強く……
「…………」
……はぁ……気を使ってくれたんだよな……俺から言っといて、受付に来たのに何も言わないでくれた……俺、本当最悪だよな……
「ケイゴくん」
「……えっ?」
ケイゴを呼んだのは、花の嫁さんだった。
「どうしたんだ? こっちに来て座るといい」
花の嫁さんは、休憩所で、足を組み座っていて、俺がいつも座る場所を指差した……すらっとしたいい脚だ……
「はい」
俺は、言われた場所に座る。
「いきなりで悪いが、君は一体何をしたんだ?」
花の嫁さんは、真剣な表情で言う。
「えっ? それはどういう事ですか?」
……本当いきなりだな……てか……もうちょい早くそこにいて欲しかったよ、そうすれば受付嬢ちゃんに会わなくて済んだのに……
「……苦情が来てね、ローゼ婦人が君に」
「ぇ……」
……何だと……も、もしかして盾は本当は受け取っちゃいけなかったとかな……俺殺されるの? 貴族に俺は無礼しちゃったって事でしょ?
ケイゴは、冷や汗を垂らす。
「まぁよく分からん苦情だがな?」
花の嫁さんは、姿勢を崩す。
「…………」
……ローゼさん最後泣いてたよな……あの時だよな……
「……ローゼ婦人が言うには……
……屋敷の中が綺麗になっているとのことだ」
「……?」
ケイゴは、顔をしかめる。
「依頼は、君がその盾を回収した事で良くなったそうだが……依頼してないのに掃除がされていたとの事だ……」
花の嫁さんは、盾を指差す。
「……? クエストは、屋敷の中を掃除する事では無いのですか?」
「……ふむ……君はそう解釈したのだな……」
花の嫁さんは、顎に手をやり頷いていた。
「…………」
……ん? えっ? そうだよね? だって掃除しろって言ってたじゃん……んん??
「そうか、分かった。私の方から伝えておくから安心してくれていい……ふ〜む」
花の嫁さんは、何やら満足げの雰囲気だ。
「……は、はい、よろしくお願いします」
「……ふむ
……おもしろい……知らぬうちに終わらせていたと言う事か……私が出来なかったクエストを……」
花の嫁さんは、ケイゴに聞こえない声で呟く。
「……えっと、苦情は何なんですか? 謝りに行く必要があるのでしたら、いつでも行きますが」
俺は、姿勢を正し、どう行動に移すかを聞く……土下座で許してもらえるかな?
「……いや、それはしなくていい……ローゼ婦人は、君にもう会いたく無いと言っておられた……それで君に何をしたか聞いたんだが、話を聞いてあらかた理解したから君はもう、何もしなくていい」
花の嫁さんは、真剣な顔から普通の顔に戻る。
「そうですか」
……会いたく無いって……結構な事じゃね?! いや本当何が何んだ? 俺何したの?!
ケイゴは、冷や汗が止まらない。
「……もう少し色々聞きたかった所だが、私はそろそろライトセルを出なくてはいけなくてね」
「……そうですか」
「……君は、字が読めないらしいから知らないと思うが……
魔王が現れたそうだ……ここから少し遠いが、MTL級が1人殺された……私は、その対処に駆り出されたと言う事だ」
花の嫁さんは、そう言うと席を立つ。
「……えっ……」
……魔王が……現れた? でも、それはあり得ないんじゃ……だって女神様は、呪いで出られないって……MTL級って冒険者の中でも最強と言われる階級じゃないのかよ、それが魔王に殺されたって事か?
「……ではな、ケイゴくん……魔王は姿を消したらしい……君は、冒険者になれるよう頑張るといい」
花の嫁さんは、そう言ってギルドを出て行った。
「……魔王ってそんな強いのかよ……」
……戦いを求めていたと、女神様は言っていた……魔王……
ケイゴは、席を立つとギルドの扉を目指した。
「…………俺は……」
ケイゴは、ギルドを出た。
「…………」
ケイゴは、門に来た。
「……おはよう、ケイゴ。泥人形を倒しに行くの?」
ケイゴが、門に近づいて行くと、門番ちゃんが気づき話しかけて来た。
「……はい、そうです」
ケイゴは、門番ちゃんの元による。
「……その盾、どうしたの?」
門番ちゃんは、俺が片手に持つ盾を見て言う。
「……貰いました……」
ケイゴは、盾を門番ちゃんに見えるように持つ。
「凄いわね……もしかして、貴方が恩返ししたい人から貰ったの?」
門番ちゃんは、微笑んで言う
「…………いや、違います……これは、師匠から貰ったんです」
「師匠?」
「……自分は、盾士を目指そうと思います……守れるように……」
ケイゴは、笑う。
「そう……頑張って……約束したものね?」
門番ちゃんは、そう言った。
「はい、ちゃんと帰って来ます……では」
ケイゴは、森の方に歩いて言った。
「……気をつけて」
門番ちゃんの声が届いているのかいないのか、ケイゴが振り返ることはなかった。
「……俺は、強くなってやる……この気持ちに打ち勝てるくらい……強く」
ケイゴは、方位マッフを握りしめ先を進んでいった。




