盾士ルタの冒険……何かです
「……次です!」
ルタは、10何匹かのドロボー達をピュンピュン移動しながら狩っていく。
「……一匹だけ、黒に染まった金色のドロボーが紛れていますね……」
ルタは、高速で移動しながら特殊なドロボーを見つけた。
「……先に倒しておきますか……はぁーーーー!! えっ!? 速い!」
ルタがその黒金のドロボーに剣で切ろうと突っ込んで行くが、ルタの斬撃を避け、そのまま逃げ去って行く。
「……逃がしません! <| ジュークル |>!!」
ルタは、すぐに地面を蹴り黒金のドロボーを追う。
「……あれ? 急にどっか行っちゃったわね……なら、この獲物達は私がもらうわね……」
木の陰に隠れていた人物は、その場に残された数匹のドロボーに杖を向けた。
「……そこらへんに転がった魔石……私がもらうっちゃうね?」
その人物は、ニヤッと笑った。
「…………くっ……」
(……なんて速さなの、私全力なのに……)
ルタが、悔しそうな顔をしながら黒金のドロボーを追っているが、そのドロボーはルタのスピードと互角……いや、速いので確実に離されていった。
「……<| ジュークル |>!!」
ゴロゴロゴロ
ドロボーは、とにかくまっすぐに転がっていた。
「……このままじゃ、逃げられます……」
ルタは、汗を流しながらドロボーにどう追いつくかを考えていた。
「…………」
(……何もしなければ逃げられてしまう……どうしましょう……何か手は……
……どうすれば……)
……覚えておくんじゃ……スキルには秘めた力があるとな……誰がどうスキルを開発したか知らんが、スキルには……穴がある
「……スキルの穴……ダメです、今考える余裕が……あっ! <| ジュークル |>」
ルタは、木を蹴る足を滑らせ木にぶつかりそうになったので、後ろに向かってジュークルをした。
「……ひゃぁ!!」
ルタは、後ろにぶっ飛んで行くはずだったのだが……
……スキルを打った直後の場所にピタッと静止したので地面にお尻から落ちた。
「…………」
(……な、何が……え? 急に止まるなんて……)
ゴロゴロゴロ
黒金のドロボーは、もう追いつけないところまで逃げられてしまった。
「……これって……穴なのでしょうか……お爺様……」
ルタはしばらく放心状態でその場に固まっていた。
「……あれ?……さっきの場所から声が聞こえる……」
ルタは、ドロボーの集団がいた場所に戻って来たが、誰かが戦闘中のようだ。
「……[ アイチュール ]![ アイチュール ]! もう! ちょこまかと! 小さいから当てにくいったら! こら〜!! う、ご、く、なぁ〜!!」
「…………」
(……アイチュールって、水魔法の初級で使える氷の玉を打ち出す……苦戦してるようですね、確かに小さくて切りずらかったですし……)
ルタは、その戦闘を覗く。
「……えい! え〜い!! [ アイチュール ] もう! なんであの子あんなに簡単に倒せるのよ〜……あ、うぅえっぷ……魔力切れだわ……きもぢわりゅい……いや〜来ないで〜」
ルタが覗くと、魔導士のローブを着た女性がアイチュールを連発して打っていたが、魔力切れなのか、気持ち悪そうにしゃがみ込んでしまったので、ドロボー達は、そのチャンスを逃さず、魔導士の女性に飛びついて行った。
「……た、たすけなきゃ!」
(……魔力切れって、すごく辛いんですよねぇ……)
ルタは、自分が魔力切れになった時のことを思い出して、嫌そうな顔をした。
「……いや〜!! くっつくなー!! せっかくのローブが泥だらけになっちゃうじゃない!」
魔導士の女性は、ドロボーに襲われているにしては余裕だが、顔もローブも、脚も! 泥だらけになっていた。
「……今助けます! で、でも……どうしよう……」
「……早く助けて〜……って……
……さっきの人じゃない……これは、罰なのね……」
「……え? な、何か言いまし……そ、それより……これは手でどかすしかなさそうですね……」
ルタは、目からハイライトが消えたその魔導士の女性に近づき、体中についたドロボー達を両手で掴み木に投げつけていく。
ガシッ! ベチャッ! ガシッ! ベチャッ!
「……こ、こんな私を助けてくれるの?」
魔導士の女性は、ルタを見て言う。
「……当然です! 盾士は、守る事で始めて盾士なんですから、待っていてください! 今すぐ助け出しますから」
ルタは、泥まみれになりながら、一生懸命にドロボーを剥ぎ投げる。
「……ねぇ……あなた……名前は、なんて言うの?」
魔導士の女性は、顔にドロボーをつけた状態でルタにそう聞いた。
「……あ、ここにも……え? 私は、ルタと言います」
ルタは、魔導士の顔からドロボーを剥ぎ投げながらそう名乗った。
「……ルタ……いい名前ね……うえっ!」
魔導士の女性は、気持ち悪そうに言う。
「……私の名前言った後に、吐きそうになられると……ふふ♪」
ルタは、剥ぎ投げながら笑う。
「……ごめんなさい……うぅ……あはは♪」
魔導士の女性も、気持ち悪そうに笑った。
「……これで最後っと! 大丈夫ですか? これ飲んでください」
ルタは、最後のドロボーを剥ぎ投げた後、魔導士の女性に、ポーチから取り出した回復瓶を渡した。
「……大丈夫よ……ありがとう、ルタさん……ゴクゴクゴク……」
魔導士の女性は、ルタから回復瓶を受け取りがぶ飲みした。
「……ルタでいいですよ? 魔力瓶もありますけど……そ、その〜……」
ルタは、ポーチから魔力瓶を取り出す。
「……い、いるわ! ゴクゴク! はぁ〜めぐるわね〜……私の名前言ってなかったわね、私の名前は、リメスって言うの」
リメスは、魔力瓶をがぶ飲みして、そう名乗った。
「……リメスさんですね♪ 分かりました」
「……私もリメスでいいわ♪ ルタ、助けてくれてありがとうございます」
リメスは、その場であぐらした状態で頭を下げた。
「……いえいえ、困った人がいたら助けるのは当然ですから! 盾士なので!」
ルタは、手拭いを取り出して、リメスの顔を拭いていく。
「ちょっ! そんぐらい自分でやるわよ! 子供扱いしないでよ!」
リメスは、ルタに顔を拭かれていて、はっ!
と気づいたようにそう言い手拭いをルタから奪うと自分で顔を拭いていった。
「……ご、ごめんなさい……よくお父様の涙を拭いていたもので……子供扱いしたわけでは……」
ルタは、肩を落としモゾモゾと言う。
「……まぁいいわ……ねぇ……ルタ……」
リメスは、その場に立ち上がりルタを見下ろす形だ。
「……はい? 何でしょうか?」
ルタは、顔を上げリメスを見た。
「……あなた……私とパーティ組まない?」
「…………」
ルタは、固まった。
「……聞こえてる? ルタ?」
「……えっ? わ、私とパーティですか?」
「……そ、あなたの実力を見込んで私が誘ってあげるわ♪」
「……は、はい! 私で良かったら♪」
(……パーティ……初めての……パーティ♪)
「……決まりね! これからよろしくお願いするわ、ルタ♪」
リメスは、ニィッと笑った。
「……は、はい! よろしくお願いします! リメスさん♪」
ルタは、リメスの両手の上から両手で握る。
「……リメスでいいっていったじゃない」
この日、ルタは初めての仲間を手に入れた……そう……
……ルタの初めて出来た……お友達だった。
ルタの冒険が本編のような気がしてきた……




