愛してくれている(思い込み)を探している。
ロディアスが何処までも気持ち悪くて、ぶん殴りたくなります。
自己中過ぎて、殴っても許されるんじゃないかなあ、と思います。
見かけたら、ぶん殴ってあげてください。
気分が悪くなったという苦情は、受け付けてないので、ご了承を。
そして、ミハエルは白々しい。
副音声で突っ込み入れたら、一気にギャグになります。
後半は、おまけでオニイサマです。
別な意味で気持ち悪いかもしれません。
愛していると気付いた相手を探しているんだが、見つからない。
どうしてだろう。
俺の勘違いにより、献身的な婚約者だったメルディを失ってから、もう一ヶ月以上経つ。
あちこちに息のかかった人間をやり、情報屋にも金を握らせたが、新たに婚約した以外、何の情報もない。
もちろん、メルディの実家に訪れ、それとなく聞いたのだが、答えは芳しくなく……最終的には、騎士団長を名乗る人物に、追い出された。
一応、俺は王位継承権第二位なんだが、言い出せる空気じゃなかった。
俺に婚約破棄されたため、メルディは世間的に傷物となり、それを恥ずかしがった相手の男が情報を隠しているのかもしれない。
いや、絶対そうなんだ。
きっと、メルディも恥を晒すなと、屋敷から出してもらえないんだ。
俺は、この推理を、友人であるミハエルに話した。
ミハエルは顔も広いし、頭も良い。
きっと、良い案を出してくれるだろう。
俺の話を聞いたミハエルは、何とも言い難い顔をした。
「……で、お前は、メルディを見つけたとして、どうするんだ?」
「それは、もちろん、謝る。それで、もう一回婚約を……」
明るく朗らかに笑うミハエルの目の奥に、殺気のような光が揺れた気がするが、気のせいだな。
「は? そんな都合のいい話があるか? メルディが許そうが、もう彼女は別の誰かのモノなんだぞ?」
「メルディは物なんかじゃない!」
聞き捨てならない台詞に、俺が怒鳴り返すと、ミハエルからは冷めきった眼差しが返ってくる。
「5年もメルディの献身に気付かず、捨てたお前にだけは言われたくないんだが?」
痛い所を突かれた。
確かに、俺は5年もメルディの献身的な愛に気付かなかった。
「だから、謝りたいんだ」
「メルディが望んでないとしても?」
まるで歌うように、微笑んだミハエルが追い討ちをかけてくる。
「それでも、俺は、メルディともう一度会って話がしたいんだ」
「ふーん、そう。なら、頑張れば?」
応援してくれているはずのミハエルだが、何故か気持ちが入っていない気がする。
ミハエルは、メルディと仲が良く、俺を殴って正気に戻してくれたのだから、気のせいだ。
メルディとミハエルの仲の良さを思い出し、浮気を疑ったりもしたが、あのノートを見れば、どれだけメルディが俺を愛していたか一目瞭然だ。
それに、王位継承権第二位の俺と、顔が良いだけのチャラチャラした男なら、俺を選ぶのは当然だ。
俺がミハエルの顔を見ながら、そんな同情めいた事を考えていると、唐突にミハエルがニコリと笑った。
「そうそう。お前に話し忘れてたんだけど、俺、婚約したから」
そんな事を言い出し、とてもとても幸せそうにミハエルが笑う。
「そうか、良かったな。まぁ、メルディには負けるだろうな、ミハエルの婚約者も」
ミハエルの相手なら、不細工という事はないだろうが、メルディの方が絶対に可愛いはずだ。
「うん、そうだね。メルディには勝てないかな」
つい貶してしまったが、ミハエルは気にした風もなく、穏やかに笑っている。
「結婚式には呼んでくれ」
「もっちろん、呼ぶよ。――その時には、きっとメルディに会えてるんじゃないかな」
そんな嬉しい事まで言ってくれる。
正直ミハエルとは、まとわりついてくる女を処理するためだけに、友人として付き合ってたんだが、少し申し訳なくなった。
「そうだな、すまない。ありがとう」
感謝を告げる俺に、ミハエルは美しく微笑んで、
「俺の方こそ、お前には感謝してるよ」
とまで言ってくれる。
ミハエルの結婚式には、絶対メルディを連れて行く。
そう決意を新たにして。
「メルディの手を、離してくれて」
ミハエルの呟きは、聞き取れなかったが、俺は必ずメルディをみつけようと心に誓った。
[視点変更]
私は、32の若輩ながら、この国の騎士団長を務めている。
有り難くない、鮮血の魔王という通り名をもらい、敵味方共に恐れられているが、実は私には、目に入れても痛くない、年の離れた妹がいる。
「おにーさま」
あの愛らしい声で呼ばれれば、何でもしてやりたくなる。
国が欲しいとねだられれば、俺は国を滅ぼして、本物の魔王になれるだろう。
まぁ、優しいメルディは、そんな事を思ったりしないが。
しかし、その愛くるしい妹は、いけすかない王子の婚約者となり、向こうの屋敷へ住む事になった。
私が長期遠征で家を空けていたばかりに、メルディは……。
何度も会いに行ったが、メルディはいつも寂しそうで、婚約者の王子とは一度も会えなかった。
そのうち、ミハエルという王子と同年代の少年が、メルディと共に現れるようになった。
メルディは少しだけ楽しそうに、年相応の少女のように笑うようになった。
味方になってくれる相手が、あの侍女以外にもいたようで良かった。
そう思った事もあったが、噂など普段気にしない私の耳にも、嫌な噂が聞こえてきた。
『第二王子が、婚約者を放り出し、別の女にうつつを抜かしている』
「だ、団長、あの、テーブルが……」
聞いた瞬間、目の前が真っ赤になり、気付いた時にはテーブルが粉砕されていた。
私が怒りで我を忘れて、やったらしい。
目の前では、若い騎士が真っ青な顔で、ぷるぷるしている。
「あぁ、すまない」
今ここに、第二王子がいなくて良かった。
きっと私により、肉片へ姿を変えていただろうから。
●
すぐにでも、第二王子の屋敷へ殴り込みたかったが、放り出せない任務や遠征が続き、向かえずにいた。
これほど、騎士団長という肩書きが煩わしかったのは初めてだ。
やっと、それらを終えて戻ってきた私を迎えたのは、メルディの寂しげで弱々しい傷ついた(私目線)笑顔だった。
何て事だろう。
メルディは婚約破棄をされて、実家へ帰ってきたらしい。
愕然としていると、メルディの専属である侍女が近寄ってくる。
渡されたのは、数人の貴族の名前が書かれたメモだ。
「これが、メルディを陥れた令嬢達か」
グツグツと。
腹の底で煮えたぎる怒りを、まずはこちらへぶつけさせてもらおう。
ニヤリと笑った私は、魔王という通り名に相応しい顔をしていたかもしれない。
城へ泊まり込み、全員に相応の罰を受けさせ終えた私が屋敷に帰ると、メルディには新しい婚約者が出来ていた。
見覚えがある、ミハエルという少年だったが、家名に少し驚いた。
しかし、私に深々と頭を下げ、
「妹さんをください。必ず守りますから。心から愛しているんです」
そう言い切った顔に嘘は見えず、元婚約者にメルディがどれだけ辛く当たられ、それを後悔しているかを語る顔も、本当に辛そうだった。
私は、ひとまずミハエルを信用する事にした。
メルディがミハエルの婚約者となってしばらくし、屋敷へ帰ると、第二王子が来ていた。
顔はミハエルに負けてはいないが、垂れ流す言葉は自己満足で、自己中心的だ。
聞いていて頭が痛くなってきた。
頭を鷲掴みし、粉砕しても許されるんじゃないだろうか?
いや、それだとメルディのお気に入りだったソファが汚れてしまう。
「出ていけ」
私は思わず唸るような声で恫喝し、第二王子を実力行使で屋敷から追い出す。
しかし、追い出してから思う。
「名前、ロデアスだったか?」
私は、第二王子の名前を忘れていた。
ミハエルの屋敷へ行ってから、メルディからはよく手紙が来るようになった。
以前とは違い、文面から生き生きしているのがわかる。
モンスターを倒したと聞き、誇るべきか、はしたないと思うべきか悩み、どうでも良いと思う。
ミハエルは、メルディのそういう所も含め、愛してくれているようだ。
だが、あの肩書きの事もある。
ミハエルは、もう少し鍛える必要があるかもしれない。
今度、私が鍛えてやるのも良いだろう。
せめて、メルディよりは強く――いや、私を乗り越えて行くぐらい強くなってもらおう。
素晴らしい思いつきに、私は早速筆を取り、メルディへの手紙を書き始めるのだった。
『愛しい愛しい愛しい愛しい愛し……――メルディへ』
「おや、一枚終ったか」
メルディへの愛しさが抑えきれなかった。
『肌寒い日があるが、風邪は引いてないか? お腹を壊したりしてないか? 私がいなくて寂しくないか……』
「また一枚終わったな」
新たな紙を取り出し、また書き始める。
なかなか本題に入れないが、問題ないだろう。
気付いた時には、ちょっとした冊子並みの厚さの手紙が出来上がる。
返事が来るのが楽しみだ。
あとは、害虫のように湧いてくる第二王子を、どうすべきか、副団長に相談してみよう。
――後日、騎士団の詰所で、騎士団長から相談を受けていた副団長が、倒れたらしい。
原因は……心労だそうだ。
だんだん、ギャグ寄りになっていく。
もう、ロディアスは、ろであすで良いんじゃないかと思う。
次はメルディか、侍女サプライズ予定です。
本当に、終わる終わる詐欺だったようで、申し訳ないです。