁ、はぁ〜開きました……どうぞ」
……ヤベェ〜硬すぎだろ……こんなん、ガリガリの296さんじゃ無理だって! でも開いたからよし! ナイス俺!
ケイゴは、開いた瓶を肩で息をして笑顔で渡す。
「…………」
296さんは、頷いた後、両手で瓶を受け取りちょっとずつ口をつけて飲んで行った。
「…………」
髪で瓶が隠れてる……なんか可愛いかもしれん……愛玩動物的な?……またかチクショ! 命の恩人だぞ!
ケイゴは、チビチビ飲む296さんを見ながらその仕草に目が釘付けだった。
すると……
「……何しているの? 296番」
「618番と一緒にあなたも奴隷になったのかしら♪」
「……おっもしろ!」
三人の女性の囚人が話しかけてきた。
「…………」
296さんは、飲むのをやめた。
「…………」
……赤髪のナイスバディ……そうこんな風に296さんも、ロリ巨乳になって……やめろ! くそ! 最近左手と戯れてないからか! なんてエロいおっぱいだ! ウエスト細くて尚更際立つおっぱいが! ……なんで囚人服って長ズボンなんだよ! 脚見せろ!! 絶対この人の脚美脚だって!!
ケイゴは、チラチラと赤髪の人の体を見ていた。
「……あなたなら安全よね〜そんなガリガリな体じゃ襲われる心配はないものね♪」
ラフウェーブミディの緑髪が言う。
「さっきから気持ち悪いんだよデブが! こっち見んじゃねー!!」
461番赤髪の女性がケイゴを睨み怒鳴りつける。
「すいません!!」
……やばい見てるのバレた! もう見ない! 我慢するんだ俺! ごめんなさい気持ち悪くてすんません!
ケイゴは、頭を下げた。
「ほんと最悪!……デブ、タプだしな」
416は、ケイゴに怒った表情で言う。
「……え、な、なぜですか?」
「私の体気持ち悪い目で見たからだよ! 今日稼いだ分全部で許してやるから出せ」
左手で胸辺りに添えて、嫌々な顔で言う。
「……は、はい……」
……まぁ……これから気をつけよう……
……気をつけられるものじゃないのだけど……
……だって俺だぜ?
ケイゴは、今日の全タプを渡した。
「……何この量! ……そっかアンタだけ二倍だったわね〜。あとで分けましょ、413、412」
416は、機嫌良さそうに他の囚人に言っていた。
「うふふ♪ これからもよろしくね〜♪
あっ! 奴隷になるんだったわ〜ごめんなさ〜い♪」
412と言われた緑髪の囚人がいい笑顔でケイゴに言う。
「おっもしろ〜♪ 1日で奴隷になるなんて初めて見た〜」
薄い金髪、短いポニーテールの人物は413番で、ずっとニコニコしているのような感じで目が線の様、三人の中で一番小柄で296さんよりは少しばかり大きく、そして一人だけお腹周りが切られた囚人服を着ていて、綺麗に割れた腹筋が見えた。416番が一番大きく175近くあり、412は165くらい。
「…………」
……奴隷じゃないけどね……明日どうなるかまだ分かんないけど……
ケイゴは、296さんに隠れるような形で一歩下がった。
「……296も出したなさい、ほら早く」
416は、296さんに振り返るとそう言った。
「……え、」
……なんで? 296さんは何もしてないじゃないか……
ケイゴは、驚きで声が漏れる。
「……何? いつもの事よ? 296」
ジト目でこちらを見てから296さんに振り返る416。
「…………」
296さんは、タプの袋を出し416に渡した。
「……え〜と………よし、はいあと半分は返す、感謝しなさい? 全部取らないだけ優しいわ私〜♪ 行きましょ」
「ええ♪」
「何買う〜?」
三人は、そのまま何処かへと行ってしまった。
「…………」
……どうして……もしかして、296さんはあの人達にタプを無理やり……
「…………」
296さんは、余った瓶の液体をまた飲み始める。
「…………」
ケイゴは、その姿を見て拳を握りしめた。
……言葉を発せないから、痩せ細り力もないそんな人からタプを奪うなんて……ここは罪をタプで払う……このままじゃ彼女はタプを満足に稼げないじゃないか……というか今までもそうだったって事は……そんなの酷すぎる……まてよ……
……296さんは……なんで囚人になったんだ……
「………プハ」
296さんは、ようやく瓶を空にした所で、髪の間から瓶がゆっくりと出てきた。
「…………」
……今の可愛いかも……って失礼だろウォーー!! 俺ーー!!
ケイゴは、ガリガリで魅力のない人なのにどうも目が離せないそんな気持ちと葛藤していた。
「……ねぇ、416〜」
「何? 412」
「……296が飲んでたのって解除瓶だったけど、なんで飲んでたのかなぁ〜」
「……さぁ〜あんな死にかけなやつの事だし、一応飲んでるとか?」
「……おっもしろ〜♪」
なぜ、296番は解除瓶を飲んでいたのでしょうね……分かる人はいないと思いますが……
作者には分かる!




