クエストが終わったら……
「…………」
……暖かくなって来たよなぁ……来た当初は寒かったのに……まだ一週間くらいだけどさ……
「……もっと経っている気がするんだが……」
ケイゴは、異世界に来てからの日々を思い出す。
「……うん! 俺ほとんど泣いてるね♪」
ケイゴは、ドヤッとした。
「…………」
(……なんで嬉しそうなの? かっこ悪いだけよ?)
「……開き直るしかねーよな……弱肉強食の世界だ……俺はこの世界を生き延びてやる」
ケイゴは、剣に手を置く。
「……ロッパー……お前は俺が倒す……」
ケイゴは、その場に立つ。
「……ふっ………
……迷った……」
ケイゴはその後10分歩き回り、見覚えのある道を見つけ、ギルドについた。
「……はぁ〜」
盾師匠は、大きな溜息を吐くのだった。
「…………」
ケイゴは、ギルドに入った。
「…………」
受付嬢達の視線がケイゴに一瞬集中するが、すぐ無くなる。
「…………」
……受付嬢ちゃんはこっちを見てない、なんで集中力だ……
ケイゴは、受付嬢ちゃんの受付をチラ見するが、受付嬢ちゃんは、一度もこっちを見ることはなく、仕事をしていた。
「…………」
……俺は何期待してたんだ? あんな事言ったのに……もう、終わったんだ……
ケイゴは、ギャルっぽいちゃんの受付に歩いて行った。
「……おはようっす!」
ギャルっぽいちゃんが、こちらに気づき挨拶する。
「おはようございます」
「……どうしたんすか?」
「えっと、クエスト完了したのでその報告に来ました」
……こう言うのってやっぱ言わなきゃいけないよな、ギルマスから直接受けたクエストだからさ?
「……そうっすか? ケイゴって、私の受付でクエスト受けた事あったっすか?」
ギャルっぽいちゃんは、何やらクエストの紙の束を漁っていた。
「いや、ないですけど……」
……ん? まさかだと思うが……それは無しにしてくれよ……
「……じゃあなんで私の受付に来たんっすか? 普通は、クエストを受けた受付に行くもんすよね?」
ギャルっぽいちゃんは、クエストの束をポイっと投げ、俺にジト目で見て来た……
……ですよね〜そうなるよね〜……
……どうしよう
「……早く行くっす! 私は忙しいんっすから」
ギャルっぽいちゃんは、受付嬢ちゃんの方に指を指し俺に険しい顔を見せた。
「……すいませんでした……ありがとうございました」
……まじかよ……俺もう行かねって言っちゃったのに……それにブレイクに見られたら……殺される……
ケイゴは、変な汗を流しながら受付嬢ちゃん受付にゆっくりと向かった。
「……もん先輩! 頑張るっす!」
(……クエストはどの受付でも受注出来るんだから、そのクエストが受注されているかどうかも分かるんすよ……だから……
……どこの受付でも完了する事が出来るんすよ♪ 覚えておくっす)
ノエちゃんは、良い仕事したと言う顔で、もん先輩の方を見た後、仕事に戻った。
それと……授業にはもう、行きません……
えっ……
……受付も……別の人に頼みます……
お世話になりました……
「…………」
……どどどどど、どうする?! 言わなくていいかな? 逃げていい? ダメだ、どうする! 俺は、どうすればいい?!
ケイゴは、今にも逃げ出したい気持ちで溢れて泣き出したい気持ちが襲う。
「…………」
……俺は、ひどい事をしてしまったんだ、約束してたのに俺から破り、許してくれると言ってくれていたのに、もう会わないって……
何そいつ! クソやろーじゃん! 死んだほうがいいんじゃない?! あ! ブレイクに近づいたら殺すって言われてた……誰かこの状況の、回避方法教えてください!
ケイゴは、受付嬢ちゃんの受付に来てしまった。
「…………」
カタカタカタカタ、ターン
受付嬢ちゃんは仕事に集中しているのか、俺に気づかないようだ。
「…………」
カタカタターン………カタカタカタカタカタ……タタタタ、カタカタカタカタターン
受付嬢ちゃんは、速いタイピングで入力して行く、書き直しもしていた。
「…………」
……これ、このまま去っていいかもな……そうだよ! 花の嫁さんに直接言えばいい! 名案じゃないか! ギャルっぽいちゃんに言いに行くか……
そしてケイゴは、何か視線を感じた……それは、骨の髄までを透視しているかのごとく貫く視線……
「…………ぉぅ」
「………………」
受付嬢ちゃんが作業をやめ、ケイゴの顔を凝視していた。
「…………」
「…………」
見つめ合う2人……それは、応接室の時のような物ではなく、最強のモンスターが最弱のモンスターを今にも襲いそうなそんな感じだった……もちろんケイゴが最弱の方……
「…………」
……ヤバイヤバイ! 心臓が破裂する! 声が出ない、怖いとは違う……何か、とにかくやばい! 動けない、今動けば殺されるじゃないか?
ケイゴは、受付嬢ちゃんの目に吸い込まれるかのように固まっていた。
「どうか致しましたか?」
受付嬢ちゃんは席を立ち、言う。
「……あ、いや……クエストを……」
ケイゴは、うまく言葉が出ない。
「……クエストを……終えたという事ですか?」
「……そ、そうです」
「……分かりました。では、こちらに名前を書いてもらえますか?」
受付嬢ちゃんは、机の下から紙を取り出し、紙の隣にペンを置くと、空欄の場所を手で指す。
「……あ、はい……」
ケイゴは、受付嬢ちゃんの胸から視線を離し、名前をケイゴと書いた。
「……すみません、代筆しますね?」
受付嬢ちゃんは、ケイゴの書いた紙を横にずらし、新しい紙を取り出すと、空白に書いてくれた。
「……すいません……」
「…………別に、気にしないでください……」
受付嬢ちゃんは、その紙をしまうとこちらを見た。
「……では、これで大丈夫です。他に何かありますか?」
「……い、いえ……ありがとうございました……」
ケイゴは、頭を軽く下げるとその場を離れる。
その時……
「待ってください……ケイゴさん」
受付嬢ちゃんが、ケイゴを呼び止める。
「……はい」
……う、このまま行けるかなって思ってたのに……
ケイゴは、歩き出そうとした足を止めて受付嬢ちゃんを見る。
「……私の授業は、嫌でしたか?」
受付嬢ちゃんは、顔を下げて俺に聞く。
「…………」
……そんな訳、あるわけないじゃ無いか……薬ソウネ選別最初は、出来なかったし今も出来ないけれど……貴方が、一生懸命教えてくれたから……頑張ろって、俺も出来るようになりたいって……思えたんだ……
「……そんな事無いです……」
「……そうですか……冒険者になれるよう頑張って下さい」
受付嬢ちゃんは、お辞儀をする。
「……はい」
俺も頭を下げてからその場を離れた。
「……じゃあどうして、あんな事を言ったんですか……ケイゴさん……」
受付嬢ちゃんは、ケイゴの背を目で追っていた。
人生思い通りにいかないものですね……
本当は、受付嬢ちゃんと対面させるつもりなかったんですけど、そう上手くいかないと言いますか、キャラが勝手に……だって私だよ?




