盾士ルタの冒険……仲良くです
「…………」
「…………」
ここはギルドの中で、今、リメスがメロカの受付の前に立っていた。
「…………」
(……リメスさん、頑張ってください)
ルタは、リメスに応援の気持ちを込めた目で見つめていた。
「…………」
「…………」
「…………」
3人の無言の時間が過ぎる。
「…………ぁ……」
「…………」
メロカは、リメスの顔をチラッと見た。
「……メロカ……」
リメスは、メロカの名を呼ぶ。
「……はぁ……何ですか?」
メロカは、仕事の手を止め、リメスをめんどくさそうに見た。
「……パ、パーティ名を決めてきた……わ」
「……そうですか……で? 新しいパーティ名は、ちゃんとしたものですよね?」
メロカは、リメスをジトッとした目で見て言う。
「…………」
(……リメスさん、先に謝らないと……)
ルタは、リメスを心配した目で見る。
「……リメ……ロタス……よ」
「…………はぁ……」
メロカは、落胆したように溜息を吐くと、ルタを見た。
「どう言う事ですか? 私は、ちゃんと決めてきてと言ったんですよ? パーティ名は、しばらくは変えられないと……そう言いましたよね?」
メロカは、無表情でルタに言う。
「……は、はぃ……そうです……」
ルタは、メロカの目を見て答えた。
「…………じゃぁ、何故変わってないんですか?」
メロカは、ルタに質問する。
「……私が答えるわ……メロカ……」
リメスが言う。
「…………聞きましょう」
メロカは、リメスをまた落胆した目で見た。
「…………このパーティ名は……ここに居た時に考えたものじゃないの……」
「…………」
「……最近……考えてたもので……2人には、ここで考えたように言っただけなの……」
「……どうしてそんな事を?」
メロカは問う。
「……パーティ名が、すぐ変えられないのは知っていたし、ふざけた名前にして後悔するつもりもなかったわ……だ……から……その……」
リメスは、メロカの目を頑張って見ながら言う。
「…………」
メロカも、目をそらさずリメスを見た。
「メロカを笑うために入れたわけじゃないの……
……ごめんなさい……」
リメスは、頭を下げた。
「…………そうですか……」
メロカは、リメスのつむじを見て言う。
「…………」
「……なら……どうして私の名も入れたんですか?」
「…………それは……」
リメスは、頭をあげる。
「……誰が頭を上げていいと言ったんですか?」
メロカは、リメスの頭を手で押さえて下げ直す。
「……うっ……」
リメスは、悔しそうな声を出した。
「……そのまま答えてください」
メロカは、静かに言う。
「…………あなたの……おかげでもあるから……」
リメスは、頭を下げた状態で言う。
「……私のおかげ?」
「そう……私が強くなれたのは……」
「…………」
「……私は最近まで、1人でモンスターを倒していて、それでいいと思ってた……でも、ルタに出会い、その考えは、変わった……」
「…………」
「……ルタがモンスターの注意を引いてくれて、その間に詠唱すれば良い……効率が2倍いや……5倍以上上がったわ……」
「……それは言い過ぎですよ……」
ルタは、恥ずかしそうに言う。
「……でも……私は、強くなれたわけじゃない……ルタが増えただけで……」
「…………」
「……そして……ルタと出会いここ最近は、ドロボーばかり討伐していた……あなたのおかげで……」
「…………」
(……愚痴?)
「……最初は嫌だし……今も嫌だけど……ドロボー狩りを続ける内に私は……
魔法の精度が高くなっていったのに気付いた」
「………そう……ですか……」
(……やっぱり、愚痴入ってますよね? これ……)
「……それは、本当ですよ? リメスさんは、確実に強くなって行ってます! 私が保証します!」
ルタは、メロカに、むん! って感じに言う。
「…………」
「……分かりました……それが理由なんですね?」
「それだけじゃないわ、話は最後まで聞きなさいよ」
リメスは、頭を下げたまま言う。
「……え、あ、うん……ごめん」
(……あれ? なんで謝ってるの? 私……てか……
頭下げてるのに、こんな態度デカイの?)
「……? あ、やっぱりそれだけだったわ……メロカが途中で入ってくるから言いたい事、忘れたわ」
「…………」
(……どうしよう……頭下げられてるのに、イライラしてくる……私がおかしいのかな?)
「……メロカも……仲間だから……」
「……? ルタさん?」
ルタが、そう呟き、メロカがルタを見る。
「……リメスさんは、メロカさんも仲間だと思っているから……名前を入れたんじゃないでしょうか……」
ルタは、メロカを見て微笑む。
「…………」
メロカは、リメスを見た。
「……そ、そうかも……しれないわね……」
リメスは、恥ずかしそうに言った……頭を下げながら。
「………リメス……頭を上げていいですよ……」
「……ええ、そうするわ」
リメスは、シュッ! と頭を上げたので、髪が、パサッ! となる。
「…………」
(……頭をあげるの速いと思います……リメスさん……)
「…………」
(……はやっ! そんなすぐ上げられるとは、思わなかった……)
ルタとメロカは、リメスの頭をあげる速さに驚いた。
「……そう言うことよ」
リメスは、髪をかきあげ言う。
「……えっ? どういうこと?」
メロカは、リメスの態度のデカさで、良く分からなくなったようだった。
「リメスさん、ちゃんと言わないといけませんよ」
ルタは、リメスに優しく言う。
「……私が……悪かったって事……メロカのおかげでもあるから……私が強くなれたのは……だから名前を借りたい……ダメかしら……」
リメスは、メロカの目をちゃんと見て言う。
「…………」
メロカも、リメスの目を見る。
「…………」
「……はぁ……最初からそう言えば良いんですよ……分かりました、そう言う事でしたらぜひ、私も混ぜてください」
メロカは、そう言うと、笑った。
「……そ、そんなに混ぜて欲しいんだったらしょうがな 「やっぱりいいです」 嘘! 今の嘘だから!」
リメスは、答えようとしたが、メロカが途中で仕事に戻ろうとしたので、肩を掴み、振り返りさせた。
「……パーティ名を書いて、提出してください……実際、私はまだ仕事中なんですから……」
メロカは、リメスが持っていたクシャクシャの紙を指差し言う。
「そうですね、リメスさん早く提出しましょう」
ルタは、リメスから紙を優しく取ると、シワを伸ばしリメスの前に置く。
「…………そ、そうね…………これでよし! はい! 書いたわ!」
リメスは、クシャクシャの紙にパーティ名を書きそれをメロカに渡した。
「……はい、受け取りました……リメスさんとルタさんは、パーティという事で、B級のリメスさんを代表として、新しいパーティ名が追加されます。
パーティ名は……リメロタス……いいですね?」
「ええ!」
「はい!」
リメスとルタは、返事をした。
「……では、これからは、2人はパーティとして、その名を汚さぬように……
冒険者になって下さい!」
メロカは、両手でガッツポーズした。
「……3人よ……ルタ、そうでしょ?」
リメスは、メロカの言葉に訂正する。
「そうですよ! 私達3人がこのパーティ名に含まれてるんですから♪」
ルタは、微笑む。
「……そうでしたね」
メロカは、頬をかく。
「……仕事まだあるんでしょ? 私たちはこれで帰るわよ?」
「……えぇ……それとリメスさん……私もごめんなさい……強く言い過ぎちゃった所もあったし……」
メロカは、頭を下げた。
「……そ、私も悪かったから、これでもうお終いよ」
リメスは、素っ気なく言う。
「……そうですね……じゃぁ 「誰が頭を上げていいと言ったのかしら?」 なっ……」
メロカは、頭を上げようとしたが、リメスはそれを抑えて止めた。
「……あはは♪ 冗談よ、上げていいわよ」
だが、リメスは、すぐ手を退けて笑う。
「…………」
メロカは、リメスを見たが、顔が無表情で、目のハイライトは消えていた。
「……な、何よその目は……」
「…………」
「……リメスさん、もう一回謝っときましょう」
「え! ちゃんと謝ったもの! それにさっきお終いよって言ったわ!」
「……ルタさん……大丈夫ですから……」
メロカは、溜息を吐くように言う。
「……リメスさんにはいいクエストを紹介しますね?」
メロカは、机の下からクエスト紙を取り出しリメスに渡した……笑顔で……
「えっ? 何何? B級で、いいクエストあるの?」
リメスは、メロカから受け取った紙を嬉しそうに見る。
「……B級になったんですからね♪ 私達……リメロタスの最初のクエストは、メロカさんが選んだ良いクエストで始まるんですね♪」
ルタも嬉しそうにそのクエスト紙をリメスと一緒に見る。
「……うんうん……ドロボー3946匹の討伐ね……数が多いからB級クラスのクエストになっているわけね、確かに私は、ドロボーを狩る事で強くなったとしてもね……そのね?
……ドロボー狩りは、嫌って言ってるでショォォォォォーーー!!」
ギルド内にリメスの声が響いた。
「落ち着いてください! リメスさん!」
ルタが、メロカに飛びかかろうとしたリメスを止めながら言う。
「……リメロタスの最初のクエストには、もってこいでしょ?」
メロカは、ウインクした。
喧嘩してもすぐ謝る……だって俺だぜ?




