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副団長の独白。

短いです。

見たいと言われ、思いついたので、ポチッと。

何も考えず書いたので、矛盾あるかもしれません。


あと、副団長には、胃薬と増毛剤をプレゼントしてあげて欲しいです。


イメージ的には、線の細い美人寄り。でも、手数で戦う騎士なイメージです。

 私は脳筋ばかりの騎士団で、副団長という名の事務職をしている。

 名前は――まぁ、いいだろう。

 騎士団長であるオーガストは、私より三つ下だが、国内外にその強さは知れ渡り、


『鮮血の魔王』


なんて、通り名で呼ばれている。

 かなりの美丈夫なんだが、その強面でご令嬢達には遠巻きにされている。

 ニコリとでも笑えば、ご令嬢達は虜なんだろうが、一度無理矢理笑わせた結果、ご令嬢はもちろん騎士ですら恐慌状態になった。

 耐性のある私でもヤバかった。

 まさに魔王がそこに降臨した。




 オーガストが自然と笑えるのは、彼の愛しい存在が来た時だけだろう、

 騎士団の中でも、彼女はマスコット的存在だった。

 たまに本気で惚れ、オーガストの壁を越えられず、涙にくれる少年騎士もいた。

 その彼女は、オーガストの年の離れた妹で、名前はメルディ。

 初対面は三歳で。

 物怖じしない性格に、愛らしい見た目、魔法に優れ、新入りの騎士より、よっぽど強かったのには驚いた。

 さすがに、戦闘で魔法を使ったのは、六歳ぐらいの時だったが。

 訓練場の半分が吹き飛び、説明に困った私(本当の事を話せばメルディが奇異の目で見られ私は胃に穴が開く)は、

「オーガストが力加減を間違えまして」

の一言で乗り切った。

 その頃、まだ一騎士だったオーガストだが、その恐怖の伝説はすでに始まっていたので、すんなりと受け入れられた。

 どれだけ怖がられているんだ、オーガストよ。

 と言うか、何をしたんだ、何を。

 過去を思い出していたら、キリキリと胃が痛む。心なしか、髪も薄くなったと妻に言われてしまった。

 私が禿げたら、オーガストのせいだ。



「何を呆けている。私の話を聞いていたか?」

「えぇ、聞いていました。理解したくないだけで」

「そうか。なら、今あげた令嬢達とその家族へ、相応な罰を頼む」

「……急に呼び止めたと思えば、一体何を」

 思わず、このシスコンがと言いたくなって、自重する。

 オーガストには誉め言葉だ。無表情で喜ぶ。

「全員、叩けば内臓が出るような奴らだ」

 いや、あなたが叩けば、大概の人間は出るだろう、とか。

 出るのは、内臓じゃなく埃だろう、とか。

 突っ込みたかったが、私は黙って差し出された紙を受け取る。

 あぁ……束だな。

 一体、何をしてオーガストの逆鱗に触れたのか。

 オーガストはシスコンだが、不正や捏造などはしない、真っ直ぐな男だ。

 この束に書かれた、ご令嬢やその家族、さらに親戚縁者にあたる者の罪は、全て本当だろう。

 オーガストの家は、低い地位ではないが、ここまでの情報を調べ上げるなど、かなりの手練れを飼っているようだ。

 一度オーガストに訊ねたが、「侍女だ」とはぐらかされてしまった。

 そこまで優秀な者なら、秘匿するのも当然か。

 しかし、ちらほらと大物の名前が混じり、そういう大物は、犯している罪も大きい。

 何人かは、首と体が離れることだろう。

 もう、溜まった膿出しだと諦めるしかない。

 罪には、相応な罰が必要だから。

 だが、

「あなたも手伝うんです、オーガスト」

 逃げるんじゃない。




 告発するだけして、逃げようとしたオーガストを捕獲して手伝わせ、ちょっとした内乱のようになった騒動も、魔王が降臨して収束した。

 私の胃痛は酷くなった気がする。

 まぁ、傷心のメルディにも、新しい婚約者が出来たようだ。

 オーガストによると、なかなか見込みがある男で、鍛えてやると、息巻いていたが……。

「メルディの新しい婚約者を知ってますか?」

 不思議と誰に聞いても、首を傾げられる。

 嫌な予感を感じた私は、無表情で妙に生き生きしているオーガストを捕まえ、問い質した。

 そして、聞かなければ良かったと後悔した。

「あのミハエルだが?」

 よりによって……。

 メルディは、兄に似て、強敵を求めるような人生を歩みたいのだろうか?

 私が遠い目をしていると、オーガストから唐突に黒い害虫駆除の話を振られた。

 もしかしたら、メルディに頼られたのかもしれない。

 いくらメルディが強くても、女性はあの黒い害虫が苦手なものだ。

 例外はいるが、うちの妻のように。

 そんな事を考えながら、いくつか対処方法を上げる。

「汚れないのは、毒餌ですね。死体の処理も簡単です」

「うむ、毒か。しかし、卑怯な気がし、苦手なのだが……」

「でしたら、氷魔法ならどうです? 見つけた瞬間、凍らせるとか」

「私の氷魔法では、屋敷が氷の城になってしまう」

「どれだけ念入りに凍らせる気ですか。なら、罠はどうです?」

「罠か……。戦術の一つではあるな。しかし、メルディお気に入りの庭に穴を掘ったり、屋敷の改造はしたくはない」

「…………はぁ。なら、シンプルに、見かけたら叩き潰せば良いのではないのですか? あなたの反射神経なら、逃がす事もないでしょう?」

「……やはり、そうか。多少の汚れなら、うちの使用人は優秀だから、問題ないな」

 やっと納得いただけたようだ。

 私は安堵しようとした。

 多少の違和感には目を瞑れ――。




「早速黒い害虫(第二王子)を潰しに、いや、殺りに行く」




――る訳なかった。




 必死でオーガストを止める手段を考えながら、私はゆっくりと意識を手放し、結果的に、オーガストは止まってくれたようだ。




 目が覚めたら、オーガストが玉座にいた、とかではなくて、本当に良かったと思う。

 ひとまず、私は痛む胃をなだめながら、魔王と化したオーガストを唯一止められる人物に宛て、手紙を書く事にした。




 万が一の時のため、

『そんな事するお兄様なんて大嫌いです!』

と、一筆書いておいてください、と。


オニイサマが、どんどん愉快になっていきます。


妄想はありますが、固まらないので、次回は未定です。


感想、評価、ブクマありがとうございます。

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