気付き傷付く……
「…………」
ケイゴは、門番ちゃんと別れ歩いていた。
「…………」
ケイゴの目から涙が溢れていた。
「…………グスッ……」
鼻水が詰まってきた。
「……気づいてしまった……俺は……」
ケイゴは、顔を歪め涙を流す。
「……俺は……門番ちゃんの事が……
……好きなんだ……大好きで……愛してるんだ……」
ケイゴは、その場に止まった。
…ええ、私も、料理の続きしなきゃ、レンくんがそろそろ帰ってくると思うから
「相手が居ると知っておきながら……俺は……門番ちゃんの事を……好きになっちゃったんだ……」
ケイゴは、涙と鼻水を拭う。
「……うぅ……俺は……最低だ……こんなのって……ありかよ……だってさ? こんな俺に優しくしてくれる女性なんていなかった……俺が辛い時に助けてくれてたんだ……何度もだよ? グスッ! あり得ない、おかしい……でも、好きになっちゃうだろ……」
ケイゴは、顔を更に歪ませ泣く。
「苦しい……胸が……もう嫌だ……こんな気持ち嫌だ……なんでなんだ……絶対に俺の事好きになるわけないのに……レンさんがいるの知っているのにぃ! 期待しちゃうんだ……もしかしたら……って……」
ケイゴは、胸を押さえ嗚咽を漏らす。
「……俺の事なんか誰も好きになってくれるわけないのにぃ〜〜〜!!
くぅぅぅぅ!!」
ケイゴは、歯を食いしばり涙が溢れて、鼻水も垂らすのを無視して、空を見上げた。
「……うぅ……くそぉ!
……くそぉぉぉぉぉーーーーー!!」
ケイゴは駆ける、いろんな想いに耐えられず、その気持ちを少しでも楽にするめに……
「……俺の大切な物を返せーーー!!」
ケイゴは、剣を抜き叫びながら走る。
「もう! 取られたくない……取りたくもない! このクソ野郎ーからこれ以上取らないでくれよ〜〜〜!!」
ケイゴは、路地を目指した。
ケイゴの事を見ている通りすがりの人たちは、冷ややかな目で避けて行く。
「……はぁ……はぁ……」
ケイゴは、自分のいた路地に来ていた。
「誰もいない……帰ったのか?」
ケイゴが路地を見渡すが誰もおらず、自分のバックが置かれていた。
「……中身は……あるはずないよな……クソやろ……」
ケイゴは、剣を握りつぶす勢いで握るが無理なので、鞘にしまう。
「…………」
ケイゴはバックに近づき、中身を確認した。
「……えっ?! 全部ある! なんで?!
タプも! 歯磨きセットに! おにぎりの包んでた布に! 水筒も! 受付嬢ちゃんの紙も! ああ……回復瓶まで……そして……方位マッフも……俺の大切な物が全て……なぜ? あいつらが置いてくわけないだろ、死ぬ気で取り返すつもりだったのに……」
ケイゴは、自分の顔が歪んだ笑顔になっていることに気づかない。
「でもこれで……はは♪ 良かった……俺の大切な物達が……良かった……本当に……」
ケイゴは、バックを抱きしめた。
「……もう……絶対に取られたくない……もうこれ以上……取られたくない……もうやだ……これ以上俺から奪わないでくれよ……うぅ……」
ケイゴは、バックを強く抱きしめ顔を埋めて涙を流した。
「……好きな人も……みんなみんな俺とは違う人が取っていく……もう……こんな醜い俺の事なんか何も思ってないの知ってても……やだよ……あぅ……好きになりたくない……今まで通り俺から避けるんだ、その方がみんなが喜ぶだろ? 臭くてデブでブスで……こんな俺が……うう……」
ケイゴは、バックにすがりつき、涙を流す。
頭の上から光が当たる。
「…………」
ケイゴは、上をゆっくりと見上げた。
そこには、シロフワさんが漂っている。
「……俺のそばにいてくれるの?」
ケイゴの呼びかけに答えるかのように、シロフワさんは、バックの上に乗っかった。
「……俺だよ? こんな俺のそばは嫌だろ?」
ケイゴは、シロフワさんが魔法であるのを理解した上で聞く。
シロフワさんは、そこから動かないで暖かい光を放つ……いつも通りに……
「……俺は惨めだな……嬉しくなっている……魔法なのに……」
ケイゴは、歪んだ笑顔から、いつもの顔になった。
「……また、助けてくれたね……孤独から……君がいればいいや……抱きついていいかな?」
ケイゴは、バックを横に置き、シロフワさんを手に取った。
シロフワさんは、その手から逃げたりせず、点滅した。
「……ヒカルンじゃなくてピカルンだね……」
ケイゴは、シロフワさんを優しく抱きしめ顔を埋めた。
ケイゴは、その優しい光に照らされて、そのまま眠りについた。
「……この光は……光魔法の……」
屋根の上から覗く錆び鎧が、そう呟いた。




