盾士ルタの冒険……凄い所です……
ルタとリメスは、順調にレベルを上げていき、二人の仲は更に深まった。受付嬢のメロカとリメスは何かとぶつかり合っている事が日常であり、ルタはそれを微笑ましく、そして少し嫉妬して見ていた。
「メロカ……またドロボーばっかりのクエストばかり選んで、何? 鼻の穴減らされたいの? 目をそらすなー!!」
リメスは、メロカに怒鳴る。
「い、いえ……そんな事ありません……1780匹のどこが嫌なんですか? こんだけいれば十分だと思ったんですが……」
メロカは、慣れ始めたのか、ビクッと少ししたが、顔はリメスをしっかりと見ていた……少しだけ、笑っているようにルタは見えた。
「…………」
(……メロカさん……リメスさんをからかっているんですね……)
ルタは、二人の会話を聞いていた。
「……当たり前でしょ! ドロボーが嫌って言っているのよ! 察しなさいよ! ドロボー狩りに慣れすぎて、どこに移動するのか先読みして倒しちゃうように、なっちゃったじゃない!」
「…………それは、いい事なのでは?」
「……良くないわよ! 私がアイチュールを打った場所にドロボーが来るのよ? 気持ち悪くて仕方がないわ……」
「…………」
(……リメスさん……どんどん強くなっていますよ……私が気づいていない遠くのドロボーを倒しているくらいなんですから……)
「…………そうですか、なら……このクエストはどうですか?」
メロカは、リメスの話を聞くと、少し考えてから、机の下から一枚のクエスト紙を出した。
「……こ、これって……C級になる為の……
階級クエストじゃない……」
リメスは、そのクエストをメロカから、奪うとビックリした顔でルタを見る。
「そうですね、どうしてこのクエストを?」
ルタは、ようやくリメスに話してもらえて嬉しいが、内容が気になったので、メロカに聞く。
「……リメスさんは、元からC級ですが……ルタさんは、D級でしたので、二人の活躍は、私が良くわかっておりますので、そろそろ良いかなと……」
メロカは、リメスをチラッと見て、顔色を伺っていた。
「……そういえば……ルタの冒険ランク上げるの忘れてた……ごめん! ルタ!」
リメスは、ルタに手を合わせ、謝る。
「良いですよリメスさん、私も忘れてましたし……」
ルタは、微笑む。
「……アンタね……自分の事でしょ? やっぱりルタね♪」
「すいません……リメスさん」
「……ど、どうですか? ルタさんは、私が思うに、A級のクエストも挑戦する事が出来る実力は、ありそうですが……ランク上げは、順番にして行くしか無いので……」
メロカは、二人が話し出すと置いてけぼりにされるので、強引に割って入る。
「…………えっ?! メロカ本当なの? ルタがA級の実力があるって……」
リメスは、メロカを見る。
「はい、リメスさん言ってましたよね、ルタさんの戦い方を……」
メロカは、ルタを見る。
「……マラク……魔落のイアースと同じ戦い方をすると……」
「……えっ? 私そんな事言って無いわよ? こう、ピュンピュン! って感じで私に攻撃が来た時、いつの間にか前にいるって言っただけよ?」
リメスは、手を使って、ルタがジュークルを使っての戦術を表すように話す。
「…………そ、そうですね……そうでしたね……」
メロカは、言う。
「……メロカさん……それはど言う事ですか?」
ルタは、急に真面目な声で聞く。
「……え、そ、それは……最強の盾士の戦い方をすると言う事は、それほど強いと思ったもので……」
メロカは、ルタの目を見れない。
「……どうして、リメスさんの話だけで、私がおじぃ……イアース様と同じ動きをすると理解できたのですか?」
ルタは、メロカをジッと見る。
「…………あ、いや……その……「メロカさんも魔落のイアース様が好きなのですか?!」
……えっ?」
メロカは、冷や汗をかきながら何と言おうか迷っている所で、ルタが目を輝かせてメロカの顔前に顔を寄せた。
「……あ……始まる……ルタ、メロカ、私はちょっとはずれるわね」
リメスは、これから起こる事を察して、その場を早歩きで去った。
「はい、分かりました♪」
「え? どうしたんですか? リメスさーん!」
メロカが、リメスを呼ぶが、リメスはさらに速度を上げギルドを出た。
「さて、メロカさん……イアース様の知っている事って何かありますか?」
ルタは、メロカの方に振り返ると……めっちゃ笑顔でそう聞いた。
「………え? えっと……盾士なのに、特殊な移動をするくらいしか……」
(……な、なんなの……ルタさんの笑顔が……怖い……)
「……そうですね、なら……最初から話した方が良さそうです♪」
ルタは、笑みを崩さずに、そう言った。
「……最初から……ですか? な、何を……」
メロカは、ルタの顔を見てビクビクしていた。
「……はい♪ それは……イアース様の凄い所を……ですよ?」
「…………」
そしてこの後、メロカは、魔落のイアースの凄い所を……凄いイアース、凄い戦い、凄い最強の盾士な所を、ルタが教えてくれた……
「……これが、イアース様の凄い所です……分かりましたか?」
ルタは、話し終えたのかすごく満足そうな顔をしていた。
「……イアース様……スゴイデスネ……本当に……スゴイ……」
メロカの目から……光が消えていた……
「……そろそろ終わった頃かなぁ〜と思って来てみれば……あはは♪」
リメスが、ちょうどギルドに帰ってきて、メロカを見ると笑った。
「…………」
メロカは、リメスを睨む……超睨む。
「……あ、リメスさん! 用事は済んだんですか?」
ルタがリメスに話しかける。
「え、えぇ……終わったわよ……
……退避してただけよ……アナタから……」
「……え? 何か言いました?」
「いいえ……それより……メロカ大丈夫?」
リメスがメロカの方をまた見ると。
「……これが大丈夫に見えますか?
……知ってらしたんですね……あれ……」
メロカは、くたびれた顔で言う。
「……当然よ……私はルタとパーティなのよ? 何度聞かされてきたか……おかげでイアース様が、神に見えてるわよ? 私……」
リメスとメロカは、ルタに聞こえないように話す。
「……何を話しているんですか?」
ルタが、微笑んで言う。
「「……なんでもないです……」」
リメスとメロカは、イアース様の話は、もう聞きたくないと思ったのだった。
「…………」
(……これではっきりしました……ルタさんがどうして、メッカタス鉱石で出来た重い盾を、軽々と持ち、ドロボーを盾士でありながら速く討伐してきたか……
……人間で最強の盾士……魔落のイアースの孫であると……だって、おじぃっで何度も言うんだもん……隠そうとしていたけど……これは、報告した方が良さそうです……ね……」
メロカは、ルタとリメスが話す姿を、ジッと見ていた。




